全日本ジュニア展望、“オールバック”山本草太のライバルは?
東京ウォーカー(全国版)
11月21日(土)に開幕した「全日本フィギュアスケートジュニア選手権大会」。男子・女子共に例年になく見どころの多い大会になりそうだ。ここでは男子シングルの展望をお伝えしたい。
山本草太
絶対的な優勝候補である彼は、この試合をステップにジュニアグランプリファイナルへと向かう。結果だけでなく内容も求めたいところ。西日本選手権ではフリーで4回転トゥループ2回、トリプルアクセル2回を組み込む難度の高い構成に挑戦。残念ながらミスの目立つ演技となったが、全日本ジュニアも同様の構成で臨む。「アメリカ大会でネイサン・チェンと当たり、30点以上の差で負けてしまって。すべての要素のレベルが違うことを実感しました」という。今季の見どころの一つとしてショートが挙げられる。「ポエタ」の音楽に乗せて、髪形もオールバックに決め、従来の彼のイメージを覆す情熱的な表現に挑戦している。

山隈太一朗
西日本選手権ではトリプルルッツ+トリプルトゥループのコンビネーションを決めて、2位と大健闘。実はこれが、試合で決まった初めてのトリプル+トリプルだそうだ。思うような結果が出ない時期が続いていたが、見事な復活を遂げた。全日本ジュニアの前にトリプル+トリプルを決めることができ、自信を持って試合に臨めそうだ。「全日本ジュニアでは表彰台を狙います。シニアの全日本にも出たいし、世界ジュニアにも出たい!」と力強く語ってくれた。

友野一希
今季はトリプルアクセルのみならず、4回転ジャンプにも意欲的に挑戦している。幼少時から身体能力の高さに定評のあった選手だが、大技の習得には時間がかかったようだ。「トリプルアクセルの習得には4、5年かかりました。時間のかかるタイプなんです。でも、一度できればコツをつかむのは得意です。特に習得のきっかけがあったわけではなく、突然できるようになりました」。観客を惹きつける表現力に加え、大技も身につけた彼はいよいよ才能が花開くか。

本田太一
才能ある選手が、また一人復活を果たした。昨季は怪我のためにブロック大会を欠場し、全日本ジュニアへの出場も果たせなかった本田太一だ。「昨年は自宅で応援していました。悔しかったし、悩んだこともありました。でも他の選手たちが頑張っているのを見て、自分も来年こそは、という気持ちで取り組んできました」。氷上の練習ができない間、黙々と陸上でのトレーニングを積んだのだという。休養前に比べて、体が大きくなりシニア選手のようなしっかりしたジャンプが跳べるようになった。「今年は自分が上に行く、という強い気持ちを持ってやります。シニアの全日本に出られる6位以内を目指したい」。

島田高志郎
今季からジュニアに昇格。ジュニアグランプリにも出場し、類まれな表現力と才能ですでに多くのファンを魅了している。「海外の選手は大きな演技をしていました。僕も練習から大きな演技ができるよう、心掛けてやっています。お客さんの心に残る演技がしたいんです」。ジャンプの才能のみならず、ノービス時代から卓越した表現力を披露してきた彼だが、将来に向けてどんな表現を目指しているのだろうか。「今は楽しい曲や盛り上がる曲が好きなんですが、将来的には高橋大輔選手のような、引き出しが多く、それをすべてお客さんに伝えられるようなスケーターになりたい」。

鎌田英嗣
昨季、ジュニアグランプリにも挑戦し、インターハイでは2位入賞。今季もジュニアグランプリに再び出場することになった。「そろそろ世界で自分の名前を広めたい」との思いを持って、世界の舞台に挑戦して糧となったことは何だろうか。「ラトビアのワシリエフの演技に感銘を受けました。踊りがとにかく上手い!自分も踊りとスケーティングを極めて、そこにトリプルアクセルが加えれば、それなりに世界で戦えるんじゃないかと」。今後の目指す方向について、大きなヒントを得たようだ。また、独特の表現力が鎌田の特徴でもある。「自分ではぴしっとやっているつもりなんですが、体が柔らかいため、くねくねとした独特の動きになるんです」。

宮田大地
東京ブロックの後、ジュニアグランプリに出場。連戦の疲れからか、腰に痛みが出て調整には苦労したようだ。今季、ショートプログラムには「シンドラーのリスト」を選んだ。「ジョシュア・ファリスが好きなんです。彼の演技を観て気に入ったのがきっかけで、この曲を選びました。スケーティングで観る人を感動させられるスケーターになりたい」。他には高橋大輔にも憧れているようで、表現力に長けた選手を目指しているようだ。今年、大学進学を機に東京へと拠点を移しており、ジュニアのカテゴリーでは年長組だと自覚しているようだ。「年上としてしっかり引っ張っていきたい。そして表彰台を狙いたいと思います」。

唐川常人
滑らかなスケーティング技術に定評のある選手。今季は意欲的にジャンプ練習に取り組んできた。「夏の練習でかなり跳べるようになりましたが、まだ安定はしていません。それでも今季のショートは、ルッツ、フリップで組んでいます」。広島から横浜の佐藤信夫コーチのもとに移籍してきた経緯がある。「佐藤先生は無理をさせることなく、ジャンプやスケーティングなどをじっくりと改良してくれました。ジャンプはまだまだ修正中ですが、スケーティングは広島時代よりも上手になったと言われます」。今季の目標は、全日本ジュニア6位以内入賞とシニアの全日本に出場すること。そのためにはジャンプを安定させたいところだ。

以上、注目選手を紹介したが、他にも魅力的な選手は大勢いる。今回は取材する機会がなかったが、中村優ももちろん上位争いに加わってくるだろう。今季からジュニアに昇格した三宅星南や木科雄登の活躍にも期待したい。須本光希、櫛田一樹も今後が楽しみな選手である。
【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】
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