フィギュアスケート・夏のローカル大会で見つけた東京のホープ達【中編】

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復活を誓う、青木祐奈


青木祐奈、ショートプログラムの演技


東京夏季フィギュア、ジュニア女子クラスで優勝した青木祐奈。昨シーズンは、序盤は好調だったのだが、後半に向かうにつれ調子を落としてしまい、不本意なシーズンとなってしまった。東神奈川のホームリンクが改築のために使えなかった影響はもちろんあったはずだ。明け方の貸切練習のために、あちこちのリンクを渡り歩いたことは大変な負担だった。もっとも本人は、決してそのことを不調の言い訳にはしなかった。新しいホームリンクが昨年12月に新装オープンとなり、ようやく落ち着いて練習できるようになった青木選手に話を聞いた。

「新しくリンクが出来て、沢山滑り込みが出来ました」

明るい表情で、そう声を弾ませる。充実したオフを送ることが出来たようだ。そしてもうひとつ、このオフに貴重な体験が出来たようだ。

「アメリカでイリヤ・クーリックに指導してもらったんです。特にセカンドトウループを細かく指導してもらい、今までにない、濃いオフシーズンになりました」

クーリックといえば現役時代、トウループが得意な選手だった。青木選手はコンビネーションジャンプのセカンドジャンプに3トウループを付けることを昨シーズンからの課題としており、その習得を目指したのだ。「習ってすぐには跳べなかった」というが、今はかなり確率が良くなっている様子だ。そして今季の青木選手の演技を観て感じることだが、滑り、そして表現が大きくなっている印象だ。

「自分ではあまり意識していないんです。ただ動画を見ると、ジャンプなども前より大きくなっているように見えるので、良かったと感じています」

その一方、ジャンプに高さが出たことで、降り方のタイミングがまだ合っていないところもあるように見受けられる。

「確かにそれもあって、ジャンプの確率はノービス時代の方が良かったんですが、ジャンプの質は今の方が良いと思います。なので今のジャンプで、確率を安定させていきたいと感じています」

ショートプログラムは“タイスの瞑想曲”。昨年からの継続となった。

「コンビネーションジャンプを3ルッツ+3トウループに変更したこともあり、慣れているプログラムの方が良い、ということで継続にしました。ステップの動きなど、細かなところは変更しています」

そしてフリープログラムは“レ・ミゼラブル”。振付について尋ねたところ、「プログラムのベースを作ってくれたのは都築奈加子先生ですが、ランビエールが振付の直しをしてくれて、つなぎの部分のステップもランビエールが作ってくれました」

競技用プログラムだが、全編ボーカルが入り、そのままアイスショーでも使えそうな、とても素敵なプログラムに仕上がっている。

「自分でも気に入っています。まだ滑り込みは足りませんが、とても気持ち良く滑れるプログラムです」

この時、青木選手はジュニアグランプリへの出場を間近に控えていた。

「去年はジュニアグランプリでは結果を出せませんでした。今年は2戦目にも出て、ファイナルに出場したい」

昨年の雪辱を期して臨んだジュニアグランプリ、チェコ大会。青木選手はベストの出来栄えとは行かなかったが、総合4位。ファイナル出場に望みをつなぐことが出来た。

今後の目標については、

「全日本ジュニアで優勝して、シニアの全日本に出ることです。全日本ジュニアで優勝すれば世界ジュニアへも出場できます。世界ジュニア出場が今季の一番の目標です」

そしてインタビューの最後、彼女は笑顔で力強いコメントを聞かせてくれた。

「今年、必ず復活します」

そう、彼女は必ず復活する。その日を、楽しみに待ちたい。

自信をつけてシーズンに臨む、松原星


松原星、ショートプログラムの演技。曲は“Sing Sing Sing”


この大会、ジュニア女子クラスで2位となった松原星。7月に取材をさせてもらったばかりだが、この大会でのフリー演技が素晴らしく、急遽、話を聞かせてもらうことにした。

この試合ではショートプログラムで3ルッツ+3トウループに挑戦したものの、残念ながら失敗。7月のインタビューでは、今季は安全策の3サルコウ+3トウループで臨むと言っていた松原選手だが、今回は調整試合ということもあり、チャレンジしてみたという。ショートプログラムでの緊張癖は相変わらずのようだが、最近は緊張していても以前に比べ、ジャンプの高さが出るようになったと感じる。

「最近みんなに、ジャンプが高くなったと言われますが、自分では自覚していません。いつも通り跳んでいるつもりです」

本人はまだ自覚がないようだが、間違いなく高さ、そして切れが良くなっている。どんな選手も緊張するとジャンプが低くなり、それが失敗につながるものだが、彼女は少しずつ克服しつつあるようだ。

今季のフリープログラムは“ファインディング ネバーランド”。劇作家であるジェームス・マシュー・バリーが『ピーターパン』を書き上げるまでの話で、振付は杉浦幸江コーチだ。

「大好きな曲です。昔、他の選手が使っていたのを見て、いつか自分も使いたいと思っていました」

この日のフリー演技は、わずかなミスはあったとはいえ、素晴らしいものだった。ただ本人は、「いえ、もっと頑張らないといけない」と気を引き締めていた。

今後の目標としては、「東京ブロックは1位。東日本ジュニアでも1位を取りたい」と意欲的な言葉が飛び出す。7月のインタビューでは「全日本ジュニアでフリーに進みたい」と控え目なコメントをしていた彼女だが、この日は「全日本ジュニアで6位以内に入って、シニアの全日本に出たい」と一歩進んだ目標を聞かせてくれた。今週末の東京ブロックでも素晴らしい演技を期待したい。<後編に続く>【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】

編集部

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