【その1:5/10(日)公演】桂 吉弥、噺家生活20年の集大成! 記念独演会について直撃!
関西ウォーカー
桂 米朝一門の故・桂 吉朝に入門してから20年。落語はもとより、テレビドラマや舞台でも活躍し、関西の落語ブームの担い手となった桂 吉弥。昨年11月からスタートした20周年記念の独演会は、米朝一門にとって落語の聖地と言えるホールで千穐楽を迎える。演目は、前半に古典落語の大ネタ「百年目」、後半に新作「メリーさん」、スライドショー「吉弥20年日記」を挟み、古典「昆陽(こや)の釣」。会場となる聖地・サンケイホールブリーゼにて、インタビュー。落語界の次代を担う、まじめな姿勢と意欲が印象に残った。
Q:20周年への思いは?
桂 吉弥:やってれば20年になるのでねぇ。最初は、どうかいな、と思ったんです。小さな勉強会から、大きな独演会、サンケイさんでも今回7回目。ありがたいことで、そうやってやらしていただいているので、敢えて20年て言わんでもいいんちゃうかなって思って。
ボクは、落語って大層に聞くというより、普段に気軽に聞けたり見に行けたり、そばにある芸能というようなもんやと思てるんです。ですから、今まで先輩方が何十年記念とかってやるのを見てて、ちょっと違和感を感じていたんですけど。
ただ今回、松竹座からスタートした独演会に、ずっと20周年記念って付けさせていただくことで、お客さんにとっても節目になるんだなって、すごく思いましたね。今まで応援してくれてはる人にとったら、「あ、吉弥を応援してきて20年たつんや」って。それに、20年と付けることで「吉弥って今まで観たことないけど、観に行ってみようか」っていう、初めてのお客さんへのアピールにもなるしね。
ボクの中でも、やってる落語のネタは別に変わらないんですけど、区切りというか姿勢というか、さらにもっと落語を愛して、お客さんに聞いてもらうことを、もう一回初心に戻ってやる、ええ機会になったと思います。
Q:20周年の独演会、これがトリですね。
桂 吉弥:最後にサンケイホール。ボクが落研に入ってから、いろんな落語をお寺とかホールとか、いろんなところで聞き始めたけど、でも、やっぱりサンケイホール。米朝師匠とか枝雀師匠とか、ウチの師匠の吉朝とか、米朝一門会を1週間通してやったりする、ここの場所は特別なんですよね。もちろん、ここでの独演会も特別なんですけど、20周年のトリをサンケイホールでやれるっていうことはすごくうれしい。ぜひ、みなさんに来ていただきたいですね。
で、よそではやってないボクの人生の振り返りみたいなんも、後輩のひろばくんとそうばくんに語ってもらいます。子どもの時の写真も出るかもわからへんし(笑)。彼らとずっと打ち合わせをしてるんですけど、20周年の独演会の中では初めてやるんで、これもちょっと楽しみにしていただきたいなと思います。
Q:ずっと古典をやって来られて、「メリーさん」は新作?
桂 吉弥:「メリーさん」はボクが作った噺です。3年前から干支にちなんで新作を作ろうって。蛇年は「にょろにょろ」っていうタイトルで作って。去年は午年やったんで「ホース演芸場」って、園田競馬の横にある演芸場が舞台の落語をこしらえたり(笑)。今年は羊年なんで「メリーさん」っていうのを考えて。
16年間、新作を作ることもなく。自分はずっと古典落語やってたんで、そんなんでけへんわって思ってたんです。でも、東京の春風亭昇太兄さんとか、柳家喬太郎さんとお仕事する機会が増えて、その新作を聞いて「わぁ、素敵な新作落語作りはるな」って。で、打ち上げとかで「いいですね」とかって言ってたら、「吉弥くんも作ってみたら」って。あんたなんで作らへんの?ぐらいな軽い感じで言われて。でも、一番背中を押してくれたんは、六代文枝師匠。「作ってみたらええんちゃう?」みたいなことを言ってくれはって。ま、ご本人はそこまで大層に思ってはれへんかもわからないですけど。新作は、大作をとか考えるのではなく…というのを3年前からやっています。
Q:作ってみていかがでしたか?
桂 吉弥:まず、あぁ、古典落語ってよくできてるなっていうのが、ひとつですね。でも、ボクの中に思いがあって、それを言葉にしてしゃべるので、お客さんとの間にいい緊張感というか…。古典落語が好きなお客さんやったら、最初から噺のストーリーが頭にあるじゃないですか。でも、「え? このあとの展開どうなんの?」とか、ボクの会でお客さんがそういうふうになるっていうのはすごく新鮮だったんです。最初は反応がすごく怖かったですね。これはオレはおもしろいと思ってるけど、受け入れられるのかなと思って。
自分で作る時って、オレはこれが伝えたいねんなっていうのがないと、でけへんと思って。で、「にょろにょろ」では、神戸にいた学生の時、ボクが大好きでずっと通ってた銭湯と洋食屋さんを、ぜひとも落語の中に出したくて。
「ホース演芸場」は、演芸場の噺。ボクは実際に、そんなに体験してませんし、見てないですけど、昔の小屋の話を米朝師匠から聞いていて「おもしろいなぁ」と思っていて。で、枝雀師匠の奥さんのとこまで行って、角座とか新世界の小屋の話を聞いて作ったんです。
「メリーさん」は、ボク、ラジオが好きなんで、AM、FMラジオの噺。ラジオが出てくる落語ってなかったなと思って。ラジオのしゃべり手とそれを聞くリスナーの噺です。
Q:落語家さんたちの反応は?
桂 吉弥:噺家同士って飲んだらしゃべりますけどね、古典落語はみんなそれぞれ教えてもらった師匠たちへのリスペクトがあるんで、今日やったネタについて直接しゃべり合うっていうことはあんまりないんです。でもね、新作やると、みんな「あそこでこういうギャクやったらおもろいんちゃいます?」とか、「あそこのシーンでもう一人こんな人物が出てきたら?」とか言ってくれるんですよ。先輩、後輩、記者の人もみんな(笑)。お客さんも「あの発想はおもしろかった」とか、すごい新鮮。初演から、どんどん膨らんで進化していくのが、すごいな、おもしろいなと思って。だから、オチが新たにできたり、おもしろいギャグとか、シーンが増えたりしたのもありますし。
※【その2】に続く
【取材・文=ドルフィン・コミュニケーション】
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