フィギュア世界Jrを制する?14歳の大器、樋口新葉

東京ウォーカー(全国版)

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2014年末、ビッグハット(長野)で開催された全日本選手権で、13歳にして表彰台に乗るという快挙を成し遂げ、一気に全国的な注目を集める存在となった樋口新葉。全国中学校大会(1月31日~2月3日)に、多くのメディアが押しかけたこともその期待値の表れだ。

樋口にとっては世界ジュニア選手権への前哨戦といった意味合いの試合ではあったが、実に見どころの多い演技を披露してくれた。

今に始まったことではないのだが、練習ではあまり調子が上がらないタイプ。決して練習で手を抜いているわけではなく、「練習では気持ちと体が一体化しない」という。

加えて今回は全日本選手権を戦った反動から、正月休みの後に練習量が落ち、本調子ではなかったことも影響したようだ。ただ、それでも本番だけはきっちりと決めてみせた。この無類の勝負強さは、どこから生まれるのか。

「気持ちだけで跳んでます」。それが答えだった。プログラムの構成はジュニア女子としては最高難度に近い。決して気持ちだけで成功させられるような内容ではない。特に今回はようやく本番に調整を間に合わせたような状態で、「本調子ではなく不安だった」そうだ。

昨季から取り組んできたというメンタル強化の賜物でもある。失敗しても焦らずにリカバリーできるようになったとのことで、それが如実に表れた場面がある。

フリー演技において、冒頭にトリプルルッツ、トリプルトゥループのコンビネーションを予定していたが、トリプルルッツの単発になってしまった。全日本選手権でも冒頭のジャンプでミスをし、後半のトリプルルッツをコンビネーションに変更した例はあった。

今回はここをトリプルルッツ、トリプルトゥループ、ダブルトゥループの3連ジャンプに変更して冒頭のミスを見事にリカバリーした。しかしこの構成、今まで試合で挑んだことはない。いつ決断したのだろうか?実は演技途中、考えながら滑っているような時間帯が見受けられたので、その時に決断したのかと質問してみた。

「最初にコンビネーションをミスした時点で決めていました。ただ、後半のルッツを変更する場合、冒頭のルッツへの入りのステップを予定通り全て踏んでしまうと跳べなくなるかもしれない」。結果、ルッツの入りのステップを簡略化してジャンプに挑んだとのこと。それを演技中に考えていた、というのだ。

次の試合は、初挑戦の世界ジュニア選手権。3月2日(月)から3月8日(日)まで、エストニアのタリンで開催される大舞台だ。今回はロシア勢に加え、アメリカ勢も出場する。出場選手全員がここを目標に仕上げてきており、明らかにジュニアグランプリファイナルよりも手ごわい相手となる。

それでも樋口は「不安よりも楽しみの方が大きい。表彰台を狙いたい」と言い切った。課題として挙げたのが、まずはフリップのエッジの矯正。

ジュニアグランプリファイナルでeマーク(不正エッジ)の判定を受け、大幅に減点されたジャンプだ。世界ジュニアではeマークは回避したい。現状ではどうしてもアテンション(不明確なエッジ使いの意味)はついてしまうエッジ使いだが、eマークさえつかなければ減点は最小限に止められる。

そして、次に挙げたのが練習での集中力。練習と本番で集中の度合いが変わってしまうことは本人も自覚しているようで、世界ジュニアに向けて、練習からもっと集中して取り組みたいとのこと。これらの発言からしても、天才肌の選手には珍しい、才能と努力を兼ね備えたタイプだと感じる。

初の世界ジュニアへの挑戦だが虎視眈々とメダルを狙う樋口新葉。果たしてどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。今年の世界ジュニア選手権は男女ともに楽しみが尽きない。羽生結弦と村上佳菜子がアベック優勝を飾ったオランダ大会の再現となるのか?ジュニア勢から一時も目が離せない。【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】

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