“空のF1”レッドブル・エアレースは衝撃的な迫力!オーストリア最終戦をレポート【前編】
東京ウォーカー(全国版)
10月25日(土)・26日(日)の2日間に渡り、オーストリア・シュピールベルクにあるレッドブル・リンクで「レッドブル・エアレース」のシリーズ最終戦が行われた。2003年に始まった「レッドブル・エアレース」は“空のF1”とも呼ばれ、最高速度時速370km、最大負荷10Gにも及ぶモータースポーツである。F1同様に世界中を転戦し、過去に18カ国でシリーズ戦が開催されてきたが、2011年から2013年までは休止となっていた。それが今年、安全面やルールの改善がなされて復活。最終戦には多くのファンやメディアが世界中から集まった。
今年の「レッドブル・エアレース」には、世界トップクラスのレースパイロット12人が参戦。機動性と敏捷性に優れた軽量のレース用飛行機を操り、高さ25メートルのパイロン(空気で膨らませた円錐形の柱)で構成される空中のコースに1機ずつチャレンジし、そのタイムを競い合う。操縦技術の正確さはもちろん、体力、知力、精神力が必要。それ以上に経験が物を言うということもあり、パイロットの平均年齢が約46歳と高いのも特徴だ。最年長パイロットはエアレースの生みの親でもあるピーター・ベゼネイ選手(ハンガリー)と、現時点でシリーズランキングトップを走り、自身初のシリーズチャンピオンを狙うナイジェル・ラム選手(イギリス)。ともに58歳だというから、早熟化が進むトップスポーツの世界ではかなりレアな競技といえるだろう。
初日の10月25日(土)。会場に着くと、レース以外のエンターテインメントが数多く用意されていることに驚いた。レッドブルが所有する飛行機やヘリコプターによる曲技飛行(エアロバティックス)、バイクや自転車によるパフォーマンスなど、数々のエクストリームスポーツをサポートするレッドブルならではの演出が目白押し。また会場となったレッドブル・リンクは、F1オーストリア・グランプリの舞台だということもあり、レッドブルのフォーミュラーカーのデモランもサプライズで行われ、多くのモータースポーツファンを喜ばせた。
10時から行われたメディア向けのハンガーウォークでは、飛行機の格納庫であり整備などを行う各ハンガーに機体が並び、パイロットたちが各国メディアからの取材を受けた。予選前だが想像以上に緊張感は薄く、ムードは至って和やか。どのパイロットも笑顔で撮影やサインに応じていたのが印象的だった。特に多くの報道陣が集まっていたのが地元・オーストリア出身で2008年のシリーズチャンピオン、ハンネス・アルヒ選手のハンガー。彼は第7戦までのランキングが2位ということで、地元での逆転優勝も十分に考えられる位置につけており、最も注目されていた。また、ランキング9位の室屋義秀選手は2009年にアジア人として初めて「レッドブル・エアレース」に参戦。今年は第2戦のクロアチア大会で3位となり初の表彰台も経験。最終戦での活躍を目論む室屋選手にエアレースの魅力について聞いてみた。
「世界最速のモータースポーツと言われるだけあって、スピード感はすごいんじゃないですかね。操縦の正確性も見ていて面白いと思いますよ。レースでは飛行機が2本のパイロンの間を抜けていくんですが、そのパイロンの間隔は13メートル。飛行機の横幅は7.42メートルなので、5メートルほどの余裕しかなく、進入角度によってはさらに狭くなるんです。それに地上25メートルしかないパイロンの高さって飛行機で飛ぶ高さとしてはかなり低空だから危険なんです。レース中は恐怖心を無くしたら逆に危ないので、常に恐怖心は持って臨んでいます。また自分の中のテンションのリミッターの設定をどこまで上げられるか、そしてそのリミッターを超えずに、いかにテンションを集中して持続できるかが大事。リミッターを超えることは簡単にできるんですが、それは単に無謀なだけですから。そこまで行ってしまうと何が起きる分からない」
エアレースでは、機体を1メートル以内の誤差に収めながら操縦しなければならない。その技術、そしてメンタルのコントロール…トップアスリートにしか分からない感覚である。そして室屋選手の隣で、取材を見守っていた同チームのコミュニケーションマネージャーを務める橋本広美さんはこう補足してくれた。【後編に続く】
この記事の画像一覧(全20枚)
キーワード
テーマWalker
テーマ別特集をチェック
季節特集
季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介
おでかけ特集
今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け
キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介