“ポスト鬼滅”に賛否?「呪術廻戦」の人気爆発ぶりをデータと現場の声で紐解く
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「週刊少年ジャンプ」連載中のマンガ「呪術廻戦」(著:芥見下々/集英社)の人気が爆発している。放映中のアニメは毎話関連ワードがTwitterトレンド入りするほどの人気で、原作を購入するファンが続出し、累計発行部数は2500万部を突破(※)。昨日30日、著者の芥見下々先生が「漫道コバヤシ」にてテレビ初出演を飾ったことでも話題になった。そのブームの過熱ぶりが、社会現象化した「鬼滅の刃」(著:吾峠呼世晴/集英社)を想起させることから、最近ではメディアが“ポスト鬼滅”として取り上げる例が多発。一方で、「どちらに対しても失礼」「比べる必要がない」といった批判の声も高まっている。なぜこのように賛否の声が噴出することになったのか、「呪術廻戦」の人気を示すデータや現場の声をまとめつつ分析した。
※以下、部数はいずれも電子版を含む
原作の歴史と発行部数の変遷 アニメ化決定時の約10倍に!
「呪術廻戦」の連載がスタートしたのは、2018年3月。初連載ながら“編集部が満場一致で連載決定”という鳴り物入りのデビューだった。当初から人気が高く、1巻は発売後即“大重版”。2巻との累計発行部数が早々に25万部を超え、「デジタル版でも新人作家としては異例の売れ行き」と編集部にいわしめた。
翌年2019年には、早くも受賞ラッシュ。書店員1100人の投票による「全国書店員が選んだおすすめコミック2019」1位獲得に続き、「みんなが選ぶ TSUTAYAコミック大賞2019」でも大賞の座に輝いた。
アニメ化決定当時は250万部(既刊7巻)だった累計発行部数は、放送直前の2020年10月2日には850万部(既刊13巻)を突破。その後、放映中の約4カ月の間に大きくジャンプアップし、先日26日には2500万部に到達(既刊14巻)。アニメ化決定時の10倍となる驚異的な伸びを示した。

SHIBUYA TSUTAYA広報担当者は、「アニメ化が決まった際、『鬼滅の刃』に次ぐ大ヒット作になるのではないかと考え、通常の映像化作品の4倍のスペースで棚を展開することを決めました。そのおかげもあってか、若い女性を中心に多くのお客様に購入いただき、アニメ放送前後比で販売数が4000%を超える異例の状況になっています」と語る。
1月18日~24日の週間コミックランキングでは、1位から8位までを「呪術廻戦」が独占。20位までに既刊14巻すべてがランクインした(
「ほんのひきだし」ランキング記事
より、日販 オープンネットワーク WIN調べ)。日販が運営するWebメディア「ほんのひきだし」の担当者は、その購入層について「もともと10~20代男性、次いで20代女性が多かったのですが、アニメ放送を機に、特に女性読者が増加しました。2019年からの累計データでは、10~20代の購入者は男女ほぼ同数となっています」と話す(日販 WIN調べ)。

アニメ、グッズ、食玩…さまざまな分野でSNSの話題をさらう
1月から第2クール「京都姉妹校交流会編」に突入したアニメも快調だ。アニメ雑誌「月刊ニュータイプ」2021年2月号では、表紙&巻頭特集に登場。国内No.1アニメ配信サイト「dアニメストア」で行われた「今期何見てる?2020秋アニメ人気投票」では、9381票を獲得して1位となった。
Netflixが発表した「2020年、日本で最も勢いのあったアニメTOP10」では、配信オリジナル作品に次ぐ2位にランクイン(配信直後から視聴数に伸びがあったアニメをランキング化)。2021年1月度のdTV視聴ランキングでも1位を飾るなど、その他の配信サイトでも人気を博している。

何より、その人気の高さを証明するのはSNSでの盛り上がりだ。アニメ最新話が放映されると、毎回のように複数の関連ワードがTwitterトレンド入りし、番組公式ハッシュタグはたびたび1位に。特に、人気キャラクターの五条悟の素顔が明かされた第7話などでは、1~2位をはじめトレンド20位までのうち7つを関連ワードが占める“祭状態”となった。
グッズもすさまじい人気ぶり。アニメイト新宿ハルク グッズ担当の古賀さんは、「以前からコミックスは売れ筋でしたが、アニメ化されるとグッズも大人気となり、特に第7話の放送後は、店頭でのお問い合わせが一気に増えるなど大きな反響がありました。女性の方を中心に、男性や親子連れの方など、性別・年齢を問わず幅広い層にご購入いただいています。現在開催中の『「呪術廻戦」京都交流会編 放送記念フェアin アニメイト』も好評です」と話す。

量販店でも関連商品の取り扱いが始まっている。食玩「呪術廻戦ウエハース」(バンダイ)は、1月18日に一部のコンビニで先行発売が開始されると、こちらもSNS上で話題となり、完売を嘆く声が相次いだ。