書店員のお仕事ってこんなに大変なの!?書店員兼漫画家が描く“書店員あるある漫画”に迫る【作者に聞いた】
書店員の仕事といえば、どのような業務を思い浮かべるだろうか。本の発注やコーナー作り、ポップ制作、レジ打ちなどが想像できるが、実はこれらは氷山の一角。客が普段目にすることのない裏方の仕事がたくさん存在する。そんな書店での仕事の裏側や苦労話、楽しさなどを4コマにまとめているのが、書店員歴10年のいまがわゆいさん(@othellolapin)だ。
いまがわさんは書店員として働く傍ら、漫画家としても活動中で、過去にはTwitterを中心にSNSで「書店員あるある」を連載していたことも。ポップで親しみやすい作風と書店員の一喜一憂が垣間見えるストーリーにファンが増え続け、2022年5月にはついに『本屋図鑑 だから書店員はやめられない!』(廣済堂出版)が発売された。
漫画家として活動しながら書店員を続けるいまがわさんは、どんな経緯で書店員の仕事を漫画にすることになったのだろうか。そして書店員の仕事の魅力とはどのようなところにあるのだろうか。いまがわさんに漫画を描き始めることとなった経緯を聞いた。

「魅力を知って欲しかった」書店員4コマを始めた理由
22歳から書店員として本屋に勤務しているいまがわさん。働きながら漫画家やイラストレーターとしても活躍し、東京や大阪で開かれる自主制作漫画の展示即売会を行っている。発表している作品のなかでも特に人気なのが、書店員の仕事を4コマでまとめたコミックエッセイ。「書店員の仕事内容やリアルな書店事情などがおもしろい」と評判だ。そんないまがわさんが4コマを描き始めたのは、「ほかの書店員や書店好きな人々との繋がりがほしかったから」だったそう。
「私にとっては“日記のようなもの”という側面もありましたが、書店員さんと気持ちを分かちあったり、書店員の仕事の魅力を未経験の人にも知ってもらいたいという気持ちで始めました。文章より漫画のほうが見ていておもしろいのと、自分自身もTwitterで漫画作品に出合うことが楽しいので、自分でも発信をしてみようかなと思ったのがきっかけでした」

書店員の仕事は客の目線からでは見ることのできない部分も多く、例えば書籍の発注や荷解き、コーナー作り、シュリンク包装の作業など、裏方の仕事が意外と多いのも特徴だ。そんな見えない作業の多い書店員の仕事を、多くの人に伝えたいと思ったのが4コマを描いた理由だ。
「いろんな仕事の話を聞いたり、職場の裏側を教えてくれるコミックエッセイなどを読むのが大好きなので、私も書店の裏側を伝えられたらおもしろいんじゃないかなぁと思っています。書店は誰でも気軽に立ち寄れる場所だからこそ、『あの作業にはこんな意味があったのか!』と、見ていただいた方に楽しんでもらえたらうれしいですね」

いまがわさんが漫画を描くうえで心掛けていることは、書店員未経験の人の目線に立つこと。知らない人から見たらおもしろい「非日常」でも、書店員から見れば「日常」の光景。そのため、日々の業務に溶け込んでいるネタを掘り出しては、どのように描けば伝わるかを考えていくのがいまがわさんのこだわりだ。
「仕事中になにか漫画のネタを思いついたら、エプロンのポケットに入れているネタ帳に殴り書きして、そこから4コマにしたことも多かったですね。字が汚くて読めないこともよくありましたが(笑)」