いまさら聞けない「新宿ゴールデン街」の楽しみ方、“酉の市”の夜に聞いてきた

東京ウォーカー

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年の瀬も迫り、ますます活気を帯びる新宿ゴールデン街。ただし、この“ちょっと怪しいネーミング”などもあいまって、「興味はあるけどまだ訪れたことがない」という方もいるのでは?

そこで今回、新宿ゴールデン街の「BARウラメン」の九内さんに話を聞いてみた。インタビューは、酉の市の夜。毎年、花園神社の酉の市で熊手を購入しているという九内さんに、酉の市についても話を聞いた。

BARウラメンの店内。お客さんはそれぞれに会話を楽しんでいた


――いつ頃から「酉の市」に熊手を買いに行かれていますか?

九内「店をオープンした初年度から行っています。兄から引き継いでオープンさせたのが6年前です」

――熊手を選ぶときのこだわりというのは?

九内「僕の名前が“九内”なので、9番で買っています。毎年そのお店からハガキが来て『今年もぜひ』と書いてあるので。あと、9番が、正面のいい場所にあるんです」

――デザインや飾りつけのポイントなどはいかがですか?

九内「そこはそんなにこだわらないですね。縁起ものなので、徐々に(サイズを)大きくするか、そのままぐらいの大きさか、と言われていて。(前年より)小さくすることは普通やらないんですけど……毎回大きくしても置く場所が難しくなるので(笑)。お金をかけることは問題ないんですけど、置けないしな、って。今飾ってあるのは、1万8000円のものですね。その前の年も、同じくらいです。今年も同じくらいの大きさでいきたいですね(笑)」

――6回目の酉の市ということで、酉の市の醍醐味というか、花園神社の酉の市の良さというのは?

九内「まず、活気がありますよね。お店から一番近いというのもあります。あとは、僕が一番影響を受けたお店のこともあります。僕がゴールデン街に飲みにいき始めて12、3年くらいたつんですけど、そのころから個人的によく行っているお店があって。そこの店主が、こういう縁起物を大事にする人で、その影響もあって、うちもお客さんと一緒に熊手を買いにいっているんです」

――お客さんと一緒に買いにいくんですね。

九内「すべてのお店がやっているわけではないですけど、ほかのお店でも一緒に買いにいくところは多いみたいです。本当は、自分でお金を出して買うのでなく、熊手はお客さんに“買ってもらう”らしいので。といっても、うちでは、前の年に(熊手に)差してもらったご祝儀から代金を出して、という感じで購入しています」

【写真を見る】11月23日の二の酉、花園神社は多くの人出で賑わう


――酉の市はやはり商売をされている方が熊手を買うというイメージがありますが、知っているけど行ったことがないという人も多そうです。酉の市を楽しむポイントやアドバイスはありますか? たとえば、すいている時間帯というのはあるんですか?

九内「昼間は少ないと思いますが、今年は祝日(11月23日が二の酉)なのでそこはあんまり関係ないかな。でもそれこそ、平日とか土日に関係なく“酉の日”にやるものなので、年によっては三の酉までありますよね。僕はあまり気にしてなかったんですけど、どうやら酉の日に買ったほうがいいみたいで、前夜祭から行く人の中には『夜12時を過ぎて日付が(酉の日に)変わってから買う』という方もいますね。あとは、一の酉は水商売が良くて、というような話も聞いたことがあります。諸説あるみたいですね。ただ、みんなそれぞれ縁起を担いで、気持ちよく買うって感じだと思います」

――実際のところ、効果についてはいかがですか?

「効果というよりは、『一年に一回、今年も終わるな、来年も…』という気持ちの切り替えができますね。酉の市が終わったら今年も終わり、というか。12月はずっと忙しい日々が続くので」

――ここからは、お店「BARウラメン」について聞かせてください。お店を始めたきっかけは?

九内「もともとは、僕自身がゴールデン街でよく飲んでいて、2004年くらいから通うようになったんですが、兄が今のこの地下1階で店をオープンさせたのが2007年の4月。そこから3年半くらいやって……2011年の1月から、僕が兄から引き継ぎました。もともと、ファミコン世代というかゲーム好きが集まれるようなお店をやりたいというのは僕のアイデアで、兄が『もう店やめようかな』と言っていたときに、店をなくしたくなくて、脱サラして引き継ぎました」

――今の店名はその頃から?

九内「店名は、最初に兄が始めたときは『QUNAI BROS.(クナイブラザーズ)』でした(笑)。最初は週何回、手伝いという感じだったんですが、兄と喧嘩したときに出禁になって(笑)。その後、仲直りして復活したときに『兄ちゃんの店を手伝うんじゃなくて、兄ちゃんが休みのときに別のお店としてやります』となって。別バージョン、“裏面”として始めて。その名前を、持ってきています」

――今は兄弟仲良しなんですか?

九内「もちろん、今は仲良しです(笑)。たまに飲みに来ますよ」

――ゴールデン街に店を構えて、ご自身もよく飲みにいかれるということですが、ゴールデン街の楽しみ方を教えてもらえますか?

