【WEB連載:はーこのSTAGEプラスVol.25】「肥満男」ですが、内藤裕敬のことではありません(南河内万歳一座)
関西ウォーカー
内藤裕敬は、大阪芸術大学・舞台芸術学科に在籍中の1980年に南河内万歳一座を旗揚げ。同期生のいのうえひでのりも、同じ年に劇団☆新感線を旗揚げした。
唐十郎率いる状況劇場に触発されて芝居を始めた内藤。つかこうへいを入り口に、その後、独自路線を切り拓いたいのうえ。2人は隣り同士の稽古場で80年代から関西小劇場を牽引し、カラーの異なる演劇の道を歩み続けて36年、いまも演劇界に影響を与え続けている。今や10万人以上を動員する新感線。「どうやってその数字を抜こうか、真剣に考えて行きたい(笑)」と内藤。
内藤は昔から若手劇団の面倒をよくみる兄貴的存在。今でも面倒見のよい、気骨のあるオジサンとして、多くの演劇人から愛され信頼されている。
5月12日、西区民センターで南河内万歳一座の新作『肥満男』の会見が行われた。
【『肥満男』の着想】
今回の新作は『肥満男』。内藤裕敬の劇世界は幻想の中から生まれる。「物事には始まりがあって終わりがある。その間にあるのが現在。自分自身もいつのまにか始まって、いつ終わるかわからない。でも、こういう現在にいる。終わりと始まりの間にある、象徴的な現在ってなに?と考えたら、ダイエットだな、と。太ろうと思って太ったわけじゃないんだけど太る。頑張ってダイエットして、リバウンドしないように維持する。結果的に終われない。肥満、この着想から物語ができた」。
舞台はフェリーの船内。なぜフェリーなのか。「フェリーは始まりと終わりがはっきりしてるから。ただ、乗っている間は別時間にいる感じがするでしょ」。
【物語】
フェリーの2等B寝台の客室(一番安い雑魚寝の部屋)で、20年ぶりの中学の同窓会が行われる。集まった5人が幹事を待つ中、同級生か?と思われるメンバーがやって来る。変わり果てた姿の同級生?が、明らかに10歳は年上、そして明らかに10歳は年下のヤツも!?同じフェリーには、全国大会に進む高校演劇部員と顧問も乗船。フェリーが着くまでに上演する芝居のエンディングを書き換えようとしている。やがて、彼らは混在一体となって…。
【出演者】
今回の出演者は劇団員に、ゲストとオーディションで選ばれた若手が出演。万歳に初参戦するのは空晴の上瀧昇一郎。また、所属する劇団の空間悠々劇的が休団中で万歳にいる、ことえ、増井友紀子ら個性派のゲストたち。若手には学生ら6人。「今、劇団員で一番若いのが20歳だからね。破天荒な若者、赤面するような青春とか、ヘタでも高校生役をキャスティングできるのでワクワクする。アンサンブルの幅が広がっておもしろい」。
【メッセージ】
「今回は相当バカバカしいです。バカなことだけで綴られていく。あまりにバカバカしすぎると不条理に見えてくるんだよね。泣きたくなるバカバカしさ、あきれ返るバカバカしさ。いろんな要素のあるバカバカしさを追求すると、いつのまにか劇世界が出来てくる。どういう劇世界になるのか、バカバカしいがゆえにワクワクしています」。
フェリーの上で、どんな物語が展開することになるのか。記者会見の時点では台本は3分の1しか出来ていなかったが…。「きっと、大丈夫ですよ(笑)」。お楽しみに!
【取材・文=演劇ライター・はーこ】
この記事の画像一覧(全2枚)
キーワード
テーマWalker
テーマ別特集をチェック
季節特集
季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介
全国約900件の花火大会を掲載。2025年の開催日、中止・延期情報や人気ランキングなどをお届け!
ゴールデンウィーク期間中に開催する全国のイベントを大紹介!エリアや日付、カテゴリ別で探せる!
おでかけ特集
今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け
キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介