【WEB連載:はーこのSTAGEプラスVol.11】文房具が好きな人必見! ヨーロッパ企画「遊星ブンボーグの接近」
関西ウォーカー
【「ヨーロッパ企画」のこと】
「ヨーロッパ企画」という劇団、知ってます? 京都を拠点にマルチに活動する劇団で、脚本・演出の上田 誠が設計したトリッキーな劇構造を、日常会話を積み重ねてコメディに作り上げる。その発想力と企画力には「よぉ、こんなん考え付くなぁ」と、笑いながら驚かされますね、いつも。メンバーたちも個性的で味があり、絶妙のアンサンブル。
ユルさと緻密さが同居する舞台は、演劇を観たことのない人を「ちょっと観に行かへん?」と、安心して誘える。映画「踊る大捜査線」シリーズなどで知られる本広克行監督は小劇場が好きで、関西もよく訪れているのだけど、「サマータイムマシン・ブルース」(05年)、「曲がれ!スプーン」(09)は、ヨーロッパ企画の舞台を映画化したもの。だから、本広監督の映画を見ていると、主人公の後ろに劇団員がいたりして、見るのが忙しい(笑)。
で、新作です。「遊星ブンボーグの接近」。上田が何年も前からアフタートークとかで「文房具コメディやりたい」と言ってた舞台、ついに登場です。今回は、滋賀県の栗東からスタートして、関西圏以外に名古屋、東京、高知、広島、福岡、横浜と全国9都市で上演。いつも、この1年に1度の本公演のため、映像にラジオにイベントに、そりゃもう、1年間さまざまな実験企画を試み、それらを生かした集大成として新作に臨むというスタイル。作品は、まず企画ありき。そこから発想を展開していく。
【記者会見のこと】
8月に制作発表がありました。ここ数年の会見は、まず前作から始まる、1年間の活動を編集したダイジェスト映像から始まるんです。初めて会見に参加する記者さんにもわかりやすいね。上田が創作過程と意気込みを話し、客演の紹介を経て、さらにその後、メンバーの“企画コーナー”という大喜利みたいなイベント?まである。今回はメインキャッチコピーを考えるコーナーで、メンバー4名がチラシにある「なんて悠長な!」とは違う新コピーを披露。「だから、どうやねん!」と、ツッコミを入れたくなるお笑いタイム。
とゆ~わけで、「ヨーロッパ企画」の会見は質疑応答までがメッチャ長い。1時間ぐらいの会見で、質疑応答まで50分もかからへんよ、普通は!(笑)。帰りには上田の実家“上田製菓”の焼き菓子・ラスクのお土産付きで、ほぼ楽しいイベント状態なのです。
で、肝心の作品内容は?というと、通常はネタバレを避けてテーマと空気感を伝えるという、ほぼチラシのイメージで終始する。会見のイベント化は、具体的なところに質問が及ばないようにする計画的構成なのか…? ところが、今回は違ったんです。「そこまで言っていいんかい?」的な内容で、逆にこちらが自主規制しないと…って思うくらい。
【「遊星ブンボーグの接近」のこと】
保育園の卒園文集に「文房具屋さんになりたい」と書いたほどの文房具好きと言う上田誠。「手元の宇宙、箱庭の世界、という感覚があって。パソコンを離れて、文房具触ってると癒される。そういう時間を大切にしたいというのが、今回の作品を作るきっかけでした。非常に悠長な劇になるなぁと(笑)。今回は“拡大”がテーマです。文房具を拡大して、ミクロの世界で文房具を観光していくという、文房具コメディです」。
音楽は上田が前から好きだったと話すHARCOが初めて参加。文房具の音をサンプリングして作った“文房具の音”という楽曲があり、「その曲から今作がインスパイアされて。文房具は音が大事なんだと気付かされ、今回は文房具の登場順に組曲をお願いしました。宇宙的な音楽も作ってる人なので、今回は音楽と劇のマッチングもお楽しみいただければ」。
登場する文房具に関しては「できるだけお客さんの期待している文具をたくさん出したい。ホッチキスやセロテープ、蛍光ペン、クリップなど、普段使いの手元にあるものを中心に観光していきたいなと。選別が悩ましいです」と。
【チラシのこと】
撮影場所は、劇団員の西村直子のおばあちゃんが営む“ステイショナ西村”という文房具屋さんだ。ちなみに、チラシでみんなが持っている緑色の“遊星下敷き”は出て来ないんだそう。ほしいなぁ~。
【取材・文=演劇ライター・はーこ】
この記事の画像一覧(全2枚)
キーワード
- カテゴリ:
- タグ:
- 地域名:
テーマWalker
テーマ別特集をチェック
季節特集
季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介
全国約900件の花火大会を掲載。2025年の開催日、中止・延期情報や人気ランキングなどをお届け!
ゴールデンウィーク期間中に開催する全国のイベントを大紹介!エリアや日付、カテゴリ別で探せる!
おでかけ特集
今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け
キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介