スキンシップ、する側とされる側の「好意」って同じもの?受け止め方のズレを捉えた短編漫画に注目集まる
「誰かを動かす人間も誰かに動かされている」一人の少女を軸にした短編集

――「たまったもんじゃない」が収録された短編集『スライトセルフエスティーム』も発売されました。これまで発表された短編が、相浦結月を軸にした構成となっていて驚きました。
「最初は『たまったもんじゃない』を独立して描こうとしていました。しかし、描いていく中で相浦という人間を考えるうちに、彼女がどんな経験をしてきたのかを掘っていこうと他の話を描き始めました」
――また、収録順も時系列通りではありません。狙いはどんなところにあったのでしょうか?
「相浦はこんな経験を踏まえて前の漫画であんな動きをしたのかと、再度読み返したくなるよう時系列が遡っていく構成にしました」
――短編集を制作する上でのテーマや、やりたかったことを教えてください。
「私は、自分に影響を与えてくれた人間のその言動は、どんな経験の中で培われたものなのかと、バックボーンを想像することがよくあります。各話の主題は独立しているので全体のテーマを端的に述べられず申し訳ございませんが、誰かを動かす人間も誰かに動かされているということを確認する作業をしたかったのだと思います」

――今年5月は「たまったもんじゃない」の他、ビッグコミックスペリオールに読み切りショート作品が掲載されるなど、精力的に活動されています。今後、創作活動での目標を教えてください。
「一昨年の暮れにとある媒体で連載が決まり、その準備中に就職をしたのですが、並行していく中で昨年の夏頃に調子を大きく崩してしまい、しばらく活動できずにいました。そこから徐々に立ち直るために描いた漫画たちだったので、『漫画の練習』という表現をしました。
直近ではビッグコミックスペリオールに読み切りが掲載されました。やりたいことがある間は漫画や文字・映像問わず物語で食べていきたいと考えているので、息の長い作家を目標に活動していけたらと思っています。漫画に限らず依頼を募集しています。また、本書の紙の書籍での出版に手を挙げてくださる版元様がいらっしゃいましたらお声かけいただけると嬉しいです」

取材協力:奥灘幾多(@hitotoseshiki)