向井理、念願の蓬莱竜太舞台に初出演
関西ウォーカー
俳優として幅広く活躍している向井 理が、3年ぶりの舞台に主演する。作品は、モダンスイマーズを率いる蓬莱竜太の描き下ろし最新作「星回帰線」。東京では客席が300に満たない小劇場での上演だ。今回関西では大阪公演がなく、ロームシアター京都 サウスホールだけ。向井が京都の劇場に初めて登場する。
かつての恩人に呼ばれ、自給自足の生活を営む人々のコミュニティを訪れた青年。美しい自然の中でのスローライフは楽園に思えたが、青年の訪問が意図せず彼らの生活にひずみを生むことになり…という物語。蓬莱は「なんでこんなとこに来てしまったんだろうと、人間関係でどんどん大変なことになっていく『巻き込まれ向井君』をお届けしたい。滑稽だけど胸がヒリヒリするような舞台にします」と語る。平田 満や奥貫 薫、野波麻帆ら、蓬莱の信頼するキャスト7人だけで描く濃密な作品だ。
向井は、モダンスイマーズをはじめ蓬莱の舞台を長く観続けて来た。蓬莱の作品を「日常の延長の中の会話で世界が動いていくのにどこか違和感があり、いつの間にか日常がゆるやかに破壊されていくような独特の世界観」とほれ込み、自らの参加を訴え続けた末の念願の舞台。「大阪公演がなくて申し訳ないです」と謝りつつ、稽古を1週間後に控えて来阪。
小顔でイケメンの売れっ子だが、「やればやるほど責任感は増してきます」と言い、人気を勘違いするチャラさはまったくなく、自身を客観的に見つめる真面目な好青年。言葉を選んで思いをきちんと伝えようとする姿勢に、非常に好感を持った。会見での内容をまとめ、個別インタビューを軸にした構成で紹介する。
【記者会見より】
蓬莱竜太の作品について:蓬莱さんと一緒に作品を作ってみたいという思いを、何年も前から御本人にぶつけていました。10年近く観続けて来ましたが、毎回どこか作品に巻き込まれているような感覚があり、今回もその得意のパターンだと思っています。観てくれる人が、その会話に参加しなくてもどこか舞台の中にいるような感覚になってもらえるような、よくも悪くも傷を付けられるような作品になるのでは、と。いろんな感情を動かすものがエンタテインメントだと思うので、難しい作業ですが、人間関係が少しずつ変わって行く、細かい感情の機微が伝わる作品になればいいな。僕の好きな蓬莱さんの世界観の中で、僕をどう調理してくれるのかが楽しみです。蓬莱さんは結構当て書きするので。でも、すごくキツイ役になるなぁと感じていて、楽しみとどこまでできるか不安もありますね。
舞台と仕事について:舞台は好きというより、やらなきゃいけないという思いが強くて。まだ3本しかやってないですけど、毎回初日の幕が開く前「なんでこの仕事受けたんだろう」って、ほんとに吐きそうになるので(笑)。でも、千秋楽を迎えると、やっぱりもう一度やりたいなと思うんですね。舞台でしか得られない達成感や高揚感もあり、舞台でしか体験できない修行みたいなものもあるので、年に1本を目標にしているんですけど。僕の仕事は基本的には選ばれないとできない仕事なので、お声がけいただいたものを一生懸命やらせていただくという選択です。舞台に限らず、ドラマや映画に関しても、自分から積極的にやろうと言ったことはあまりないかもしれません。今回は、蓬莱さんに勝手に「一緒にやりましょうよ」って言ってたので、いつもと違いますね。
メッセージ:大阪公演がないのは申し訳ないです。でも、京都でやるのは初めて。ほかの都道府県でもそうですが、特色があると思うので、それを楽しみたいです。ぜひ、お時間があれば観に来ていただけるとありたがいです。
【個別取材】
Q:蓬莱さんの舞台はいつごろからご覧に?
