フィギュアスケート・近畿ブロック大会レポート6 【シニア女子】
東京ウォーカー(全国版)
今季こそブレイクを期待したい、難病を乗り越えた三原舞依

トップスケーターは誰しも努力家だ。天賦の才のみで国際舞台で活躍できるような甘い世界ではない。ただ、そんな努力家達の中でも三原舞依の頑張りは特別な部類と感じる。そして常に冷静に自分の能力を発揮させる、とてもクレバーな選手だ。そのことは戦績にも表れている。2013年の全日本ジュニアで準優勝した時も、2014年の全国中学校大会で優勝した時も、当時の前評判はさほど高くはなかった。それでも大会が終わってみれば必ず結果を出している、そんな選手だ。そして力をつけて臨んだ昨シーズン、彼女にとっては飛翔の年となるはずだった。夏場から絶好調。アジアントロフィーで優勝し、JGPファイナルにも進出した。ところがその矢先、難病である若年性特発性関節炎を発症。不本意な形でシーズンを終え、闘病を続けた経緯は過去にこの連載でも紹介した通りだ。復活を果たした7月に新潟でインタビューした際には「昨シーズンの続きを頑張るつもりです」との発言が聞かれたが、そのやり残した課題は本人も予期せぬ形で早々に達成できることとなった。ネーベルホルン杯での見事な優勝だ。
「ネーベルホルン杯は、優勝が決まった後、信じられなくて『夢じゃないか』とほっぺが赤くなるまでつねっていました。自信はつきました。昨シーズンやり残したことは大分出来たかな、と思いますが、シニアのお姉さん達に比べたら私はまだまだです。しっかりしがみついていきたいです」
このインタビューをした近畿ブロック大会は、グランプリシリーズ、スケート・アメリカの直前だった。「シニアのグランプリシリーズは出たことがないので、怖いもの知らずの気持ちです。思い切ってやりたい」。その“思い切ってやった”結果が、初出場での3位入賞、堂々の表彰台だ。今やすっかり上昇気流に乗った感がある。11月18日からの中国杯の結果次第では、シニア初年度にしてファイナル出場の可能性もある。

今季の三原選手の活躍を支えているもの、それはリハビリ中の練習に秘密があったようだ。スケーティングの大幅な強化だ。ジャンプ練習が出来ない期間、スケーティングの改善に取り組んだそうだ。そして彼女は、シニアでの戦い方についてもはっきりとイメージが出来ていた。
「ジュニア選手は皆、エレメンツが上手です。でもシニアではスケートっていうものを自分の体から表現していかなければいけません。ジャンプをスケーティングの流れで跳ぶこと、そして跳んでからの流れが途切れないことが大切です。流れを大切にするように練習していきたいです」
それこそがジュニアとシニアの戦い方の違いであり、リハビリ中にスケーティングを強化したことは、シニアの大会に対応するためのカギでもあったのだ。
フリースケーティングで若干のミスはあったものの、近畿ブロックでの演技は実に堂々としたものだった。
「氷の上に乗れていることへの感謝の気持ち、楽しみの気持ちが大きいんです。なので緊張よりも楽しみという気持ちで滑れています。膝はまだ完璧ではありません。でも薬と点滴で調子はいいんです」
今も月に1回の点滴、週に1回の投薬が必要なようだが、そんなことは微塵も感じさせない。まだまだコンディションとの相談をしながらの段階のようだが、今季こそ大ブレイクを期待したい。彼女なら乗り越えてくれるはずだ。
【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image works)】
編集部
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