フィギュアスケート・東京ブロック大会レポート2 【ジュニア女子、ジュニア男子】

東京ウォーカー(全国版)

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東京のエースとして西日本勢に挑む、松原星


松原星、東京ブロックでのショートプログラムの演技


今季のジュニア女子は西日本勢のレベルが非常に高い。そんな中、東京のエース格として活躍が期待されるのが松原星だ。何度もインタビューさせてもらっているが、いつもざっくばらんに本音を語ってくれる、明るい性格の選手だ。

彼女の課題はショートプログラム。緊張のために失敗してしまうことが多かった。ただ最近は徐々に克服しつつあるようだ。この試合では安全策としてコンビネーションジャンプに3サルコウ+3トウループを選択したことが功を奏した形だ。「仮にルッツ+トウだったら?」と尋ねたところ「やばかった」と率直な答えが返ってきた。ただループジャンプの軸が斜めになってしまい、意図したような加点がもらえなかったことが悔しかったという。

フリースケーティングにおいては、ジャンプはノーミスの素晴らしい演技を披露した。3フリップ+3トウループは、ファーストジャンプの降り方が良くなかったのだが、セカンドに3トウループを付けることが出来た。練習からこういったケースを想定し、ひとつ目が崩れても後ろにトリプルを付けられるように練習しているという。この日も緊張していたとのことだが、たとえ緊張してもジャンプが跳べるようになってきた印象だ。

そしてこの試合において、自身のベストスコア、171.71を記録することが出来た。初の170点台に喜びを露わにしていたが、反省点として「ショートではもっと取りたい。60点台にしたい」と課題を挙げていた。今季はショートプログラムの構成をより高難度にすることは考えていないようだが、ステップ、スピンなどの取りこぼしをなくして点数を稼げるようにしたいという。最後に「東日本でも優勝したい」と力強く宣言してくれた。7月のインタビューでは、今季の目標を「全日本ジュニアでフリーに進むこと」と控え目に掲げていたが、試合を重ねるごとに自信をつけているようだ。今季、熱望していたジュニアグランプリへの出場は叶わなかったが、全日本ジュニアで精一杯のアピールをして、来季の派遣へとつなげてもらいたいものだ。

ショートプログラムが安定し、上位進出を目指す、馬場はるあ


馬場はるあ、フリースケーティングの演技


去年の東京ブロックでも3位に入り、今回は2位。2年続けて表彰台に乗ることが出来た。馬場選手は、昨シーズンまではショートプログラムで失敗し、フリーで巻き返す試合が多かった印象だが、今回はショートプログラムをそつなくまとめることが出来た。元よりルッツ、フリップが得意であり、ショートでの出遅れさえなければもっと上位に来ておかしくない選手だ。昨シーズンまでは緊張が原因でミスをしていたようだが、「陸上でのトレーニングを増やして体力がつき、以前よりも集中できるようになりました」という。ループジャンプはあまり得意ではないようだが、今季のジュニア選手はショートプログラムでループを跳ばなければならない。この試合ではダブルループにしていたが、東日本ではトリプルに挑戦する予定だという。今季の目標だという全日本ジュニア出場のためにも、ループジャンプを是非克服してほしいものだ。

天性の表現力が魅力、横谷杏林


横谷杏林、フリースケーティングの演技


フリーの演技を終えた後、感極まって号泣する姿が印象的だった。決してエレメンツの難度の高い演技ではないのだが、その踊り、表現で観客を魅了するタイプだ。

ノービス時代には一度もブロックを通過できなかったという。ジュニア初年度の今季、初めてのブロック通過、しかも3位、表彰台だ。「今まで努力してきたことが報われ、嬉しくて」号泣してしまったのだという。

昨年までは踊りの上手な選手との印象はあったが、ジャンプは得意ではなかった。

「土日の練習量が増えたことが大きいと思います。今までは2時間だったものが今年から6時間になりました」

今までは頑張っていなかった、と正直に告白する。自主的に今年から練習量を増やしたそうだ。踊りがとても素敵な選手だが、意外なことにバレエ、ダンスの経験はないという。表現が「心の中から溢れてくる」という、天性のダンサーだ。「フリーは妖精のイメージなので、『私は世界中で一番の妖精』という気持ちで演じています」。

今季の目標は、全日本ジュニアに出場することだという。この先、構成の難度を上げる必要も出てくると感じるが、最近3トウループがやっと跳べるようになり、この試合で初めて認定された段階だとのこと。3ループも練習しているが、まずはサルコウ、トウループを2回ずつ、4トリプルの構成にする予定だとのこと。演技前、佐野稔コーチからは「杏林ワールドに入れ」と言われたという。佐野コーチはいつも面白いことを言うのだそうだ。そうして選手の緊張をほぐし、実力を発揮させることに心を砕いているのだろう。

2試合連続でトリプルアクセルを決めた、堀義正


この日、夏季フィギュアに続き、二度目のトリプルアクセルを成功させた。東日本ジュニア、全日本ジュニアでも大いにアピールしてほしい


8月の夏季フィギュアに続き、今回もフリーでトリプルアクセルを決めることが出来た。オーバーターンではあったが、中学生でトリプルアクセルを成功させられることは立派だ。前回はトリプルアクセルを降りたものの、その後が崩れてしまったが、今回はトリプルアクセルの後も崩れることなくまとめることが出来た。「アクセルを降りた後に気持ちを切り替える特訓をしてきた」という。それが出来るようになった時期にブロックを迎えたことが功を奏したようだ。

堀選手がスケートを始めたのは4歳の時。神宮のリンクに遊びに行った折、佐野稔コーチに「スケートやってみない?」と誘われたそうだ。初めて氷に乗ったその日のうちに、リンクの中央に連れていかれてクロスを教わったことを覚えているとのこと。そのときは佐野コーチがどんな凄い人なのか、全く知らなかったという。

現在、ジュニアのカテゴリーは女子だけでなく男子も西日本勢のレベルが高い。全日本ジュニアで「6位入賞してシニアの全日本に出ること」を目標に掲げる堀選手だが、それは簡単なことではない。

「トリプルアクセルだけでは同世代の強い選手達に割って入ることが出来ません。全ての面において、技術を上げていかなければなりません」

特にエッジジャンプが課題だと語る。決して跳べないわけではないのだが、疲れてくると抜ける確率が高くなるようだ。西の強豪達に割って入るためには、ショートプログラムでノーミスを達成することが必須になる。そのため、東日本に向けては「ショートプログラムの練習量を倍に増やす」と語る。

まだまだ改善点は多いが、短期間に著しく成長しているのは間違いない。滑りも確実に良くなり、トウジャンプに関しては“流れで跳ぶ”という以前からの課題をクリアしつつある。今後の成長振りを楽しみに見守りたいものだ。

※「ノービスA女子」編に続く 【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】

編集部

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