「母親失格だ…」妊娠悪阻(おそ)がしんどい!辛過ぎる気持ちを綴った漫画に共感多数

妊娠に伴う“つわり”というと、どんなイメージを持っているだろうか?ドラマなどで、登場人物が不意にトイレに駆け込んで、そこで「妊娠している…?」と気付くといったベタなシーンを思い浮かべる人もいるかもしれない。つわりというと嘔吐のイメージが強いが、実際のところは実にさまざまな症状がある。眠くなったり、めまいが起きたり、頭痛や耳鳴りがしたり…。そういったつわりの中でも、極めて激しい吐き気や嘔吐、食欲不振を伴い、体重が減少し、脱水まで引き起こしてしまうのが「妊娠悪阻(おそ)」と呼ばれるもの。水すら飲めず最後には胆汁や血を吐くこともあるという壮絶な話だが、その体験談をまとめた漫画が共感を呼んでいる。
※本作で紹介している症状は、個人の体験談でありすべての人に当てはまるものではありません。症状で悩んでいる場合は医師・看護師・助産師等の専門家に相談してください。また、センシティブな内容を含むため、閲覧にはご注意ください。

食べては吐き、においで気持ち悪くなり…と妊娠6週目から体調は絶不調だった松本さん。精神的にも辛い日々が続いたという。「つわりが怖くて2人目に踏み切れない話」より画像提供=松本ぽんかん(@m_pon_kan)

描いたのは松本ぽんかんさん(@m_pon_kan)。第1子妊娠時に妊娠悪阻となり、その経験がトラウマで、第2子を迎えることに前向きになれなくなってしまったとのこと。「つらかったあの頃の思いを浄化させ、もう一度赤ちゃんに会いたいという気持ちを取り戻すため」に妊娠漫画を描き始めた。妊娠12週の頃には体力的にも精神的にも限界を迎え、「妊娠やめたい…」と夫に言ってしまったエピソードには、同じような経験をしたと語る読者が数多く現れた。松本さんに漫画に対しての反響についてどう感じているのか話を聞いた。

漫画で語られる詳細な悪阻の日々。なんとすべて記憶頼み

松本さんの漫画で印象的なのは、どの時期にどんな症状があったのか、何だったら食べられたのか、自身の状況について詳細に描写されていること。日記などに記録していたのかと思いきや、まったくの記憶のみで描いているのだそう。

「4年経っても全然忘れていなくて、我ながらつわりへの恨みの深さが感じられます。母子手帳を見返しても、当時の心境や赤ちゃんの様子は一切書かれていなくて、ただその時食べたものが列挙してあるだけでした(笑)。妊娠漫画を描くにあたっては、『妊娠○週の時に何があったか』というのは一応書き出してあって、点滴を始めたとか、つわりが終わったとか、坐骨神経痛になった、転院した、仕事に復帰した、というざっくりしたテーマは週数ごとに事前に決めてあります。特にネタがない週はすっ飛ばします(笑)」

「つわりが怖くて2人目に踏み切れない話」18画像提供=松本ぽんかん(@m_pon_kan)

一般的に、妊娠初期から23週ぐらいまでは産婦人科への通院は月に1回程度。それもあり、松本さんはつわりをどうにかやりすごせないかとさまざまなことを自分で試みていた。空腹になると気持ち悪くなってしまう、でもお腹いっぱいになると吐いてしまう。そこで常に一口サイズの食品をカバンに忍ばせ、移動中も10分おきに食べ続けていた。

しかし、それもうまくいかなくなり、においで気持ち悪くなってしまう“においづわり”が本格化。仕事にも行けなくなってしまうが、仕事を休むことに罪悪感を覚え、休んでいるのに食事が取れない(赤ちゃんに栄養をあげられない)ことを自責し、「母親失格だ…」と精神的にも追い込まれていってしまう。常に何だったら食べられるかを考え続ける日々。

そして11週の頃、やっとの思いで食べたあられを喉に詰まらせてしまい、泣きながら夫に「妊娠やめたい…」と言ってしまうのだった。この本音を描くことには勇気がいったが、このシーンが妊娠漫画で一番大事な部分だったという手応えを感じているのだそう。

「つわりが怖くて2人目に踏み切れない話」33画像提供=松本ぽんかん(@m_pon_kan)

「つわりが怖くて2人目に踏み切れない話」34画像提供=松本ぽんかん(@m_pon_kan)

「つわりが怖くて2人目に踏み切れない話」35画像提供=松本ぽんかん(@m_pon_kan)

「妊娠11〜12週ぐらいの時、水すら飲めない日が続いて、体力的にも精神的にも限界を迎えて、とうとう夫にぶちまけてしまったのがあのセリフでした。望んで妊娠して、せっかく授かった我が子に対して、自分はなんて非人道的なことを考えるんだとすごく悩みましたが、あれは限界を迎えた私の、心からの本音だったんですよね。喉に詰まらせて、死の恐怖に直面したからというのもあるのかも。非人道的ですし、赤ちゃんを望んでいる人からしたらとんでもない発言であるのは重々承知でしたが、この本音なしに妊娠悪阻の辛さを語っても、なんだか嘘っぽくなってしまうなと思ったので、描きました。むしろ、一番伝えたかったのはそこだったんだと描いた後に気がつきました」

エピソードに対しての反響は驚くほど多く、その大部分が共感の声だったそう。

「引用リツイートやダイレクトメッセージを本当にたくさんいただいて。ほとんどが共感のお声でした。つわりへの恨みつらみをめちゃくちゃ長文で語られる方もたくさん(笑)。私だけじゃなかったんだ!と思えたことは大きな収穫でしたし、今現在つわりで苦しんでいる方から『励みになりました』という言葉をいただいた時は、本当に描いてよかったと思いました。他にも、『人に伝え辛い経験をわかりやすく描いてくださり、ありがとうございます』というような言葉もうれしかったです。あと、『つわりに理解のない夫に、この漫画を見せたらわかってくれました』というメッセージをもらったことも。レアケースですが、独身男性から『こんな世界があるなんて知りませんでした。未来の妻に優しくします』と言われた時は、なんだか社会貢献ができた気がして誇らしかったです(笑)」

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