【連載・シブヤ大学(1)】シブヤの地ビール作ります!
東京ウォーカー
仕事帰りに生ビールをグビッ。日本人は、年間で約630万キロリットルもビールを消費している。この消費量は世界で6番目に多いというから、日本人はやっぱりビール好き! 街には海外ビールや地方発の地ビール、飲食店発のクラフト(創作)ビールなど多種多様なビールがあふれている。
そこに目をつけたのが、アサヒビール。東京のさらに特定の街の代表となる地ビールを作ろうと、NPO法人のシブヤ大学とコラボして「ビール醸造ゼミ」が始動。さっそく、三度のメシよりビール好きの記者が第1回の講義に直行した。
同ゼミは、事前の選抜試験を通過した28名が、ビールの歴史や製造方法、分類などを学び、実際に製造現場まで足を運ぶ。ビールの本質を理解した上で、「渋谷」の街のカラーや背景、ニーズを反映させ「シブヤビール」として商品化する。では、なぜ渋谷が選ばれたのか?
「大きな目的は、ワークショップを通じてビールの楽しみ方をいっしょに考え、またNPOと民間企業の協働モデル研究の一助とすること。さらに20、30代が参加者の中心であるシブヤ大学とコラボレーションすることにより、若年層の価値観やビール観を理解するきっかけにしたいと考えています」とアサヒビールの広報担当者は語る。
第1回の講義テーマは「思わずビールが飲みたくなるときって?」。紫牟田伸子さん(日本デザインセンター)を講師に迎えスタート。はじめにビールの分類方法から解説。ビールは、醗酵方法→色→風味や味と細分化される。ちなみに日本で飲まれているビールのほとんどが、 “下面醗酵”の淡色をしたピルスナータイプ。まろやかな味、すっきりとした飲み心地が特徴だ。ほかにも“上面発酵”のペールエールやケルシュ、“自然発酵”のランビック…。すべて覚えるのに丸3日間はかかりそうなほど、分類方法は細かい。世界に1万銘柄以上あるというのもうなずける。
でも、頭では理解しても実際に飲まないと味の違いがわからないのでは…と余計なことを考えていると、ドーム ケルシュ(ドイツ)やデリリュウム ノクトルム(ベルギー)、よなよなエール(日本・軽井沢)など計8種類のビールが運ばれてきた。受講生にタイプの違うビールを自分の舌で味わってもらい、“シブヤビール”の味の方向性を決めようということだ。目の前で開けられていくビール瓶を見ていると、自然と喉が鳴ってしまう。
おいしいビールをチビチビやりながら、「ビールがすごくおいしいシーン」「ビールのない世界は○○だ」「あったらいいなこんなビール」など、漠然と持っているビールのイメージを言葉やイラストなどで具体的な形にして発表していく。一つの商品で人によってここまでイメージが違うのかと思えるほど、年齢も職業も異なる受講生たちから、十人十色の意見が。全7回の講義をする紫牟田さんは「ライフスタイルが異なる受講生が集まっているので、さまざまなアイデアが生まれてくる。最終的にどんなビールができるか想像もできないが、世界一おいしいと思えるものになるといいですね」と期待を語った。
販売員をしている受講生は「ビールは“とりあえず一杯”で、人とのつながりを生んでくれるもの。大人のコミュニケーションツールとしては欠かせません。この講義を通して、自分が飲みたいビールというよりも、みんなに愛されるビールを作りたい」と意気込みを語った。
来年2月まで続く「ビール醸造ゼミ」。第2回目は、「シブヤ」について考える。ビール好きという共通点だけで集まった受講生たちが、いったいどのような“シブヤ”の味を作るのか、ビール党でなくとも気になるところ。今後もビーラー(ビール大好き人間のこと)である記者が、毎月その進捗状況を報告したい。【東京ウォーカー/町田拓郎】
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