九内「僕が通いだしたこの10年くらいでもだいぶ変わってきている印象なので、これがすべて、とは言えないですけど、僕の考えだと、いろんなジャンルの、いろんな人がやっているお店があるので、何かのきっかけでお店に入って、そこで紹介を受けて、また違うお店に行って、というのを繰り返して知っている店を増やしていくこと。そうすると自分に合ったお店に出会えるじゃないですか。そこに入り浸るっていうのがパターンですかね。あとは、ゴールデン街のお店は、他の普通のお店に比べて中の人とお客さんの距離が近いところがあるので、たとえば、お客さんだからといって変なことをしたら怒られるし(笑)。こっち側、お店側としては、怒るところまでもサービスという感じなんですけどね」

――最近のゴールデン街はいかがですか?

九内「観光客の方が増えましたね。特に外国人の観光客。今は外から見えるオープンなお店も増えましたが、もともとゴールデン街は閉鎖的というか、僕が通い出したころでもだいぶオープンになっていたようですけど、外から中が見える店は少なかったです。今はもうかなりオープンという感じですね」

――訪れやすいというか、初めての人でも親しみやすい雰囲気になっているということですね。こちらのお店は外国人観光客の方もいらっしゃいますか?

九内「うちは看板に日本語しか書いていないので、日本に来る前から日本のゲームをキーワードに調べてくるすごいオタクの人か、日本語のわかる外国人の方しか来ないですね。基本的に、何もわからず飛び込んでくるということはほとんどなくて、そういう意味ではバランスを保てていると思います。海外の方が来てくれるのはいいことなのですが、あまり増えすぎても、もともといたお客さんたちにとっては、ずっと“英会話教室”みたいな状態になるので、それも疲れてしまうというか。『日本語で気軽に飲みたいのに』って。たまにならいいんですけどね。なので、バランスは保てているかなと思います」

――ゴールデン街で、九内さんが個人的にオススメのお店は?

九内「たくさんありますよ。『BARウラメン』に来ていただければ、オススメのお店もより丁寧に教えられると思います」

――ゴールデン街のお店同士で、けっこう交流があるんですか?

九内「すごくありますよ。ライバルということは全くなくて、先日も組合の旅行がありました。ゴールデン街と言われているエリアには二つ組合があって、G1通り、G2通り、一番街、三番街、五番街、八番街とあるんですが、一番街の通りを境に、組合が違うんです。一番街の向こう側が『新宿ゴールデン街商業組合』、僕ら側が『新宿三光商店街振興組合』です。数はこちらのほうが多いです。ただ、今はもう、どちらもひっくるめて『ゴールデン街』と言われていますよね」

――定期的に集いがあるんですか?

九内「そうですね。人が交流するのは、この10月、11月に行く三光商店街の旅行と、年始の新年会ですね。新年会は両方の組合から人が来ています。あとは、イベントがあるんですよ。一番大きいのは夏の『納涼感謝祭』、それと似た感じで『春の桜まつり』、今年初めてやった『秋祭り』ですね。いろんな店舗が参加していました。ここ10年くらいで大きくなってきたみたいです」

――店を休んで集まる感じですか?

九内「旅行の場合は、土曜日の営業明けの早朝から行って、日曜に宿泊、月曜の営業までに帰ってくる感じですね。日曜日を休みにしている店もありますが、日曜だけほかのスタッフに任せたりするケースがあるので、『日曜にいない』っていうのが一番やりやすいんです。ちなみに、10年前は日曜にやっている店はほとんどなかったです」

――お客さんのニーズに合わせて変化したということですかね。では最後に、BARウラメンのオススメを教えてください。

九内「わりと、普通にコミュニケーションを取るのが苦手な人が多いので、そういう人でも気軽に来られるんじゃないかなと(笑)。それを売りにするわけじゃないですけど(笑)、今、うちの店も転換期のようなタイミングで、ちょっと前だとお客さんは30代の男性がほとんどだったんです。ファミコン世代の方が中心だったんですけど、最近はどんどん若い方も入ってきています。女性が一人でも来やすい店だと思います。ゴールデン街全体でいうと、女性が一人で飲んでることなんてよくあることですけど(笑)」

九内「僕もそうですし、お客さんもゲーム好きの方が多いですけど、みんな好きなものとか知っているタイトルの世代が違うので、そこも楽しいと思います。こういうお店をやっているので『ゲーマーなの?』とよく聞かれるのですが、ファミコン世代なだけなので、ゲームマニアと期待されてもあまりわかりません(笑)。ただ、お客さんはゲーム好きな方が多いので、会話は広がるかもしれないですね。あとは音楽も好きで、変な音楽というか……ブルガリア音楽とか好きですね(笑)」

――スタッフはどういう方が?

九内「すごく変わった女性スタッフがたくさんいます。いま10人以上いるのですが、水曜日はこのコ、木曜日はこのコ、という感じで、それぞれ個性を持ったコがいますので、そこが売りではありますね。なんというか特殊な(笑)。とにかく、個性が強いスタッフをそろえております(笑)。でも、気軽に来られるお店です。お店のコンセプトであるレトロゲームと、音楽と家電の話をしたいときはスタッフに『店主を呼べ』と言っていただければと思います(笑)」

インタビュー後、ともに花園神社へ。熊手購入までを見届けさせていただきました。

熊手を購入した九内さん


2017年の干支は「酉(鳥)」。12年に一度の「酉年」の「酉の市」は一の酉が11月6日、二の酉が11月18日、三の酉が11月30日に開催されます。先の話すぎて鬼も笑い転げそうですが、まだ足を運んだことがない方も、「もう知ってるし」という方も、ゴールデン街と花園神社を楽しんでみては。【ウォーカープラス編集部/浅野祐介】

浅野祐介

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