小宮山雄飛と中村貞裕が“渋谷のこれから”を語る

渋谷区観光大使兼クリエイティブディレクターの小宮山雄飛が「渋谷のキーパーソンと語る」対談企画。今回はbills、ドミニクアンセルベーカリー、ICE MONSTERなど数々の行列店を生み出したトレンドセッター、トランジットジェネラルオフィスの中村貞裕代表をゲストに迎え、渋谷について熱く語ってもらった。対談は、トランジットジェネラルオフィスが手がける台湾かき氷の名店、ICE MONSTER 表参道店で行われた。

小宮山「中村さんのお店は、渋谷区に多い印象です」

中村「ICE MONSTER、GYG、ドミニクアンセルベーカリー、bills、マックスブレナー…。広い意味での渋谷には10軒くらいありますね」

小宮山「凄いですよね。気づくと“トランジット・エリア”になっている。原宿・渋谷に出店される理由は何ですか？」

中村「会社の業態や僕らの得意なことが、原宿や渋谷という街への情報発信に向いているんですよね。渋谷は自分の会社があってなじみがあるし、通いやすいところがいいじゃないですか。海外から帰国して青山通りに入ってくるとホッとします。安堵感を感じる。“愛着がある街”、そういう側面も大きいですね」

小宮山「表参道の安堵感はよく分かります(笑)」

中村「ビジネスということで言えば、原宿・渋谷には新しい“TOKYO”を求めて世界中の人々がやってくるし、情報発信としてこれ以上の場所はないですね。必然的にそこへ1号店が集中してしまいます」

小宮山「その流れは最近ですか？」

中村「飲食業界のトレンドとして、裏原(裏原宿)にポップコーンやパンケーキの店を出すのが成功の方程式みたいなところがあります。それは自分たちが仕掛けたのもあるし、それ以外にも出店が続いて加速しています」

小宮山「昔は銀座に1号店というのが多かったけど、今は完全に表参道・原宿ですね」

中村「レストランだとそれなりの敷地面積が必要なので、物件を探すことが難しい。だから、20～30坪で出せるスイーツ系が多いですね。表参道に店を出して外れはないかな、と思っています」

小宮山「これからの食の動向についてはどう考えていますか」

中村「日本初上陸ものは、来年までは流れが来ると思いますよ。それらが3年後とかにダウントレンドしたときに、オリジナルのカフェとかができるんじゃないかと思っています。日本初の店舗が、大きな箱で表参道にいくつかできると楽しいですね」

小宮山「今、渋谷観光大使をやらせてもらっていますけど、渋谷という街は招致しなくても外からは入って来るんですよね。だから、逆に渋谷から外へ発信することを考えています。大阪で原宿フェスとか、新潟で渋谷フェスとか…」

中村「それならICE MONSTERも参加しますよ。ウチも今、オリジナルでいろいろと作って行きたいモードなので、新しいことをやるにあたり、物件が必要なんです。渋谷区の施設でいい物件があったら紹介してください(笑)」

小宮山「そうですね。一緒に区を盛り上げて行きましょう！」

中村「先日、社員に『トランジットらしさって何ですか？』と聞かれて、ポジティブマインドとかグローバルマインドがあることかなと思ったんですね。僕の職業は何？って聞かれると、プロデューサーじゃないんですよね。カルチャーを創ってそれをエンジンとして回して、街を盛り上げて行く。海外では“カルチャーエンジニアリング”と言うんです。トランジットは、“カルチャーエンジニアリングカンパニー”を目指すと言いました。初めはピンとこないかもしれないけど、言い続けるしかないです(笑)」

小宮山「最後に、原宿と渋谷は中村さんから見て、これからどう動き出して行くと思われますか？」

中村「ある意味、一旦できあがった街ですからね。開発によって大きく変わると思います。原宿でいえば神宮前の交差点、渋谷でいえば渋谷駅前の東急グループの開発。この二つが大切。この開発により、今までとは全く違う街になる可能性を秘めています。メディア露出もそうだし、そこが成功すると街全体がグンとグレードアップする。もの凄くいいものができる気がしていますし、5年以内に原宿も渋谷も新しい街に生まれ変わると思いますよ」

小宮山「出店する店舗によって街が変わりますよね」

中村「そこにはぜひ関わっていたいし、外から見ても楽しみな開発です」

【東京ウォーカー】