目指せ五輪!将来有望な女子フィギュア選手がずらり

東京ウォーカー(全国版)

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8月5日(水)から8日(土)まで、タイ・バンコクで開催されたフィギュアスケートの国際大会、アジアンオープントロフィーを取材した。バンコクにはいくつかのスケートリンクがあり、そのすべてがショッピングモールの中にボウリング場や映画館と並んで娯楽施設として設置されている。国際大会を開催できる規格のリンクはたった1つしかない。

氷上競技はまだまだ発展途上だが、オリンピック出場を目指して練習に励んでいる選手も存在する。アジアンオープントロフィーに日本からは将来有望な若手選手が多数出場した。ジュニアグランプリシリーズやチャレンジャーシリーズの開幕を控えて、プログラムをチェックする調整の機会として重要な意味を持つ大会だ。今回はシニア女子クラスに出場した日本人3名を取り上げたい。

今季、躍進を遂げそうなホープ、三原舞依のショートプログラムの演技


まず紹介したいのが、シニア女子クラスで優勝した三原舞依。この大会において、ショートプログラム、フリースケーティングの2本を最もうまくまとめたのが彼女だ。「ミスもあったので納得はしていない」とのことだが、氷のコンディションが悪く、どの選手も苦労していた。そんななか、そつなくアジャストしての優勝である。

「昔、通年のリンクで練習できなかったのでいろいろな所に練習に行っていました。その経験もあってコンディションに合わせることは得意なんです」。

非常にクレバーな選手だ。そして勝負強い選手でもある。2013年の全日本ジュニア選手権で2位に入賞した時も、2014年の全国中学校大会で優勝した時も、強豪選手がひしめくなか、彼女の下馬評は決して高くはなかった。それでも終わってみれば素晴らしい成績を残す。今季は大きな飛躍のきっかけをつかんだように感じる。

目標として掲げたジュニアグランプリファイナルへの出場…ジュニアグランプリシリーズにおいて2戦連続2位になり、出場の可能性は高くなった。さらに、「全日本ジュニア選手権では優勝を狙います。でも、あんまり気負わずに自分のできることをしっかりとやっていきたい」と続ける。

ところで彼女は大の真央ファンでもある。ただスケーターとしてのタイプはずいぶん違うように感じる。この点については、「まだまだ遠い存在です。でもこれからもっと頑張って、いつか浅田選手を自分の目標と言えるようになりたい」と力強く発言してくれた。今季は、謙虚さとしたたかな野心を併せ持った彼女の快進撃が見られそうだ。

坂本花織のショートプログラムの演技。今年は大人っぽい路線に挑戦する


次に紹介するのは坂本花織。三原とは、同じコーチに師事するチームメイトでもある。彼女の魅力は抜群の身体能力と、そこから生まれるバネの強さを感じさせる躍動的な演技だ。今大会では残念な結果に終わったが、今後に向けて期するものを感じさせた。

今季、坂本はプログラム作りで新たな挑戦をした。昨シーズンまでの“元気さ”をアピールする路線から、“大人っぽさ”を演出する路線に切り替えたのだ。これはコーチの提案によるもので、坂本自身は「最初は出来るかどうか自信がなかった」という。現時点では未完成と感じているようで、「ショートの『マラゲーニャ』は力強さが足りない、フリーの『カラー・パープル』はしなやかさが足りない」と分析する。とはいえ、徐々に良くなっていっていることに手応えも感じているようだ。

昨シーズンは初めて世界ジュニア選手権に出場。世界の強豪と同じ舞台で戦い、力不足を痛感した半面、「ここまでは通用するんだ」との自信も得た。今季は世界ジュニア選手権とユースオリンピックへの出場を目標に据えて取り組む。そして全日本ジュニア選手権では優勝を狙うと言い切った。

この試合において期待されたほどのパフォーマンスを発揮できなかったのは、身長が大きく伸び、ジャンプが崩れたことも影響しているようだ。秋までには調整をして、素晴らしい演技を見せてくれることだろう。そして表現面での改善にも意欲的に取り組んでいる。今年から始めたバレエの楽しさに目覚めたそうで、その効果はすでにジュニアグランプリシリーズでも発揮されている。今年の全日本ジュニア選手権は熱い戦いが期待できそうだ。

演技中、笑顔を見せる加藤利緒菜。プログラムの出来に自信を持っている様子が演技からも伝わってくる


最後に取り上げるのは加藤利緒菜。昨シーズンはNHK杯でも注目を集め、今回は優勝候補のはずだったが、直前に痛めた足の状態が悪く、コーチは棄権も考えていたほどだった。ただ加藤本人は棄権する気など毛頭なく、いかにこの試合を乗り切るかを考えて調整していたようだ。バンコクに入ってからも地元の病院に通ってリハビリを続け、何とか試合に間に合わせた。

ショートは3トゥループ-3トゥループのコンビネーション、ソロジャンプは3サルコウという構成。難度を落とした構成なのにもかかわらず、サルコウジャンプではミスを犯した。「この構成での練習をほとんどしていなかったから」と原因を語るように、やり慣れた構成で臨みたかったようだ。だが、「もしショートで無理をして足の状態が悪化するとフリーを棄権しなければならなくなる」。それを避けるため、足に負担のかからないサルコウを選択したのだという。

そしてフリーを迎える。コーチは実はここでも安全策を検討していた。ところが加藤はその提案を受け入れなかった。「フリーが終われば別に足が痛くなっても構わない。それよりもやり慣れた構成で臨みたい」。結果、ミスはあったものの何とかまとめる演技を披露できた。

以前の加藤は、力強さが足りない印象があった。それが今季、明らかに強くなっている。スケーティングの力強さが増し、演技中の笑顔、そして指先の表現も上達している。けがが多く、なかなか軌道に乗れないのが残念だが、今季こそは飛躍のシーズンにしてもらいたい。

今季の目標についてはこう語る。「全日本選手権で表彰台に乗ること、そして世界選手権に出場すること。今年の素晴らしいプログラムが完成すれば、この目標はそう遠いものではないと思っています」。以前の加藤からは想像できないような、力強い回答だ。この後はチャレンジャーシリーズのオンドレイ・ネペラ杯を経て、西日本選手権、ロシアカップのローテーションへ。楽しみに見守りたい。【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】

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