「フレームの奥が見える」渡辺大知の心を揺さぶる映画とは
東京ウォーカー(全国版)
ロックバンド、黒猫チェルシーのボーカルとして活動するだけでなく、映画「色即ぜねれいしょん」に俳優として出演し、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した渡辺大知。NHK連続テレビ小説「まれ」をはじめ、多数の映画やドラマへの出演の他、2015年には「モーターズ」で映画監督デビューを果たすなど、多方面で活躍中だ。

今回は、アマゾンの見放題・映像配信サービス「Amazonプライム・ビデオ」で視聴可能な作品のなかから、おすすめの1本をセレクトして語ってもらった。曲を作る際、映画からインスピレーションを受けることが多いという渡辺が選んだタイトルは、1995年公開のウォン・カーウァイ監督作「恋する惑星」だ。

「Amazonプライム・ビデオ」は、年会費3900円でAmazonプライムに入会すると、追加料金なしで映像作品を無制限に視聴できる会員向けサービス。プライム会員は、「お急ぎ便」や「お届け日時指定便」を無料で利用できる他、100万曲以上が聴き放題の「プライム ミュージック」なども楽しめる。
「映像と音楽の圧倒的な存在感に五感を揺さぶられた」
――本作をお気に入りのタイトルとして挙げた理由を教えてください。
「初めて見たとき、色彩やカメラワークといった“目に見えるもの”にとことんこだわり、視覚から人の心を揺さぶろうとする作風に衝撃を受けました。本作の影響で、映画においてシナリオは重要だけど、ただストーリーを追っていくだけでは、人を描くことにはならないんじゃないか…と思うようになって。画面の色彩や光の当たり具合で、人物の心情を表現しようとする手法がすごく印象的で、『映画ってこんな撮り方もできるんだ』と思い知らされました」
――手持ちカメラで、登場人物にグイグイ迫っていく映像も特徴的ですね。
「手持ちカメラの映像って、美術や照明を緻密に計算しておかないと、見る側の意識が散漫になりかねない危険性もあるんですよ。かといって、完璧に構図を決めてしまうと、手持ちならではの不安定な心理表現が台無しになってしまいます…。本作は、そういった要素が絶妙なバランスで配置されていて、フレームごとに一枚の絵として切り取っても成立するくらい完成度が高いんです。あと、音楽の使われ方も最高で、聴いているだけで気分がどんどん上がっていくのも大きな特徴ですね。こう言うと語弊があるかもしれませんが、ストーリーを追うのではなく、“圧倒的な存在感を放つ映像と音楽を楽しむ作品”というのが、本作を言い表すうえでピッタリの表現だと思います。金城武演じる警官223号の不安定な気持ちの表現に、五感を揺さぶられましたね」
――頭で考えるのでなく、感覚で楽しむ作品というわけですね。
「そうですね。まだ観ていない方には、ぜひ本作を観て、僕と同じように“五感を揺さぶられる感覚”を味わってほしいです。本当に面白い映画って、フレームを超えるというか、四角い画面に映し出される映像だけでなく、その奥に広がる世界まで想像して感じられると思います。『恋する惑星』は、同じ時系列で展開する2つの物語で構成されていますが、一度世界観に入り込んでしまえば、一方のエピソードを見ている最中でも、もう片方の話の主人公たちの姿が見えてくるんですよ」
――自身の創作活動にも影響はありましたか?
「映画も音楽も、動的な芸術という面があって、参考になる部分は多いですね。映画には、印象的なシーンやセリフがありますが、実はそこだけを切り取って見ると、あまり感じるところはないと思います。あくまでも全体を通して見ることで、輝いて見えてくるものなんです。そういう感覚は音楽も同じで、どこか1フレーズだけにクローズアップするのではなく、歌詞があって、曲があって、それらすべてが融合して音楽という1つの作品であるということを、改めて認識させられました」【東京ウォーカー】
<本作と併せて見たいウォーカープラスおすすめの「Amazonプライム・ビデオ」作品はこちら>
■「天使の涙」
もともとは「恋する惑星」の一部として考えられたストーリーを、独立した1本の作品として映画化した作品。ネオンきらめく香港の街中を舞台に、引退を考えている殺し屋や、彼に恋心を抱くエージェントなど、5人の若者たちの恋と青春群像が描かれる。超ワイドレンズによる撮影や、コマ落としを用いた躍動感溢れるアクションシーンなど、こだわりの光る演出が随所に見られる。
■「ブエノスアイレス」
デビュー以来、一貫して香港を舞台にしてきたウォン・カーウァイ監督が、初めて国外で撮影したタイトル。南米のブエノスアイレスを舞台に、同性愛カップルの人生模様を鮮烈に描き出す。センセーショナルな題材に加え、レスリー・チャン、トニー・レオンという2大人気俳優の共演も話題になり、第50回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で監督賞を受賞。
■「花様年華」
1960年代の香港を舞台に、既婚者同士の禁断の愛と葛藤を、匂い立つような情感たっぷりに描いたロマンス映画。マギー・チャン扮する人妻のチャンは、ウォン・カーウァイ監督作の「欲望の翼」(1992年公開)にも登場。2001年公開の本作、そして「2046」(2004年公開)にも登場しており、これらの3作は1960年代シリーズと呼ばれ、ファンからの評価も高い。
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