日本百名道×S660で、クルマが曲がる楽しさを発見
東京ウォーカー(全国版)
車のプロである開発者は、普段どのようなドライブを楽しんでいるのだろうか? 今回ご登場いただいたのは、株式会社 本田技術研究所 四輪R&Dセンターの椋本 陵氏。同社における歴代最年少の開発責任者として、今年4月2日に発売された新型オープンスポーツ「S660(エスロクロクマル)」を生み出した椋本氏に、軽自動車のスポーツカーの魅力と、それで走るおすすめの場所について伺った。

─昨年話題となった「S660」を開発した経緯を教えてください。
椋本陵(以下椋本):私は幼い頃からスポーツカーが大好きで、Hondaに入ってスポーツカーを作りたいと思っていました。そんな時、研究所創立50周年記念の新商品企画コンテストがあり、軽スポーツカーの提案をして1位に選ばれ、それが量産までつながりました。ではなぜ、軽自動車のスポーツカーを作ったかというと、昔から好きだった「S2000」という、「S660」のお兄さんのようなクルマがあるのですが、スペックがすごく高かったんです。240馬力以上を発する超高性能スポーツカーで、乗りこなせなくて……。暴れ馬といいますか、免許取り立ての私には難しかったです。ですので、価格帯もスペックも、自分にとってもっと身近な存在。自分が乗って「扱いきったな」という達成感が味わえるような、小さいスポーツカーがあれば面白いだろうな、と思ったのが着想のスタート地点ですね。日本の道路事情を考えると、軽ぐらいがちょうどいいこともあります。もちろん国によってさまざまですが、アメリカと比べると日本の道幅は狭いですし、300馬力、400馬力のスポーツカーがあっても、日本ではそれを使い切るというシチュエーションは少ないですよね。そこで、64馬力という小さなパワーを“使い切る”という楽しさ。これを実現したかったわけです。

─椋本さんが考える、スポーツカーの定義とは?
椋本:やはり、心を揺さぶると言いますか、感動を得られるものだと思っています。ロー&ワイドという言葉があるように、私が好きになったきっかけである、“スポーツカーらしいフォルム”というのが存在します。そのフォルムを目にして「乗ってみたいな」という気になり、実際に乗ると驚くほどよく走ったり曲がったり、とても気持ちよくなれる。見て、乗って、楽しいという感動を得られるクルマ、すなわちスポーツカーだと思うんです。
─椋本さんが定義するスポーツカーを実現するために、どんな方向性で開発を進めたのですか?
椋本:シンクロ率というか、人とクルマが一体となって、もはや自分が動いている。そんな感覚が味わえるところを大事にしました。例えば、ステアリングを切ったら切った分だけ曲がる。当たり前だと思いますよね? ところが、これが案外そうではないんです。大きく切っても曲がらないクルマもあるし、逆に曲がりすぎてしまうクルマもある。いろんなクルマがある中で、切った分だけ曲がる。この部分を大切にしました。

─“曲がる”ということを特に大事にしたと。
椋本:そうですね。このクルマで目指したのは“痛快ハンドリングマシーン”。まぁ、名前はあまりかっこよくないんですが(笑)。“曲がる”というのは、普通の人にとってはただの運転の一工程ですが、このクルマでは、それをとにかく楽しくしてやろうという意気込みで作りました。単に交差点の角を曲がるだけでも、すごく気持ちよくなれる。そんなクルマにしたかったんです。
─そのクルマ特性が生かせるオススメのドライブスポットを教えてください。

椋本:私の地元・岡山の鷲羽山スカイラインですね。全長約15kmほどの、日本百名道の一つに数えられている道で、近くには鷲羽山ハイランドという、岡山が誇るテーマパークがあります。アップダウンもそうですが、カーブがたくさんあるので「S660」で走るにはぴったりだと思いますよ。水島コンビナートという工業地帯を眼下に眺められ、あとは田園地帯が広がっているので、景色もばっちりです。降りると瀬戸大橋のたもとに着くので、そこでコーヒーを飲むのが好きですね。【東京ウォーカー】
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