8年くらいですけどね、観続けています。もともとは蓬莱さんが作った「五十嵐伝」っていう舞台を映画化した「ガチ☆ボーイ」に、モダンスイマーズの劇団員の方が出ていて、劇団公演に誘われたのが出会いでした。で、なんかすごいおもしろいな、この世界はって思うようになって、1ファンとして毎回観に行っているうちに、客席から観るんじゃなくて、中に入りたいなという思いが強くなって。3年くらいかけて、ちょっとずつ打ち上げの席で近付いて行って、蓬莱さんに「また来たのか」って毎回言われながらも、めげずに「なんかやりましょうよ」って、まんまとここまでこぎつけました(笑)。
Q:すごいですね、その熱意。
舞台をやるなら、ほんとにやりたいものをやりたいなと。僕の中で舞台はハードルが高いので、1年間に何本もできるものではないし、だったら、自分もちゃんと考えて選んでやりたいっていうのがあるので。蓬莱さんにそういう話をするようになったのは3年前です。ちょうど3年前に舞台をやっていたので、それが終わって次の舞台はっていう思いがどこかあったんでしょうね。だからこの人だなって。
Q:初舞台作も大阪のサンケイホールブリーゼに来られました。
ちょうど大阪の初日が、3.11の日だったんです。照明がガッシャガッシャ揺れて、場当たりできなくて、導線だけ確認して、その日の夜公演をぶっつけ本番でやったのを覚えてます。こんな状況でやるのか!?と思いましたね。
Q:小劇場を希望されたそうですが、お客さんが目の前で大丈夫?
ポツドールの三浦大輔さんとやった初めての舞台が、青山の円形劇場という客席とすごく近い距離の劇場で。そこがスタートなので、お客さんとの距離感はあまり気にしたことないです。4年前の「悼む人」も、客席芝居があったし。近い方がむしろ、いじれるっていう思いがあるから(笑)。素になる余裕なんかないですもん、いっぱいいっぱいで。それよりは蓬莱さんが作る世界観をどれだけ忠実に立体化できるかっていうことの方が大事で、よっぽどプレッシャーです。
Q:生の向井さんを観たくて来られる方も多いと思います。
それをよくも悪くも入口にして、舞台の魅力を感じてもらえれば僕もやる意味がありますし。僕も舞台を観るのが好きだし、一生のうちで一回しか観られないものを観る贅沢は舞台にしかないので。映画館だと同じものをお金を払えば観られますけど、舞台は毎回違って、その日しか観られないお芝居もある。それは生の舞台にしかないので、そのスリリングな楽しみ方を味わってもらえれば、また違う演目でも観たいと思っていただけると思うので。今回も、蓬莱さんの世界観が好きだから、それを少しでも伝えられたらなっていう思いはありますね。
Q:これからの目標は?
ありきたりな言葉ですけど、俳優という仕事をやり続けることですね。それって簡単なことじゃないと思うんです。今までいろんな方とお会いしましたけど、人間的に魅力がある人じゃないと残れないなと思って。選ばれないとできない仕事なので、選ばれ続けるということがやり続けるということになるので。ただ自分勝手にドラマ出たいとか舞台やりたいとかって言ってても、そのステージがないとできないし、ちゃんとしてないとできないので。それは意識的に努力していかないと、10年20年30年ってできるものじゃないなと思っていますね。
Q:関西に来た時、必ず行くところはありますか?
行くのは仕事だとなかなか難しいんですけど…。前、夏に大阪で舞台をやった時、京都までみんなで行って納涼床で飲んでましたね。あと、大阪では粉もんを食べたり。京都は先月も撮影で来て、ちょうど祇園祭の始まる前日までいました。これからやってやるぞ!みたいな雰囲気がすごかったです。
Q:大阪より京都の方がなじみがある?
いや、大阪の方が。小さい頃は大阪にしょっちゅう来てたんです。父親が和歌山出身なので、親戚が大阪や和歌山、吹田とかにいて。小学生のころはよく、大阪湾で釣りしたり(笑)。だから、関西はそんなに遠いっていうイメージはないんです。両親も関西弁だし、ルーツは関西。なので、普通にお好み焼きをおかずにご飯とか食べますよ、僕。それを言うと「なんでそんなの食べれるの」みたいに言われて。普通だと思ってたのに違うんだと思って、ちょっとショックでした(笑)。
【関西ウォーカー編集部/高橋晴代】
高橋晴代
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