アニメ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の舞台“亀有”

東京ウォーカー

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【連載】聖地巡礼さんぽ~あの作品の街を歩く~Vol.25

漫画や映画、ドラマなど、人気作品の舞台となった街を散策し、“住みたい街”としての魅力を深堀していく本連載。ここからみんなの“住みたい街”が見つかるかも?

第25回は、新作も収録したDVD-BOXをリリースする、1996年から04年と05年から08年の2度にわたって放送されていたアニメ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の舞台となった亀有エリアをピックアップ。

今年、連載40周年を迎え、惜しまれつつも連載を終了した秋本治さんの国民的人気マンガが原作。葛飾区亀有公園前派出所に勤務する警察官、両津勘吉を中心に、彼の同僚や、家族など周囲の人々を巻き込んだドタバタコメディや、時にホロッとくる人情ドラマが楽しめる。原作者の秋本さんの地元であり、物語の舞台として描かれている亀有のスポットとともに、街の魅力を紹介する。

どんなにハチャメチャなことをしても許されてしまう両さんのキャラクターに思わず笑ってしまう(C)秋本治・アトリエびーだま/集英社・ADK


「亀有香取神社」


由緒ある神社として地元民から親しまれ、アニメでもたびたび登場する「亀有香取神社」。ねじりはちまき姿が似合う両さんが祭り好きなことや、亀有香取神社の祭りが亀有エリアでは一番大きいこともあり、第12話で描かれた神輿かつぎ競争の話をはじめ、作品中の町内会の祭りシーンは、ここがモチーフになっているものも多い。

御祭神である経津主大神(ふつぬしのおおかみ)、相殿に祀られている武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)はいずれも武神(闘いの神様)として古くより崇敬されていたことから、「何事にも打ち勝つ、勝負、開運厄除の神様」「スポーツ振興の神様」として地元の人から親しまれている。

宮司の唐松範夫さんは「原作の連載終了と祭りのタイミングが同時期で、聖地巡礼を兼ねた人も多く、今年は例年以上に祭りが盛り上がりました。亀有は、のんびりした空気感と、程よい距離の人づきあいがあって“東京の田舎”といえるような雰囲気。住み心地はいいですよ」と街の魅力を話してくれた。

【写真を見る】現在の社殿は1967年に建てられたもの。境内には「こち亀」ゆかりのスポットがわかる「こち亀マップ」がある(「亀有香取神社」)


「亀有香取神社」で授与する「両さん絵馬」各500円


宮司の唐松さんと、境内にある“少年よ、あの星を目指せ!両さん像” (「亀有香取神社」)


「中川」


第86話で、事故にあって幽体離脱した両さんが、麗子に乗り移ろうとしたシーンで登場したのが中川の河川敷。両さんのさぼりスポットのひとつとしてよく登場している川だ。

中川は、埼玉県羽生市から始まり、東京湾まで流れる一級河川。葛飾区内で、中川による浸水防止のために作られた新中川と分岐している。川幅も広いため眺めがよく、夕方は川面が夕日に染まる美しい景色が見られ、人々の憩いのスポットにもなっている。現在は堤防工事のため3月までは河川敷に入れないので注意。

両さんは、幽体離脱したのをいいことに、麗子の体を乗っ取ろうとする(「中川」)(C)秋本治・アトリエびーだま/集英社・ADK


川幅も広く、さわやかな雰囲気でジョギングなどにもぴったりだ (「中川」)


「ゆうろーどの葛飾伊勢屋 亀有本店」


第21話で、両さんに借金の返済を迫るエピソードなど、何かと両さんの悪事の被害にあっている商店街がここで、作品でもしばしば登場する。

ゆうろーどは、亀有にある商店街でも最大規模を誇り、アパレルや雑貨、飲食店などバラエティ豊富な店舗がそろう。その中にある葛飾伊勢屋 亀有本店は、葛飾で50年近く営業を続け、両さんの焼印が押された「両さんどら焼き」で知られる老舗。店頭では季節替わりの10種をはじめ、常時50種程度の和菓子が並ぶほか、店内ではラーメンなどの軽食も食べられる。

ツケを払わない両さんに対し、商店街の店主たちは、ロボを持ち出すなど、あの手この手で払わそうとする(「ゆうろーど」)(C)秋本治・アトリエびーだま/集英社・ADK


70年近い歴史を誇る、亀有駅南口に広がる商店街の「ゆうろーど」


亀有で生まれ育った社長の佐藤尚吾さんは「『両さん どら焼き』を最初に発売したころ、地元の人から“両さんの街だと自慢できるお土産ができてうれしい”と喜んでもらいました。10年ほど前に駅前に銅像ができてからは、両さんの街として地元の人以外にも来てもらえるようになりましたね。そんな亀有は、ほかの地域と比べて物価が安い。商店街もまだまだ元気で、それに、ショッピングモールのアリオ亀有のような遊べるスポットもあるので、とっても便利な街ですよ」と話してくれた。

季節を感じられる和菓子などが並ぶ、「葛飾伊勢屋 亀有本店」


両さんの焼印がインパクト満点の「両さんどら焼き」(小豆173円、栗どら216円)(「葛飾伊勢屋 亀有本店」)


「亀有公園」


作品のタイトルに入っており、両さんが勤務する交番の近くにあるのが亀有公園。第131話で、両さんと婦警の小町が、署内慰安旅行の行き先を決めるために缶蹴り対決をしたエピソードなどで登場する。作品中では、両さんが公園をビーチにして交番の窓から海に飛び込んだりと、たびたび“怪しげ”なことをしていた場所だ。

実際は、大きな滑り台と、カラフルな滑り台が目を引く公園。駅から徒歩1分程度の距離ながらも、少し裏道に入った場所にあり、落ち着いた雰囲気。敷地面積も広いので安心して子供を遊ばせることができ、この日も何組かの親子が滑り台などで遊んでいた。14年にリニューアルし、区の防災拠点にもなっている。

両さんが勤務する派出所の近くにある「亀有公園」(C)秋本治・アトリエびーだま/集英社・ADK


駅から徒歩1分ほどの距離にありながらも、広々としている(「亀有公園」)


「亀有公園」の園内には両さんと座れるベンチがある(C)秋本治・アトリエびーだま/集英社


亀有駅を出れば、南口にも北口にも両さんの銅像があり、一瞬にして「こち亀」の世界に引き込んでくれる。街の人々も、誇りと愛着を持って「こち亀」という作品に接しているため、亀有の街を歩けば、どこからか両さんが現れそうな雰囲気がある。

河川敷で仕事をさぼり、ゆうろーどの商店街で借金をし、派出所のある亀有公園で大暴れしたりと、度々トラブルを起こし、周りに迷惑をかけてきた両さん。しかし、亀有香取神社の祭りでは先頭にたって祭りを盛り上げ、交番に訪ねてきたお年寄りをおんぶして目的地まで連れて行くなど、なぜか憎めないのが両さんでもある。

昔ながらの下町の雰囲気が残り、商店街に借金をするダメ人間の両さんをも受け入れる?度量の広い人情の街・亀有。そんな街の雰囲気がもしかしたら、両さんを生み出したのかもしれない。【東京ウォーカー/小松孝裕】

第26弾は12月下旬配信予定

「こちら葛飾区亀有公園前派出所 ベストエピソードセレクションDVD-BOX」32400円が12月22日に発売※Amazon.co.jp/BANDAI VISUAL CLUBおよびBVCプレミアムバンダイ支店のみでの販売(C)秋本治・アトリエびーだま/集英社・ADK


小松孝裕

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