【WEB連載:はーこのSTAGEプラスVol.26】寺脇康文「マイ・フェア・レディ」で新たなヒギンズ教授を楽しむ

関西ウォーカー

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「マイ・フェア・レディ」がブロードウェイで初演した1956年から今年で60年。ロンドンの下町の花売り娘・イライザが、言語学者・ヒギンズ教授のレッスンで見違えるような貴婦人に変貌するという物語だ。

64年にオードリー・ヘップバーン主演で公開された映画で世界的に有名になった名作。日本では、映画公開の前年に東宝が舞台化。日本人が日本語で上演した、初のブロードウェイ・ミュージカルだった。

その後上演を重ね、90年から2010年までは大地真央が主演。2013年に、この歴史的名作「マイ・フェア・レディ」が新演出版となって“リボーン”(再誕生)。イライザ役に、もと宝塚トップスターの霧矢大夢と真飛 聖がWキャストで主演した舞台が、再演される。ヒギンズ教授には寺脇康文。ドラマや映画、「地球ゴージャス」の舞台などで知られる彼が来阪、作品の魅力を語った。

Q:前回はいかがでしたか?

楽しかったですね。演出のG2さんが、作品の歴史を踏襲しつつ、現代にも通じる『マイ・フェア・レディ』を作るんだと。「地球ゴージャス」でやるような、ちょっとおもしろギャグなんかも取り入れさせてくれて。ほんとに楽しくやれたので、あまり言わないんだけど、千秋楽のカーテンコールで「是非、再演したい。そしたらまた来てくれますか」って言ったんです。そしたら、ほんとに再演になった。言ってみるもんですね(笑)。

Q:ヒギンズ教授の役柄については?

好きです。非常に頭が良くて、でも人の気持ちがわからない。ちょっとダメな子どもが、そのまま大人になったような男です。でも、最後には愛されるべき人でなければいけないから。厳しく教育する姿の中でも、どこかに笑っちゃうところがあったりね。で、本気でイライザにちゃんとした女性になってほしいという思いを持ってる。イライザもいろいろ言いながら、どこかできちんとした女性になりたい、教えてほしい。この教えたい人、教えてもらいたい人という信頼関係を、前回にも増して作って行こうと思っています。前回は、破格のセリフ量を言うだけで手一杯だったイメージがあるので、もう少し幅と深みを持たせたいと、一生懸命格闘しているところ。お客さんが「あんたが今それを言わなかったら…ダメね、この2人なにやってるの、早く幸せになんなさいよ」ってヤキモキしながら、2人を育てるような目線で見てもらえると楽しいかな。

Q:霧矢大夢さん真飛 聖さん、イライザ2人のタイプは?

全然違います。霧矢さんは男気のあるイライザ。ブレない、芯がしっかりしている。でも、真飛さんは小学生の女の子がそのままいるような感じで(笑)。だからこちらも、怒り方やセリフの言い方が変わってくるし。でも、公演数が多い中で新鮮なイライザに会えるのは、まったく違う芝居が始まるという感覚で、助かってます(笑)。ほんとはね、お金と時間の問題はありますけど、お客様に両方観ていただくと違った魅力の差がわかるので、お願いしたいです。

Q:2人とも背が高いですよね。

そう! 僕は身長が180センチだけど、ヒールの高い靴を履いて大きな帽子を被られたら、同じぐらいですよ、ほんとに(笑)。

Q:作品の魅力は?

時代が変わろうが、どれだけ文明が進もうが、人間ってそんなに変わらない。自分が成長するにはどうしたらいいんだろうと考えていくなかで、大事なものに気づいていく。いくらきれいな言葉を話そうが、どれだけいい服を着ようが、大事なのは人の気持ちだったんだなって。イライザもヒギンズも、そこに気づいていく。格差社会のなかで、共通するものはひとつというのが一番の魅力なのかなと思います。

Q:いろんな舞台への挑戦は刺激になりますか?

もちろん! 自分にないものでいいものを探せる、引き出しが増えるみたいな。凝り固まった鎧が、少し違う鎧になって、あ、これでも戦えるんだみたいなことを感じさせてくれる場ではありますね。

Q:稽古場やカーテンコールで空気を和らげているのでは?

やるからには、厳しいなかにも楽しさがないとね。率先してやってることもあるかな。自分の出ていない場面の稽古では帰ってもいいんだけど、僕は人がやっている時に稽古場にいないのがすごくイヤなので、早目に行って見たりしています。みんなで作ってるんだよねって思っているので。カーテンコールでは、「あぁ、良かった」って思っている時に、まじめに「ありがとうございました」って言うだけじゃなくて、「ありがとうございました! 楽しかったですか? 良かった!」って、自分の気持ちを全部出したい。気持ちをみんなで共有したいんですよ。

Q:メッセージをどうぞ。

歴史ある不朽の名作ですが、堅苦しくなく、笑えるし、ほろ苦いラブストーリーだし、楽しい歌もいっぱい詰まってるし。人間ドラマの娯楽作として、イヤなニュースの多いなか、ほんとに気持ちのいい時間を体感していただけると思います。是非お越しください。

取材・文=演劇ライター・はーこ

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