ジュニア選手が魅せる!フィギュアスケートの奥深さ

東京ウォーカー(全国版)

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4月に東京で開催された国別対抗戦を最後に、長かったフィギュアスケートシーズンもほぼ終了した。フィギュアスケートのシーズンの区切りは6月30日。いくつかのローカル大会を残してはいるが、ほとんどの選手は新シーズンに向けて、束の間のオフを過ごしている。

今回は、シーズン中にメディアで取り上げられる機会が少なかった選手を紹介したい。2月初旬の全国中学校大会で、特に表現力に秀でた演技を見せた3人である。有名選手ばかりではなく、お気に入りの選手を見つけるのもフィギュアスケートの楽しみ方の一つだ。

まずは名古屋の横井ゆは菜。ジュニアグランプリシリーズにも参戦しており、フィギュアファンにはおなじみの選手だが、2014年の秋以降はジャンプが安定せず苦しい戦いが続いている。踊りのセンスは一級品で、手や目線を精一杯使った表現や、ステップでの盛り上げ方は、鈴木明子の幼少時を彷彿とさせる。

横井は予選落ちしてしまった全日本ジュニアを教訓に、ショートプログラムではジャンプの難度を落とし、無難な演技でフリー進出を決めた。ルッツとフリップを2回ずつ、さらにフリップは2つとも後半に持ってくるという難度の高いプログラムに挑戦。残念ながらミスが多く、納得の演技とはいかなかった。

「フリーは、せっかくだからのびのびやろうと思っていました。難度の高い構成ですが、これだけのことができるんだ!というのを見せたかった」。

腰を痛めており、その影響も少なからずあった。だが、本人は不調の原因をそこに求めることはしなかった。「練習では跳べていますし、試合でジャンプが決まらないのはメンタルの問題です。次の試合ではこんな演技はしない、成長した姿を見せたい」と意気込む。

横井の大きな魅力である表現力について質問すると、意外な答えが返ってきた。「表現で最も意識しているのは“笑顔”」とのこと。ノリノリなパート、スローなパートなど、曲調に合わせて使い分けているそうだ。

振付では、自分に似ているといわれるクラブの先輩、鈴木明子に手直ししてもらった部分もある。わずかな変更で表現が大きく変わることに驚きを隠さなかった。特に、踊りに関する強いこだわりなどがないことからも、天性の感覚を頼りに踊っていることが分かる。

次に取り上げるのは、東京の紀藤裕香。かつて、ノービス時代(おおよそ9~12歳)には樋口新葉と並ぶホープとして期待された選手だ。残念ながらけがにより長らく休養していたが、より魅力的な選手になって帰って来た。

「ようやくジャンプも戻ってきて、トリプルトゥループ+トリプルトゥループのコンビネーションにも挑戦できるようになりました。短い練習時間を大切にしています。休養中に背も伸びましたが、体幹のトレーニングをしっかりやってきました」。

紀藤の表現力は、現在の日本ジュニア女子でNo.1だと言っても過言ではない。本人も「表現力にはこだわりを持ってやっています!」と力強く答える。表現力を磨くために、ジャズダンスとバレエにも取り組んでいる。

実際、今季のショートプログラムにはジャズダンス、フリープログラムにはバレエの要素がふんだんに組み込まれていた。目線や表情を駆使したアピールの見事さはジュニアの選手とは思えないほどだ。

最後に紹介するのは枝村優花。ノービス時代から注目されていた選手だが、今はまだ安定感のあるトリプルジャンプが少ない。

しかし、独特な表現力が魅力的で、多くのファンに知ってもらいたい選手の一人だ。リンク外で話を聞くと、彼女からは生真面目な印象を受ける。ところが、ひとたび氷に乗り、ポーズを取ると人格が変わる。“女優スイッチ”が入るのが見ていてはっきりと分かるほど。

「自分でも意識しています。氷の上に立って構えるとスイッチが入るんです。ジャッジや観客に視線や表現が届くように意識してやっています」とのこと。

ショートプログラムでは、「エデンの東」を情感たっぷりに披露。最近は、町田樹が使ったことで日本のファンにも有名になったが、枝村は町田よりも早く、数シーズン前から使っていた。

町田樹の演技から、それまで自分が表現していたものとは違う「エデンの東」を感じ取り、影響を受けたそうだ。長らく使ったこのプログラムも今季まで。来季は新しいショートプログラムを作る。「曲調の違う、より大人っぽいスケートに仕上げたい。ジャンプももっと跳べるようになりたい」と抱負を語ってくれた。

三者三様、それぞれが異なる魅力を持った個性的な選手たちだ。いつの日か、大きな舞台で彼女たちの演技を観られる日が来ることを期待したい。【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】

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