映画「14の夜」に救われた キュウソが初の主題歌を語る
関西ウォーカー
映画「14の夜」の舞台挨拶付き先行上映会が、12月5日に、シネ・リーブル梅田で行われ、監督を務めた足立紳と、主題歌を担当した西宮出身の気鋭バンド・キュウソネコカミのヤマサキ セイヤ(Vo/Gt)とヨコタ シンノスケ(Key/Vo)が登壇した。

本作は、映画「百円の恋」で第39回日本アカデミー賞・最優秀脚本賞を受賞した脚本家・足立紳の監督デビュー作。1987年の田舎町を舞台に、悶々とした日々を送るタカシが仲間と共にくだらないことに必死になる姿を描いた、さえない中学生男子の青春物語。出演は、新人の犬飼直紀の他、濱田マリ、門脇麦、和田正人、SUPER☆GiRLSの浅川梨奈、健太郎、光石研といった顔ぶれが脇を固める。また、気鋭バンド・キュウソネコカミが主題歌「わかってんだよ」を担当していることでも話題となっている。

足立監督は、キュウソネコカミが書き下ろした初の映画主題歌「わかってんだよ」について、「そもそもやっていただけるかどうか分からなかったので、断られたらどうしようかと不安でした。それが引き受けていただけて、なにより曲を聴いた時はビビりましたね。今度は、映画が主題歌負けするんじゃないかと不安にさえなりましたから(笑)」と絶賛。
作詞を手掛けたヤマサキは、「脚本を読んだ時点で感動して、何度も読み返しました。まだ主題歌の依頼を引き受けるかどうかの段階でしたが、“これはキュウソがやらなきゃ!”と思って、それからすぐに歌詞が書けましたね。自分のキャリアでもターニングポイントになるような曲が生まれて、本当によかったです」とコメント。
これまでのキャッチ-でダンサブルな楽曲とはひと味違う、青春パンクなナンバーになっていることについて、ヨコタは「キュウソの曲って、ライブで盛り上がるような勢いのある曲が多いんです。だけど、それじゃあこの映画の笑って泣ける、なんともいえないラストシーンにはマッチしないので、いつものライブ目線では絶対にやらないようなイントロから始まる楽曲にしようと考えました」と、いままでにないアプローチで作曲したと語る。

今度は、主人公のさえない中学生・タカシが、ヤンキーに絡まれるシーンに触れながら、3人は地元のヤンキーとの苦い思い出についてトークを繰り広げていく。ヤンキーへの鬱憤を爆発させたキュウソの人気曲「DQNなりたい、40代で死にたい」では、観客と“ヤンキーこわい!”のコール&レスポンスを巻き起こしている2人にとって、タカシがどこか他人ごとには思えなかったという。「ヤンキーが自分たちより強かったり、自分に誇れる部分がないような中高生時代を僕も過ごしていたので、タカシの心情と重なる部分が多いんです。だから主題歌の『わかってんだよ』では、自然と自分の経験と脚本が重なるような歌詞が書けました。悩んでいる時期でもあったので、キュウソにとっても大事な曲ができたという意味でも、本作には救われましたね」と、改めて楽曲に込めた想いがヤマサキから伝えられた。

さらに、ヤンキーにも突き詰めた文化系にもなれないタカシについてヨコタは「バンドをやっていると華やかなイメージを持たれるかもしれないけれど、キュウソはアイドルみたいにキャーキャー言われているタイプのバンドでもないし、かといって何か秀でたものがあるわけでもないんですよね。だけど、少なからずチヤホヤされたい感じはある。ヤンキーにもなれずに、ヘラヘラしているタイプ(笑)。この映画の脚本から生まれた主題歌は、僕らにしか書けない歌詞を書けているんじゃないかなと思っています」と、自身とバンド性が映画のキャラクターにリンクしている点について語った。
ユーモアとディスの効いた歌詞が多いバンドのイメージとは、またひと味違う、ストレートにさらけ出された歌詞が胸を打つ新曲「わかってんだよ」。ライブのステージでみせるアグレッシブな姿からは想像できないほど、映画「14の夜」の魅力や楽曲に込めた想いを真摯に熱く語る姿はとても印象的だった。最後は、観客と一緒にフォトセッションが執り行われ、舞台挨拶の幕を閉じた。

映画「14の夜」は、東京・テアトル新宿ほかにて12月24日(土)より公開。関西は、シネ・リーブル梅田にて12月31日(土)より公開される。【関西ウォーカー編集部】
大西健斗
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