上質な“羊の皮”をかぶった狼「2017年版GT-R」を体験

東京ウォーカー(全国版)

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日産自動車の象徴といえるスポーツクーペ「NISSAN GT-R」が、今年2007年の発売以来最大規模の変更を果たした。センセーショナルな登場から10年。毎年進化するイヤーモデル制を採り、今年円熟の時を迎えたNISSAN GT-Rの2017年モデル(996万840円~)のPremium Edition(1170万5040円)を試乗した。

NISSAN GT-R Premium Edition(1170万5040円)


2017年版のNISSAN GT-Rは、見た目からして、従来とは大幅に異なる。まずフロントに日産のデザインシグネチャーであるVモーションデザインを採用。併せて、空力面での大幅な向上を果たした。

匠のラベルが貼られたエンジン。同社の中でも5名しか作ることを許されていないという


わずか5名の“匠”の手により1台1台手組みされる「NISSAN GT-R」の3.8リッター24バルブV6ツインターボエンジンは、気筒別点火時期制御を採用するなどにより、現行モデルよりパワーアップし、最大出力 565hp/6800rpmを発生。この強力なパワーを、改良型6速デュアルクラッチトランスミッションにより、円滑なシフトチェンジと変速時のノイズ低減を達成しながら、中速~高速域における一層スムーズな加速へと結びつけた。さらに、軽量化にも貢献する新設計のチタン合金製マフラー(電子制御バルブ付)へと変更。

足回りは、よりしなやかで正確に動くこと目的として、サスペンションやボディ剛性を見直し、より高い性能の向上と、これまでで最も快適な乗り心地を手に入れた。

試乗までの待ち時間、私の前を何度となく2017年版NISSAN GT-Rが目の前を通り過ぎたのだが、力強くて官能的なエキゾーストノートに思わず顔がほころんでしまう。いっぽうで、停止時はとてもジェントル。夜中の近所迷惑にはならないだろう。チタン合金製の新型マフラーのサウンドチューニングはさすがだ。

前期型のNISSAN GT-R NISMO(1510万円)


NISSAN GT-Rには幾つかバリエーションがあるが、筆者は今年3月、最も過激な14年型のGT-R NISMO(1510万円)に試乗したことがある。スパルタンな内装、そして常にメカノイズが聴こえる車内。そして堅い足回りに閉口したものの、それらが合わさることで、車内には常にドライバーを鼓舞させる危ない香りに満たされ、本来の生息域ではない、たとえ制限速度が50km/h程度の一般道であっても、とても興奮した。

【写真を見る】ナッパレザーを使ったインテリアとセミバケットシートをはじめとした高級感溢れる車内


運転席のドアを開けると、目の前に広がるのは、ラグジュアリーな空間だ。ややタイトなヒートシーター付きセミバケットシートが体をしっかりとホールド。ポジションは電動式で楽にセッティングができる。高級スポーティーサルーンのような快適な車内であるが、スピードメーターを見ると、320km/hまで刻まれ、この車がとてつもない非日常性を秘めていることを改めて知る。

イグニッションスイッチを押せば、後方から低域寄りのエキゾーストが聴こえる。外で聞くより大きめの音。とはいえ、GT-R NISMOに比べると静か。

走行中のGT-R。アクセルを踏めば圧倒的な加速が楽しめる


GT-R NISMOに比べると、2017年版の「NISSAN GT-R」はかなりフレンドリーだ。段差はしなやかにこなすし、車内も静か。なによりコントローラブルで、スポーティーセダンと、あまり変わりがない、いや、そちらの方がヤンチャなのでは? とさえ思ってしまう。

しかし、穏やかなのは低速域のみ。アクセルを踏み込めば、GT-Rは「待ってました!」とばかりの強烈な加速を見せつけてくる。シートに体が張り付き、身動きがとれない感覚。特に40kmから100kmといった中間加速は圧巻の一言。思わず笑みがこぼれてしまう。もちろんストッピングパワーも強力で、とてもコントローラブル。高速域での安心感は、さすがといったところで、GT-Rとなら、どこまでも快適に、楽しく、速く、遠くに出かけられる気がする。

常にレーシングシーンを感じさせるNISMOグレードも魅力であるが、2017年版のGT-Rの上質な質感もまた魅力だ。その昔、スカイラインを「羊の皮をかぶった狼」と形容されたが、GT-R NISMOが狼そのものだとするならば、2017年版NISSAN GT-Rは「上質な羊の皮をかぶった狼」だ。同じGT-Rの名を冠していながら、ここまで性格が異なるのか、と車の奥深さと楽しさを改めて知った次第。

快適な日常性と、サーキットという非日常性が同居する国産車は、そう多くはない。その中でもNISSAN GT-Rは誕生して10年経っても色あせるばかりか、磨かれ、魅力を増している。今後、GT-Rがどのように進化していくのか楽しみだ。【ウォーカープラス編集部】

クリタタカシ

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