フィギュアスケートJr大会で見た“未来のスター候補”【前編】
東京ウォーカー(全国版)
8月28日(金)から30日(日)まで、ダイドードリンコ・アイスアリーナ(東京・東伏見)にて東京夏季フィギュアスケート・ジュニア競技大会が開催された。通称、夏季ジュニアと呼ばれる伝統あるローカル大会であり、かつては関東一円のジュニア以下の選手がこぞって参加していた。昨今は選手数の増加に伴い、東京都連盟所属選手を中心とした大会となっている。新プログラムのお披露目をする場として活用する選手も多く、夏の練習の成果を間近で見られる大会でもある。今回、飛躍的な成長を見せてくれた選手のなかから、前後編に分けて数名を紹介したい。

渡辺倫果(わたなべ・りんか) / ノービス女子Aクラス
幼少時から関東のファンの間では良く知られた選手で、2013年のNHK杯エキジビションに出演した際は、その堂々たる演技で話題を呼んだ。今季も活躍が期待されるが、この試合ではあまり良い演技ができなかった。「練習では良かったんですが、試合では失敗してしまいました」。実際は肉離れをしていたそうだが、それを言い訳にしたくないとの思いが強かったようだ。
こうしたエピソードからも分かる通り、実に負けん気の強い選手である。小柄ながら、それを感じさせないパワフルな演技をする。「全日本ノービスでは1位を取りたい。そして全日本ジュニアでは少しでも上位に行きたいと思います」。昨年、ショート落ちをしてしまった全日本ジュニアのリベンジを果たしたいとのこと。
現在のコーチである大石コーチと杉浦コーチには小学2年生からの5年間、指導を受けている。「大石先生は特にトゥループの指導が上手で、選手の意見も聞いてくれます」。そして杉浦コーチについては「優しい先生です。振付も素晴らしいと思います」。その杉浦コーチが振付を担当した今季のプログラムでは、かつて浅田真央も滑った「Ladies in Lavender」を使い、今までにない大人っぽいイメージに仕上がった。「自分から、大人っぽいものをやってみたい、とリクエストして作ってもらいました」。東京ブロックまでは時間が少なく、けがからどこまで回復しているかは未知数だが、是非とも全日本ノービスにつながる演技を期待したい。

堀義正(ほり・よしまさ) / ジュニア男子
まだ知名度はそれほどない選手だが、昨シーズンから急速にジャンプの力を身につけてきた将来が楽しみな選手だ。「跳ぶコツを急に掴んだんです。ジャンプに入る前の滑らせ方、トゥの突き方が分かりました」。実際に目の前で、フリップの入りの動作を実践して見せてくれた。「佐野稔先生の指導を踏まえて、自分なりに研究しました。先生の指導は厳しいところもありますが、自分のために言ってくれていることは理解しています」。特に上達したのはフリップジャンプ。今季、ジュニアカテゴリーではショートプログラムにおいてフリップジャンプが必須課題となっている。堀にとっては有利な材料だ。そしてこの大会において、トリプルアクセルにも挑戦した。
「練習では成功していますが、まだ完成はしていません。それでも今季は試合で挑戦します。トリプルアクセル、そしてトリプルフリップ-トリプルトゥループの連続ジャンプを決めて、フリーで100点を超えるのが今季の目標です。東京ブロックでは優勝を狙います」。
ところで彼の演技を見ると、確かにジャンプは進歩したのだが、それ以外の部分、特に表現に関してはまだまだ発展途上だと感じる。本人も自覚しているようで、「バレエやダンスもやっていますし、町田樹選手の映像を見て参考にしています」と説明する。町田の表現力が、目指すべき目標なのだという。まだまだこれからの選手ではあるが“ジャンプを跳べる男子選手” というのは、観客をワクワクさせる。是非とも順調に育ってほしいものだ。

川畑和愛(かわばた・ともえ) / ジュニア女子
昨秋からジャンプが急成長。今春、世界国別対抗戦の折に、東京都連盟所属選手を対象としたスケート教室が開かれたが、そこでも海外のトップ選手から注目を集めた。今回も順調な成長を感じさせる演技内容だった。ジャンプが跳べるようになったきっかけは「軸が分かるようになった」こと。踏み切って回転軸を締める、その感覚を掴んだようだ。
ジャンプは都築章一郎コーチの指導を受けているという。幼少時の羽生結弦を指導し、現在は青木祐奈も育成している名コーチだ。今春の段階ではフリップジャンプが未完成だったが、ひと夏を越えてすっかり仕上がっている。
「今年の全日本ジュニア、まずは入賞を目指し、全日本にも出場したいです。そして、将来はオリンピックに出場したい」と力強く語ってくれた。憧れの選手について聞いてみたところ、ジャンプに関しては羽生結弦、表現についてはパトリック・チャンという2人の男子チャンピオンの名前が挙がった。
特に今季はフリーに「アランフェス」を選んだこともあり、過去に同じ曲を滑ったパトリック・チャンを意識しているという。表現力の向上のためにバレエを習う選手は多いが、彼女は心からバレエが好きなようで「週2回の練習だけでなく、バレエの公演も時々観に行きます」とのこと。
<後編に続く>
【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】
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