フィギュアスケート新潟・夏の発表会【前編】

東京ウォーカー(全国版)

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フィギュアスケートの世界ではオフを迎えている夏場のこの時期だが、新シーズンに向けてのトレーニング、新プログラムの振付、そしてアイスショーへの出演、各地のローカル大会での調整など、選手、関係者の活動は続いている。また、全国各地のフィギュアスケートクラブでは、クラブの発表会を開催する時期でもある。既に競技会に出場している選手はもちろん、まだ初心者の子供達や、スケートを趣味とする社会人など、様々な愛好者達が創意工夫を凝らした演目を披露する。記事として報道されることは稀なこうしたイベントだが、今回、新潟県の二つのスケートクラブの発表会を取材する機会を得たのでここでご紹介したい。

アイビス・スケーティングクラブ


まずは7月2日に発表会を開催した、アイビス・スケーティングクラブをご紹介しよう。新潟市に常設のリンクが出来るまでは、上越市を拠点に十数年間、活動を続けてきたクラブで、アルビレックス・アイスアリーナで発表会を開くのは今回で3回目とのこと。

アイビスクラブの発表会は、とにかく楽しめるものを!というコンセプトで作っているようだ。まだ競技会に出ていない生徒も多いクラブだが、皆で楽しめて、そして観客にも楽しんでもらえるものに仕上がっていた。クラブを率いる渡部泉コーチは、「新潟は生のフィギュアスケートを見慣れていない人が多かったので、最初は堅苦しいイメージもあったと思いますが、うちのクラブは運動会的な、誰でも楽しめる雰囲気を大切にしています。年々充実してきていて、今年は本当に盛況でした」と語る。

リレーで爆走する三原舞依。こんな彼女を見る機会はなかなかありません


この日、長岡市ではDreams On Iceが開かれていたが、熱心なファンは長岡での鑑賞を終えてからこの発表会のために新潟まで移動してきていたほどだった。そんな彼らのお目当てはゲストスケーターだったかもしれない。この日、三原舞依と日野龍樹がゲストとして出演したのだ。フィギュアスケートの場合、クラブの発表会に有名選手がゲストとして出演することは決して珍しいことではない。思いもよらぬ有名選手を間近で観られるのも、こうした発表会の大きな魅力だ。そして、普段は真剣勝負の競技会でしのぎを削る選手達が、こういったイベントでは心から楽しんで滑っているのが分かる。日野龍樹はあまり笑わない選手との印象があるが、この日は実に楽しそうに、屈託のない笑顔を見せていた。そして病による休養から復帰した三原舞依は、グランプリシリーズへの派遣が決まった喜びを溢れんばかりに表現していた。常設のリンクが完成するまでは生のフィギュアスケートに触れる機会に乏しかった新潟のファンだが、最近のイベントでの盛況ぶりは素晴らしいものがある。急速にフィギュアスケート文化が浸透してきている印象だ。それは新潟のコーチ、選手だけの力によるものではないようだ。

フィナーレにて、ゲストに花束贈呈


「こうして発表会に来てくれるゲストスケーターや、様々な県から来られるコーチの存在が本当に刺激になっています。是非、全国のコーチ、選手に来てもらい、このリンクで滑ってもらいたいですね」(渡部コーチ)

新潟クラブ


その翌週、7月9日に開催されたのが、松澤光代コーチ率いる新潟クラブの発表会。第1回の発表会は、今は存在しない新潟アイスリンクで開催したとのこと。そこが閉鎖になった後は上越、柏崎と拠点を移し、昨年から現在のアサヒアレックスアイスアリーナでの開催となった。今回で19回目の開催となる。

代わってこちらは新潟クラブの発表会。オープニングから振付を作り込んでます


新潟クラブの発表会の特徴として、演目が細部に渡り、作り込まれていることが挙げられる。実に2か月ほどかけて作るのだそうだ。それには大きな理由がある。このクラブは競技会を目指す選手よりも、趣味で楽しんでいる子供たちが多く、そうした子供たちにとってはこの発表会での演技こそが最大の目標になっているのだ。また、既に競技会に出場している選手達にとっても、スケートの楽しさを思い出す良い機会になっている。選手はまだまだ少ないというが、着実に層は厚くなってきている。昨年は東日本ジュニアまで駒を進めた選手も現れた。今年はクラブから全日本ジュニアへの出場選手を輩出することが目標だという。

新潟の男子選手3名による演目。首の傾げ方でお分かりかと思います。そうです、「PERFECT HUMAN」です


この日のゲストスケーターは、松原星と、小林建斗。松原星は今季のショートプログラムを披露。そして急きょ出演が決まった小林建斗は、情感溢れる演技で観客を魅了、発表会の最後のジャンプ大会では4回転にも挑戦、喝采を浴びた。

そして今回の新潟クラブ発表会では斬新な試みが見受けられた。2007年のミス・ユニバース優勝者、そしてクラシックバレエ、ジャズダンスの振付師でもある森理世が、演目の振付を手掛けたのだ。スケートクラブの発表会としては異例の試みといえよう。その成果は素晴らしいものだった。今回、森理世にも話を伺うことが出来たので、そのインタビューの模様は本稿の後半でご紹介したい。<中編に続く>

【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】

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