140万部突破の伊坂幸太郎作品を映画化! 「グラスホッパー」瀧本智行監督にインタビュー【その2】
関西ウォーカー
※その1の続きhttp://news.walkerplus.com/article/67660/
―ターゲットを自殺に追いやる鯨という特異な殺し屋に、浅野忠信さんを起用した決め手は何だったのでしょうか?
「そもそもある種の催眠術のような力で、相手が死にたくなる様子をどうやって撮ればいいのかさっぱりわかりませんでした。そこは俳優さんに預けるしかない、自然に演じられるのは浅野さんしかいないと。CGやエフェクトを使うことも考えましたが、浅野さんを見ていると小手先のことはやめようと思いました。浅野さんの深い声と顔を撮っていれば、観ている人も自然とスクリーンに引き込まれていくと確信したので」
―蝉を演じた山田涼介さんは、キレのあるアクションが魅力的でした。
「蝉と鯨のアクションシーンは、ただのアクションというよりも“決闘”といったイメージです。カッコよさよりもアクション自体にストーリー性があって、泥臭いアクションにしたかった。そういう気持ちが前提にあったので、蝉が最初に見せたアクションは映像的というか、画で見せる撮り方を意識しましたね。山田くんは勘がいいので、アクションにはそこまで苦労しなかったと思います。むしろ男の勝負という意味では、浅野さんの色気に負けて飲まれてしまうのではないかなと気にしていました。しかし、浅野さんを飲んでやると言わんばかりの勢いがあったので心配いりませんでしたね」
―渋谷のスクランブル交差点でのシーンは、どういった手法で撮影されたのですか?
「渋谷の交差点は交通量も人通りもすごいので、とてもロケできるようなところじゃないんです。ですので、あの交差点を実寸大で別の場所に作りました。地下鉄の入口など一部を作って、ほかは合成しています。事故が起こるハロウィンのシーンは、去年の10月31日に渋谷に行って撮影した様子です。あまりの人の多さに驚きましたよ!」
―原作ファンの思い入れも強い、架空のカリスマ的ミュージシャン、ジャック・クリスピンの楽曲は、映画ならではの深みを生んでいたように思います。
「小説にできなくて映画にできることは、画にすることであり音にすることだと思います。原作で蝉の相棒・岩西(村上 淳)が敬愛するジャック・クリスピンという架空のロック・ミュージシャンの歌を聴いてみたいと思ったので、伊坂さんにイメージをうかがいました。すると、現代において伝説的なロックバンド『ザ・ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン』の名前が上がったのです。本人たちも架空の人物になりきって楽曲を作るという依頼をおもしろがって快諾してくれました。蝉と岩西の関係性を歌詞に入れてくれたり、間奏のタイミングも含めて2分14秒ぴったりの尺で作ってくれたりと、こちらがリクエストしたことに完璧に応えた挿入歌を完成させてくれました。今ではいちファンとして、いつも車で聴いています。作品内でも、もっと聴いていただきたかったくらいです(笑)」
―最後に、本作の見どころを教えてください。
「サスペンスにアクション、ラブストーリーまで、エンタテインメントのありとあらゆる要素を詰め込んだ作品になっています。これほどまでにキャスティングがうまくいったのは初めてなので、豪華キャストのさまざまな顔を楽しんでいただけたらなと思います」
―ちなみに…京都ご出身の瀧本監督が関西で必ず立ち寄られるお店などありましたら教えてください。
「帰省した時に立ち寄る京都駅の立食いうどんでしょうか? うまいんだよね! うどんのレベルは東京と格段に違う。そばは東京の方がうまいけど、うどんは圧倒的に関西。必ず立ち寄ってますね」
【取材・文=大西健斗】
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