【WEB連載：はーこのSTAGEプラスVol.13】伊礼彼方が出演する音楽劇「星の王子さま」、芸文センターで上演！

【音楽劇「星の王子さま」のこと】

世界中で読まれ、舞台上演もされているサン=テグジュペリの「星の王子さま」。子供だけでなく、大人にとっても心に深く響く永遠の名作を、達者な役者3人とピアノ、コントラバスのミュージシャン2人という編成の音楽劇で。上演は、水戸、埼玉、福井、東京、兵庫の5か所。各地でワークショップを行い、子供や20代の若い人たちもアンサンブルとして出演する。

脚本・演出は、劇団☆新感線などの脚本でも知られ、小劇場から商業演劇まで幅広く活躍している青木 豪。作曲・音楽監督は、笠松泰洋。音楽を愛する青木が作り上げる、密度の濃い音楽劇だ。出演は、王子さまに昆 夏美、飛行士ほかの役に伊礼彼方、原作にはない飛行士の親友役をナイロン100℃の廣川三憲、ピアノ演奏の服部桂奈は薔薇の役も演じる。コントラバスは小美濃悠太。

大千穐楽は兵庫県立芸術文化センター。しかも、21年前に阪神淡路大震災が起こった日。この日に観る「星の王子さま」は、ほかの公演にはない感動を呼び起こすに違いない。

8月、大阪での舞台公演を終えて芸文センターに伊礼彼方が来館。稽古を控え、作品への思いを語った。

【伊礼彼方のこと】

2006年に24歳で舞台デビュー。2008年に『エリザベート』ルドルフ役に抜擢されて以降、音楽活動を続けながらミュージカルはもとより、『朝日のような夕日をつれて2014』や『スリル・ミー』など作品のジャンルや公演の大小を問わず、さまざまな役柄に挑戦し、多数出演。それは「こだわりを持たないところにこだわりがある」から。「つねに違う表情を見せていきたいから、役がかぶらないように。演出も、いろんな人で勉強したい」と意欲的だ。伊礼彼方の舞台を追いかけていると（ものすごく出演しているので、追いかけるのも大変だけど）、多種多様な作品と出会える楽しさもある。

【作品への思い】

30代前半ながら「飛行士役をやる年齢になったんだなと実感しました。若手役から、最近はそろそろ変わりつつある時。忘れかけてる子供の心を取り戻せる気がして、ありがたい」と出演を引き受けた。と言いながら、本人は「いまだに大人ぶってる人には反発するタイプで（笑）」。「星の王子さま」は、大人になった子供たちが作り上げる作品。最適な配役だ。出演が決まってから、改めて本を読み「大人も子供も楽しめる、普遍的なテーマが魅力ですね。遠くのお客さんに届けるのにも素敵な作品。わざわざ都心に来なくても芝居が観られるように、地方へ行きたいと思っていたので、今回そのきっかけをいただきました」

舞台ではソロあり、昆 夏美とのデュエットもあり。「昆さんは小柄でかわいいし、まっすぐで透明感のある歌声の持ち主。笠松さんの楽曲は、オペレッタふうのものもあり、おしゃれです。読みやすさと美しさのある作品だから、すごく素敵だったねと思ってもらえたら。飛行士の役は、まっさらな白いキャンパスのようでありたいと思っています。僕はまっさらになってやるから、お客さんもなにも考えず、まっさらな気持ちで劇場に来てほしい。星の王子さまが、あなたの街に降り立ちますよ！」

【伊礼彼方、その素顔とは！？】

よく響くバリトンの歌声と恵まれた容姿。『エリザベート』のルドルフ役の印象が強く、“シュッとしててカッコイイ王子様”的なイメージがある。が、「しゃべると残念って言われる（笑）」。どうやらただの王子様ではなさそうだ。「関西ではそのギャップにファンの方が増えるんですけど、東京ではそのギャップが受け入れられなくてね。『あれ～？王子様だと思ってたのに！？』って（笑）」。今では伊礼のファンから周囲の関係者まで、関西人比率が高いらしい。

「僕、めちゃめちゃテンション高いんですよ（笑）。生まれがアルゼンチンで、そのテンションと関西人のテンションがラテンな感じで似てる。『なんでやねん！』とか、ツッコミとか勢いとか、開いた感じがすごく似てて。なので、関西に来るとすごく居心地がいいんですよ、第2のふるさとって言っていいぐらい」。サービストークではない、マジ、だ。「そこらへんにいる、おじちゃんやおばちゃんと普通にしゃべれちゃう。東京だと敬語を使うけど、こっちに来ると親しみやすい感覚になって。関西って不思議な場所ですね。東京では僕もお行儀よくしているけど、楽なのは絶対関西です（笑）」。

その実態は、16日（土）の公演後に予定されている、アフタートークの時間に明らかになるだろう。舞台とともに、乞うご期待！

【取材・文＝演劇ライター・はーこ】