映画「残されし大地」トークイベントに高島礼子が登壇
関西ウォーカー
10月13日から16日に渡って京都市内で開催された「京都国際映画祭2016」。16日には、同映画祭のクロージング作品として「残されし大地」がよしもと祇園上映され、トークイベントに女優の高島礼子が登壇した。

本作は、2016年3月22日に起きたベルギーでのテロ事件で命を落とした、サウンド・エンジニアのジル・ローランが監督を務め、原発事故後の福島をテーマに製作したドキュメンタリー。。イベントには高島の他、監督の意思を引き継ぎ作品を完成させた妻・鵜戸玲子や同映画祭の総合プロデューサー・奥山和由、司会の清水圭も登壇。亡くなった監督に代わって、作品に込めた想いや魅力が語られた。

この日が日本初公開となった本作。鵜戸は「べルギーで起きた同時多発テロで、編集作業の終了段階で命を落とした夫の代わりに、今回この場に立たせていただいております。ベルギー本国でも公開され多くのお客様に来ていただき、日本でもこうして京都国際映画祭というハレの舞台でみなさまに観ていただくことができ、夫もこの会場のどこかで私と一緒に喜んでいるのではないかと思います」と挨拶。

奥山は、「何気なくテレビを観ていたら、この作品が紹介されていました。なんとも綺麗な映像で、誰もいない町に風が吹いてシャッターがカタカタと音を立てる…、いい絵だなと思いましたね。よくよく聞くと、監督はブリュッセルのテロで亡くなられた方の一人であると。私はどうしてもこの作品が観たいと思って、関係者に連絡をとったところ、奥様から直接連絡をいただきました。観てみると本当に素晴らしい作品だったので、今回のクロージング作品に選ばせていただきました」と、選定の経緯を語った。

さらに、スペシャルゲストとして登壇した高島は、「映像は綺麗なんですけど、どこか寂しさもある作品。映し出される人たちと一緒に会話を楽しんでいるような感覚になるぐらい、音が入ってくるので、聴覚の大事さを感じました」と、欧州でサウンド・エンジニアとして活躍した監督だからこそ生み出せた本作の魅力を語る。

また鵜戸はタイトルについて、「原題は『LA TERRE ABANDONEE』なので、直訳すると“見捨てられた大地”というタイトルになります。しかし、映画を観てみれば“見捨てられた”とう感じではなく、登場する福島に残って生活されているみなさんも笑ったりふざけてみせる場面もあるので、どこか明るい面もある。そういったところから、土地に愛着を持って生きていくんだというメッセージが伝わってきたので、“見捨てられた”というよりも、それまであったものが無くなっただけで、そこからまた何かが始まる“残された”大地であるという意味を込めてタイトルをつけました」とコメントした。
それを受けて高島も、「福島の綺麗な自然の中に、悲しい現実があったり、そのアンバランスさが胸にぐっと詰まるものがあるんですけど、確かに決して悲しすぎないところがよかったです」と語った。
イベントの最後には、今作が2017年春に日本で公開されることが発表され、観客から拍手が送られた。
【関西ウォーカー編集部】
大西健斗
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