【WEB連載：はーこのSTAGEプラスVol.3 その1】緊急速報！ 岸惠子　朗読劇「わりなき恋」4/18㊏ 前売り開始

岸惠子さんが来阪されました！

ご自身の小説で、約25万部のベストセラーになった「わりなき恋」を、自ら朗読劇用に編集し、朗読劇として上演する公演の記者会見です。

シアターBRAVA！10周年記念シリーズ、なかなか良き企画を打ち出してくれます。岸さん、約20年ぶり大阪の舞台です（その2に詳細）。前売りで売り切れるかも？と思われるので、緊急のお知らせです。

82歳ですよ、82歳！　絶対に見えない。そして、メッチャきれい！　ベージュでシンプルなニットのロングジャケットが、彼女の気品をより引き立て…いやもう、美しすぎて…。ゴージャス、というより、エレガント、凛とした知的な美しさ。清楚、という言葉は、若さの賛辞だけではないと思わされました。会場に集まった記者たちは、男女ともにボォ～～～って感じ。往年の大女優さんが持つ、近寄りがたいほどのオーラ。本物のスターとは、こ～ゆ～人のことを言うのでしょう。声も素敵なんですよ～、はぁ～（うっとり）。

若い人は知らない？　お母さんやおばあさんに聞いてみてください。岸惠子さんは、日本とフランスを行き来しながら、女優・作家として現在も活躍中。1953年公開の映画「君の名は」で、中井貴一のお父さん・佐田啓二と共演、日本中にブームを呼んだ大女優であり、作家としてエッセイ賞など著書の受賞も多い。2013年には10年ぶりに発表した恋愛小説「わりなき恋」が、約25万部のベストセラーに。この小説を著者の彼女自ら、朗読劇用に再編集して上演する舞台なのです。

物語は、70歳のジャーナリスト・笙子（しょうこ）と、10歳年下で妻子もいる大企業の重役・九鬼とのロマンス。成熟した男女の恋愛と死生観が鮮烈に描かれています。「人間の深～いところ。人間は一人で生まれて、生きて死んでいく、そのうつろい。また、男と女の中にある、複雑な、一筋縄ではいかない関係を書いてみたいと思いました」。“私”は、“わたくし”と発音、念のため。

会見は冒頭「私はこの話は、朗読劇に向いていないと思っているんですね」と始まった。「これはちゃんと文章で読んでいただきたいもの、あるいは、映画で。私はこれを演出して、初めての映画を撮りたいと思っていたんです。書いている時は夢中でしたが、書き終わったら、笙子をやっていただける女優さんがどうしても見当たらなくて、あきらめました」。

「ご自身が演じられては？」の質問に「私はもう、82歳でございますので、とてもとても、あと20年ぐらい若ければいいですけれど。それはちょっと図々しすぎますし、自分で書いたものを自分でやるっていうのも、ちょっと面はゆいですよね」。“いや、出来ます、やってほしい！”。会場全員の心の声は、そう言っていた、と思う。が、朗読としては「笙子を読むのは、私の方がいいと思います。男性の九鬼を読むのは困るんですけど、うまくやらなきゃ、と今、大変緊張しております。何十年ぶりの緊張です」。

「笙子の性格は、私の性格そのまま。小説の最初に書いた2人が出会うシーンも、私の実体験そのままなんです」と岸さん。では、笙子が愛する九鬼という男は？「立居ふるまいから、すべてが清々しい美しさのある男でいてほしかった。私は、男でも女でも、顔の美醜じゃなく、風情が美しい人が好きなんです。九鬼は、育ちが良くてマナーも美しく、知性も教養もあるけれど、自己愛の強い自信家。私がこれまで出会った人たちの、イヤだな、素敵だな、と思うところを混ぜ合わせました」。

小説は、笙子が世界中を回りながら、自身の最後の恋と人生への深い思考を巡らせる400ページもの長編だ。「6分の1ぐらいに削らなくてはならなくて、大変でした。涙を飲んで削ったところがたくさんあります。お正月から3か月の間に6バーションぐらい書き直しても、まだ長くて。でも、早口では読みたくなくて、ずいぶん縮めました。みなさんの反応も気になりますし、新しく、わかりやすく書き直したところもあります」。

朗読は、これまで2回経験があるが、座って静かに読むというスタイルではなく、一人芝居のように「動き回ってしまうんです。みなさん、眠ってしまわれると困るので（笑）」。

今回は、スクリーンを設置して海外の写真などを投影、ピアノの生演奏も入る。「朗読劇というより、1人語りと言いますか…。動きをつけたいと思います。今回の本は、私、何度も書き直して、ほとんど全部覚えていますので。退屈させなければいいなぁと思って、生き生きとやりたいんですが、長い話だから声が続くかしらと、ちょっと心配です。でも、本とは違ったおもしろさがあるかもしれないので、ぜひいらしていただきたいと思います。大阪の人は熱いから、それだけでも温まります（笑）」。

【取材・文＝演劇ライター・はーこ】