新シーズン開幕を控え、夏場の練習に励むスケーター達

東京ウォーカー(全国版)

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曲調を情熱的に演じる佐藤洸彬


7月1日、フィギュアスケートの世界は新年度を迎える。昨シーズンの感動もいまだ覚めやらぬ中、選手たちは次なる戦いに備え、充実したオフを過ごしている時期だ。新たなシーズンの幕開けを飾るDreams On Ice(7月1日~3日、新潟県長岡市、アオーレ長岡)も今週末に開催される。ところで選手たちはオフの時期をどのように過ごしているのだろうか。この春に開催された北日本大会において、選手たちのオフの過ごし方、そして新シーズンへの思いを聞くことができた。

シーズンの目標は「トリプルアクセル成功」


まず、今週のDreams On Iceにも出演する期待の星、佐藤駿を紹介する。この連載でも何度か取り上げているが、演技を観るたびに飛躍的な成長を遂げている、末恐ろしい選手だ。4月の北日本大会ではトリプルアクセルにも挑戦した。

ノービス世代で大きな注目を集める佐藤駿。今季の新プログラムをお披露目


「試合で初めてトリプルアクセルに挑戦しました。練習ではクリーンとは言えませんが、立つところまでは出来ています。試合でトリプルアクセルに挑戦してどうなるのかを試してみたかったんです」

この日の演技ではトリプルアクセルに挑戦したことでスタミナを消耗し、後半のジャンプは崩れてしまった。それでも「スピンやステップはちゃんとやれたと思う」と胸を張る。

この試合でお披露目したのは、新シーズンに向けて作った新作。振付師、岩本英嗣の手によるクラシックのメドレー。この日はトリプルアクセルを含め超高難度、攻めの構成だったが、新シーズンに入っても同じ構成で試合に臨みたいという。トリプルアクセルをクリーンに降りることが目標だというが、ノービスの年代でそれが出来たら凄いことだ。そして全日本ノービス4連覇がかかったシーズンともなる。その成長ぶりに否が応にも期待が高まる。Dreams On Iceでの演技も楽しみだ。

夏の氷上練習で成長を期待


次に話を伺ったのは、佐藤洸彬。2015年の世界ジュニアに出場し、飛躍が期待された昨シーズンだったが、なかなか思うようにはいかなかったようだ。

昨シーズンは思うような結果を残せなかった佐藤洸彬。新シーズンのSPは”シルクドソレイユ”から”トーテム”


「試合本番ではどうしても力が入ってしまうんです。精神的な部分がミスにつながっていると感じています」

実際、エキジビションなどでは、度肝を抜くような美しいトリプルアクセルを披露する。これが試合本番でできれば、というのが偽らざる気持ちだろう。

「意識を変えていかなければ、と考えています。自分を信じ切れていないんだと思います。ミスした時に落ち込んだり立て直せなかったりすることがあるので、気持ちの切り替えを日々心掛けています。体力面でももっと力をつけて、演技の後半でもばてないようにしたい」

ところで、彼に是非聞いてみたいことがあった。昨年まで岩手県には通年営業しているスケートリンクがなく、夏場の練習環境にはどの選手も苦労していた。それが盛岡市に常設のリンクが完成し、この夏初めて、地元で氷上練習のできるオフを迎えているのだ。

「夏に盛岡で練習できるのが楽しみです。今までは夏には筋トレなど、陸上でのトレーニングがメインだったんです。今年はいつもの年以上に成長できると感じています」

この試合で披露された新作は、SP、FS共に佐藤操コーチの振付だという。新シーズンのSPは、シルクドソレイユからトーテムという曲を選んだ。

「曲も面白いし、ショー自体も面白いんです。サル、カエル、鳥などいろんな動物の動きを模したりする振付です」

FSはセビリヤの理髪師。今まではロック、インド、アラビア風など、一風変わったものが多かったが、今季は正統派のクラシックのプログラムに挑戦する。

「衣装も王子様風で今まで演じてきたものとは違います。自分自身でも楽しんで演じられています。成長した姿が見せられると思います」

新シーズンの目標は、全日本で入賞して様々な大会に派遣されることだという。「世界ジュニアに出たことでショーにも呼んでもらい、多くの貴重な経験が出来ました。今年は練習環境が改善されたことを生かし、全日本では成長した姿を皆さんにお見せしたい。楽しみにしていただきたいと思っています」と力強く締めくくってくれた。

全日本出場を目指して


最後に、大会が開催された青森県三沢市の地元選手にも話を伺った。大澤陽(おおさわ・ひなた)選手だ。三沢アイスアリーナをホームリンクとし、国体、インターハイなどで活躍している。特にトウループジャンプが得意な選手だ。この三沢アイスアリーナも通年営業ではなく、夏場は氷上での練習が出来なくなる。

三沢アイスアリーナをホームリンクとする大澤陽。昨シーズンは国体、インターハイなど多くの試合をこなした


「夏は陸トレがメインになります。他の地域のリンクに滑りに行くこともほとんどありません。この地域の選手は皆そうです」

他の地域に滑りに行くものだと想像していた私は、少々驚きを禁じ得なかったのだが、大澤選手は「毎年のことなので慣れています。氷上練習に戻って、感覚を取り戻すのに少し時間はかかりますが、最初の大会までには調整してトリプルが跳べるようになります」と、こともなげに言う。とはいえ、数か月間、一切氷上練習ができない環境でトリプルジャンプを維持するのは大変なことのはずだ。

「来季はシニアに上がります。表現力を向上させて、全日本に出場することが目標です」

皆が恵まれた環境で練習しているわけではない。厳しい環境の中、こうして競技生活を続ける選手もまた多いのだ。こうして地道に頑張っている多くの選手たちにも、どうか声援を送ってあげてほしい。秋からの新シーズンが、全ての選手にとって素晴らしいものとなることを願ってやまない。【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】

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