満島真之介が土屋太鳳との「僕だけがいない街」タッグを語る

満島真之介がフジテレビの“ノイタミナ”ほかにて放送中のTVアニメ「僕だけがいない街」(毎週木曜24:55～)で声優に初挑戦した。彼が声を当てたのは、自分だけの時が巻き戻る現象“リバイバル(再上映)”に悩まされている主人公・藤沼悟役。その小学校時代は土屋太鳳が演じた。満島にインタビューし、初めて声優にトライした感想を聞いた。

原作コミックはヤングエースで連載された、三部けいの時間逆行サスペンス。“リバイバル(再上映)”で日々翻弄されていた悟だったが、ある日、衝撃的な事件に出くわし、それをきっかけに悟は自身の過去と向き合うことになる。

「お話をいただいてから原作を読みましたが、悟役をキャラクターとして成立させるよりも、1人の生きている人間の日常が見えるような表現ができた時、すごく大きな化学反応が起きるんじゃないかと思いました」。

監督は「銀の匙 Silver Spoon」第1期や「ソードアート・オンライン」シリーズなどを手掛けてきた伊藤智彦。単なるアニメ化ではなく、キャラクターにリアリティーをもたせたいということで、満島と土屋にオファーした。

「監督からのリクエストは『そのままやってください』ということだったので、僕も『そのままやります』と言いました。だから、その日の体調もそのまま出ていると思います。周りで素晴らしい声優の方たちが脇を固めてくださっているので、僕は、皆さんが構築してきた世界に吸い込まれるように声を出していく。誠実に表現することだけを心に決めました」。

悟の少年期を演じる土屋太鳳とのコンビネーションにも手応えを感じている。「太鳳ちゃんと初めて会った時、すっと心が開きました。性別も産まれた場所も育ってきた環境も違うけど、根底に流れている、人としてのリズムや色が似ている気がしたんです。だから、2人の声が重なるシーンでは、打ち合わせも練習もしていないのに、1回でパッとタイミングが合いました。それはスタッフのキャスティング力も大きかったと思いますし、縁が縁を呼ぶのかなと」。

土屋と2人で悟役を演じていくことで、奥行きのある役柄にしていきたいという。「声質は太鳳ちゃんと全然違うけど、悟の成長の過程や人生の過程を感じてもらえるように、2人で力を合わせたいです。僕が経験してきたものと、太鳳ちゃんが経験してきたものが合わされば、おのずと深く広いものになっていくと思うんです。そして、そこに2人の愛情を言葉に乗せる。僕は太鳳ちゃんに乗っかっていくような感じですが(笑)」。

満島は、「僕だけがいない街」について「実写とアニメの間を走っているというか、今までなかったレールを作っている感覚があるんです」と目を輝かせる。「アニメを見て、現実とは違う世界にいくというのではなく、むしろ現実にすっと引っ張られていく感覚があるかと。それを表現できたら、もっと作品の奥が深くなっていくと思うし、強く大きな作品になりそうな気がします」。

予断を許さない展開で、見るものをぐいぐいと惹きつけていく「僕だけがいない街」。満島真之介と土屋太鳳の演じる悟が、この先どのようにシンクロしていくのかも大きな楽しみだ。【取材・文/山崎伸子】