「バケモノの子」大ヒットの秘密は“草の根”プロモーションにあった!?【後編】

東京ウォーカー(全国版)

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細田守監督の3年ぶりとなる新作アニメーション映画「バケモノの子」。7月11日の公開からわずかひと月で観客動員数300万人を超える大ヒットとなっている。その作品の魅力と、LINE公式アカウントによるプロモーションについて、プロデューサーでありアニメーション映画制作会社、スタジオ地図の代表を務める齋藤優一郎さんと、日本テレビのぽこPさんに話を聞いた。

スタジオ地図代表を務める齋藤優一郎さん(写真左)と、日本テレビのぽこPさん(同右) 。細田作品をより多くの観客に届けるため、1週間に数十時間に及ぶ会議を重ねることもあるのだとか


人生を反映したLINEならではの純粋なコメント


――現在約26万人が友だちになっていますが、急激に増えた理由はなんだと思いますか?

ぽこP「7月に、3週連続で細田監督作品を放送した金曜ロードショーのオンエアの直前と直後でLINE LIVE CAST(生放送)を行ったところ、毎回約2万人ずつ計6万人も増えました。面白かったのは、あまりテレビを観なくなったと言われる、18歳以下の若い世代に多く視聴してもらえたこと。地域も首都圏だけでなく、全国各地に広がっていたのが印象的でした」

齋藤「LINEはホーム画面のタイムラインに記事が表示されますが、純粋なアクセス数(UU)は7月末までで260万人超え。累計のページ閲覧数(PV)で600万件を超えるヒットがありました。記事のシェア数は4万3000件を記録しています」

――数あるSNSのなかで、LINEで映画の魅力を広めるメリットはなんでしょうか?

ぽこP「映画の口コミは、クローズドな環境で発言ができるLINEがぴったりだと思っています。なぜならFacebookやTwitterでのある程度オープンな場での発言は自分のフォロワーの目に触れるため、ある意味、センスが問われますよね。現在のWEBプロモーションは、LINE上でいかに多くの口コミをしてもらえるか、を考えるのが一番の課題だと思います」

――LINE LIVE CAST中のコメントで印象に残っているものはありますか?

ぽこP「『時をかける少女』は2006年の作品ですが、当時小学生だった女の子から『今年、ヒロインの真琴と同じ17歳になったよ!』といった、視聴者の成長を感じられるコメントがついたときは感慨深かったですね。細田監督作品は、3年ごとに作品が公開されています。3年って人生の節目節目になりやすいですよね。いろんな人の人生と共に作品が愛されていてうれしいです」

齋藤「『小さなころに感じていたセリフの意味やテーマが、自身の成長と共に、よりその理解が深まり、また違う見方もできるようになった』など、人生にひも付いた感想をもらったとき、作り手としては大きな感動をおぼえます」

ぽこP「生放送へのコメントは他の友だちには見えないので、恥ずかしがらずに純粋な気持ちを表現してくれます。スタジオ地図の細田守監督作品に少しずつ愛着を持ってもらえているのを実感しました」

――タイムラインの記事はコメント欄も有効活用していますね。

ぽこP「多くの公式アカウントはコメント欄を削除していますが、スタジオ地図の細田守監督作品を好きな人が集まる場を無くしたくなかったので、コメント欄を削除していません。『“時かけ”のココが面白いんだよ』って声に対し、『それなら私も観てみたい!』と、ありがたい循環が生まれたりする。スタジオ地図の細田守監督作品の楽しみ方をユーザーたちが提案してくれるのです」

「バケモノの子」のLINEスタンプが登場!熊徹、九太、チコなどが登場


40種類のLINEスタンプが登場!描き下ろしの新作も


――今後の展開について教えてください。

齋藤「8月13日(木)から『バケモノの子』のスタンプ40種類を配信させていただきます。また、その絵柄の多くは『バケモノの子』作画監督である山下高明さんが新たに描き下ろした新作スタンプです」

ぽこP「長く愛されるスタンプになればいいなぁと思います。また、8月14日(金)18時、スタジオ地図のLINE上でLIVE CASTを実施します。齋藤さんや現場スタッフから“二度観のポイント”など、リピーター向けのコアな情報を発信してもらえれば。アニメのプロデューサーはあまり表に出ないので、ジブリの鈴木敏夫さんくらいしか知られていません。齋藤さん自らファンに語りかけてもらうことに価値があると思います」

齋藤「細田守監督作品は鏡のような作用があって、それぞれの記憶や思いなどを映し出し、様々な映画の見方や感じ取り方ができる、そんな特徴もあると思っています。当日はたくさんの方々とやり取りさせていただきたいです」

ぽこP「『バケモノの子』のプロモーション中に、GEOさんから情熱的な提案をいただきました。GEO店舗内に『スタジオ地図』の棚を作りたい、という内容です。まだまだ知名度が高くないスタジオ地図からすると、恐れ多い提案でした。思えばスタジオジブリも歴史を紐解くと、もの凄い提案を外部の人が持ってきてくれて、大躍進しました。ケタ違いの提案がついにスタジオ地図にも届くという、歴史の節目に立ち会えた気がして、GEOさんとの打ち合わせ中は震えていました(笑)」

齋藤「僕も細田監督も、映画を作らせていただけて、しかも多くの方々に観ていただけるというのは、奇跡の連続の結果だと思っています。だからこそ、今後も感謝の気持ちを忘れずに、1本1本、背筋を正して映画を作り、皆さまのもとにお届けするために必要なことは全力でやっていきたいですね」

【東京ウォーカー/取材・文=杉山元洋】

■齋藤優一郎(さいとう・ゆういちろう)

「時をかける少女」以降、細田守監督作品のプロデューサーを歴任し、その制作の拠点となる、スタジオ地図の代表取締役を務める。

■ぽこP(ぽこぴー)

はてなでのアルバイトののち、スタジオジブリを経て、日本テレビ放送網に入社。「バケモノの子」ではアソシエイトプロデューサーとして、スタジオ地図のWEB関連のプロモーションを一手に引き受けている。

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