ジュニアグランプリファイナル展望!山本草太に注目

東京ウォーカー(全国版)

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フィギュアスケートの国際大会、グランプリファイナルが12月10日から13日(日)の日程で、スペイン・バルセロナにおいて開催される。グランプリシリーズに参加した選手には順位に応じてポイントが与えられ、その上位6名に出場権が与えられる大会だ。ここでは日本勢の活躍が期待されるジュニアの男子シングル、女子シングルについて紹介したい。

“優勝候補”山本草太に注目


男子には山本草太が出場する。今季はジュニアグランプリファイナル、そして世界ジュニア選手権でも優勝候補と目される存在だ。

【写真を見る】振付師の指示で髪形をオールバックに決め、ポエタの世界を演じる山本草太


今季、山本は4回転ジャンプの習得を課題に挙げ、試合でも意欲的に取り組んでいる。「今季は4回転ジャンプをやっていかないと世界では勝てない」との思いからだ。それを如実に思い知らされたのがジュニアグランプリ、アメリカ大会。今季絶好調のアメリカ、ネイサン・チェンに総合得点で実に33点もの大差をつけられ、完敗したのだ。ここから彼の今季がスタートした。ネイサン・チェンに技術点で差をつけられることを避けるため、フリー演技ではトリプルアクセル2回、そして4回転トゥループを2回、合計4回の大技に挑戦する高難度の構成を選択した。ただ、これはシニアのトップ選手でもこなすことが難しい構成。

より高みを目指す積極的な姿勢


山本にとってはリスクの高い選択だ。実際、ここまでの試合ではジャンプに意識が行き過ぎてしまい、彼の得点源であるはずのスピンで取りこぼしがあったり、また表現力、スケーティングも疎かになる場面が見られた。大技を4本というのは想像以上に負担が大きいようで、全日本ジュニアのフリー演技においては「二つ目の4回転の助走の時点で既にバテていた」という。それを克服するために、ひたすら氷上での滑り込みに励んでいるとのこと。元来、山本は未完成の技でもあえて試合で挑み続けることで習得してきた選手だ。トリプルアクセルに挑み始めた中学2年生のシーズン、山本は全ての試合で転倒してしまったが、その経験が翌年の飛躍につながったのだ。今回も仕上がりに対する一抹の不安はあるが、より高みを目指す彼の積極的な姿勢は、称賛に値する。

山本は「ファイナルに出てくる選手は全員手強い」と気を引き締めているようだが、期待を込めてネイサン・チェンと山本草太の一騎打ちと予想する。山本自身、「ジャンプさえ決まれば自分の方が、加点が得られる」とエレメンツの質には絶対の自信を持っている。また、宇野昌磨がシニアに昇格してライバル不在となった国内大会よりも、強い選手と戦える国際大会の方がモチベーションも上がるという。西日本ジュニア、全日本ジュニアと不本意な出来栄えが続いたが、この大舞台で最高の演技を期待したい。

今季目覚ましい活躍の本田真凜


昨シーズン、けがの影響もあり思うような演技が出来ずに苦しんだ本田真凜だが、その鬱憤を晴らすかのような今季の活躍は見事。西日本ジュニア、全日本ジュニアの演技を見ると安定感という点ではまだ課題が残るが、それもジュニア離れした難度の高いプログラムに挑戦しているからこそと言える。本来の演技が出来なかった全日本ジュニアでは「この悔しさはファイナルで挽回する」と言い切った。ショートではノーミスを目指し、そして高難度で独特の世界観の振付のフリープログラムでは、「自分の持ち味を世界の人たちに知ってもらいたい」という。

この日は手痛いミスをしてしまった本田真凜だが、「ファイナルで挽回する」と意気込みを語ってくれた


表彰台も見えてきた三原舞依


今季、抜群の安定感でファイナル進出を決めた三原舞依。目標としていた全日本ジュニア制覇は果たせなかったが、決して調子落ちではない。安定感が持ち味の彼女だが、今季、ノーミスの演技が続いていたことが、皮肉にもプレッシャーとなって彼女のスケートを微妙に狂わせていたようだ。「自分はジュニアではベテラン、経験豊富」との自負が、彼女本来の勢いを削ぎ、知らず知らずのうちに守りに入らせてしまった。「ファイナルでは攻めの姿勢で取り組みたい」。全日本選手権への推薦出場は逃したが、このファイナルでの活躍次第では世界ジュニアの代表の座も見えてくる。元より国際大会での評価は高く、表彰台の可能性は十分にある。

抜群の安定感を誇る三原舞依、全日本ジュニアでのショートプログラム


“今季台風の目”白岩優奈


今季、台風の目となったのが白岩優奈。昨シーズンは全日本ジュニアでショート落ちの苦汁をなめたが、それからわずか1年での急成長ぶりは目を見張るものがある。彼女の急成長のきっかけは実に興味深いものだ。スケーティング、それもコンパルソリーを徹底して鍛えることで、ジャンプの軸の取り方が分かってきたのだという。その結果、2種類の3回転+3回転の連続ジャンプを成功させるという高難度の構成が可能になったのだ。グレイシー・ゴールドのスケーティングに憧れているという白岩選手、今回は間近でゴールドの演技を見る機会もありそうだ。

白岩優奈、全日本ジュニアでのフリープログラム。クラウン(ピエロ)を演じる


女子に関しては、ロシアのツルスカヤがずば抜けて強い。よほどのミスをしない限り日本勢に勝ち目はなさそうだが、ロシア勢2番手のソツコワとはさほどの力量差はない。日本勢が2位、3位に入る可能性は十分にある。

【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】

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