ファックスで、国際郵便で…意外な“不在者投票”の方法とは?
東京ウォーカー
8/30(日)に控える衆議院総選挙。当日、さまざまな理由で選挙に参加できない人も多いのでは? そのために「不在者投票」というシステムがあるが、いったいどんな方法があるのだろう。そこで、不在者の様々なパターンについて東京都選挙管理委員会の清水さんに聞いてみた。
不在者投票制度とは、投票日に投票所にいけない人のための投票システム。対象者の中で最も身近なのは病院の入院患者や、老人福祉施設などの入所者だ。そこで生活する人たちは、都道府県選管の指定施設に限り、施設内で投票を行うことができる。このような施設は東京都だけで1227施設もあるそうだ。では、指定外の施設の人は? 「対象者が要介護5であるなどの制限はありますが、その場合は郵便投票制度になります」という。すべての人が対象にはならないので、やはり周囲の人々との助け合いが必要になるということだ。
驚いたのは、「警察署や拘置所、少年院や婦人補導院も病院などと同じ方法をとっています」ということ。「意外と多いんですよ、投票される方」と清水さん。対象者は取調べ中、係争中など様々なパターンが考えられる。ただし、刑務所内の受刑者は選挙権が“停止”しているので投票はできない。
そして興味深いのは、“特殊な任務”に当たっている人たちだ。投票の仕方もまた“特殊”。例えば海外派遣の自衛隊は国際郵便で行う。そして国際航路の船員や遠洋漁業など長期間海上で生活する人たちは、なんと“洋上投票”といって「海の上からファックス」で投票するというのだ。しかも衛星通信などを使い、記入された名前がわからないようになっている特殊なファックス、“シールドファックス”を使う。「特殊なシステムなので、受信できる場所も限られます。東京都では港区と中央区の2か所だけです」という。“南極観測隊”もこれと同じシステムを使う。南極や海の上からファックスが送れるとは、選挙参加も文明の利器のおかげということだ。
ほかにも“在外投票制度”というものがある。外国に3ヶ月以上居住している人も、事前に在外選挙人名簿というものに登録しておけば、在外公館などで投票できる。「これが意外と知られていないんですよね」と清水さん。今後、留学や赴任の予定がある人は、ぜひ利用してみて。
このように様々な職業や生活を送る人たちも選挙に参加できるように工夫がされているが、いまやネットの時代。今後、“ネット投票”なんてことにはならないのだろうか。
「それに関しては、様々な議論が行われています。有権者にもある程度、権利行使のための“コスト”を受け入れてもらう、例えば“投票所に足を運ぶ”というコストです。そうすることで選挙に対する意識を高めてもらう必要があると言われているんです」と清水さん。確かに、あまりに手軽になりすぎると、選挙に対しての考え方が軽くなる可能性も否めないかもしれない。
480の衆議院議席に小選挙区、比例代表選挙区合わせて1374人が立候補している今回の総選挙。堅苦しい、難しいと思われがちな選挙だが、このような側面から見ると興味深い。南極からファックスを送る人や海外から国際郵便を送る人の姿を思い浮かべながら、選挙に参加してみては?【東京ウォーカー】
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