【WEB連載:はーこのSTAGEプラスVol.3 その2】緊急速報! 岸惠子 朗読劇「わりなき恋」4/18㊏ 前売り開始
関西ウォーカー
岸惠子さんが、今回の会見で「前回、大阪に来たのは『CHANEL シャネル』でした。大阪の人って血が熱いですよね。東京よりも反応がすごくいいです」と語っていた舞台。当日、会場では『CHANEL シャネル』がいつ、どの劇場で上演されたかご本人を含め履歴がわからず、ネット検索しても不明という状況でした。
“はーこのアーカイブ”の登場です。
『CHANEL』は、1996年3月1日・2日、シアター・ドラマシティで上演。19年前は、まだインターネットが整備されていなかったアナログな時代。ネット上で上演記録はあっても、“関西で、いつ、どこで”となると、情報が探しにくいんですよね。私は当時観ていたので、パンフレットを引っ張り出しました。
パルコ ヒューマンドキュメンタリーシアター パルコ・翼提携公演『CHANEL』。台本:ウィリアム・ルース、演出:フィリップ・ウィリアム・マッキンリー、翻訳:青井陽治。共演は、榎木孝明、斉藤晴彦、河内桃子ら。パンフレットの表紙は、1937年にジャン・コクトーが描いたココ・シャネルのイラストとコラージュさせたもの。当時、新進気鋭と紹介された演出家は、20年を経て、今や日本でもおなじみのベテラン・ミュージカル演出家となっている。
岸さんは、1960年にパリでジャン・コクトー演出の「濡れ衣の妻」で初舞台。日本では、1980年の「情婦 検察側の証人」以来、15年ぶりの舞台が『CHANEL』だった。東京では、どちらもパルコ劇場での上演。その舞台に登場したココ・シャネルは61歳。当時、岸恵子さんは63歳。シャネルについて、岸さんがパンフレットに寄せている。「若さも美貌も遠のいてしまった、しかし、暗い生い立ちへの怨嗟や憤りで、常に激しく、自らを高揚せしめている、第二次世界大戦にどっぷりと巻き込まれてしまった、あまりにも強く誇り高く、それが故に、孤独なひとりの類い稀な女性です」と。
また、『CHANEL』の見どころについて。「ナチスドイツ占領下のパリで、敵国ドイツ、しかもヒトラーのゲシュタポであった将校と同棲していたココ・シャネルが、持ち前の不屈の闘志と、彼女言うところの過激な悪知恵や、天から授かった巨大な才能とで、その汚辱の過去を如何に華麗に塗り替えてゆくのか、それがこの(~略~)「シャネル」の見どころだと思います。シャネラーと呼ばれている人々には、少し意外でしょう」。
大地真央の主演舞台「ガブリエル・シャネル」、鳳蘭主演のブロードウェイ・ミュージカル「COCO」、シャーリー・マックレーン主演の映画「ココ・シャネル」…。2010年の「シャネル・モード」開店100周年に、シャネルものが一気に製作・発表された。それぞれの作品は、検索してもらえばわかる。『CHANEL』の内容が一番近かったのは映画だが、この中でダントツに硬派だった。“フランスの亀裂に深く関わったシャネル”というスタンスで、当時の社会情勢が背景に色濃く描かれていた印象だ。シャネルの人生を彩った人物が、自在に現れ、消える。リアルなのにファンタジー。老いたシャネルの、感動的なモノローグ…。
こんなに美しいんだから、シャネルのファッション・ショーとか見れるかな? などという、安っぽいウケ狙いは、ふっ飛ばされましたね。ジャーナリスト的視点でフランスを見つめ続けた岸惠子さんの、美しさの下にある強靭な精神が、シャネルを通してほとばしるような舞台でした。
そしてその印象は、19年後の今も、美しさとともに、そこにありました。
岸さんの一人舞台のような朗読劇で、成熟した男女の恋愛がどのように立ち上がっていくのか。19年ぶりの舞台、ぜひ楽しみにお出かけください。
【取材・文=演劇ライター・はーこ】
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