書店員のお仕事ってこんなに大変なの!?書店員兼漫画家が描く“書店員あるある漫画”に迫る【作者に聞いた】

書店員の仕事は魅力もあれば苦労もあり!

いまがわさんは書店が好きすぎて「職場に住みたい!」と思ってしまうほど、いわば“本屋の虫”。書店員の仕事は本を見続けることができるため、本好きにはたまらない仕事だ。いまがわさんは書店員の仕事にどのような魅力を感じているのだろうか。

「書店員の仕事の魅力は、素敵な本が入荷するのをいち早く見られることです。書店には毎日本が入荷するのですが、その本をブックトラック(移動できる本棚)に本のジャンルごとに並べます。そこに並ぶ新刊を見て、『これは装丁がきれいだな』『この紙とインク、素敵だな』と毎回ワクワクします」

横着な棚替え(1)


そんないまがわさんが毎年楽しみにしているのが、毎年夏に行われる文庫のフェア。それぞれの出版社が用意しているノベルティがどれもこだわり抜いたものばかりで、その時限定のオリジナルのカバーや拡材にいち早く触れられる瞬間が幸せなひと時なのだそうだ。

「お客様にノベルティを選んでもらう時も楽しいです。本を楽しそうに選んでいるお客様や、お目当ての本を見つけてうれしそうに購入される姿を見るとほっこりします。また、自分が描いたポップの本をレジで販売したときはうれしくて変な汗をかいたこともありますね(笑)。ほかには、出版社の営業担当さんが書店に来たときもワクワクします。本についての情報交換や世間話は心を潤わせてくれるんです」

横着な棚替え(2)


一方で、意外と力仕事が多くて筋肉がついてしまったりと、書店員だからこその苦労も多いのだとか。特に仕事をするうえで苦悩しているのが、来店客に対してスタッフが少ないことだという。

「スタッフが少ないと、お客様は問い合わせる人をわざわざ探すことになります。また、問い合わせを受けると本探しに走り回ったりと、スタッフも1人でこなす仕事の負担が増えてしまいます。そして対応をしているうちに必要最低限の作業しかできなくなり、整った売り場作りをすることが難しくなってしまうんです」

書店員の1人当たりの業務量は想像以上に多いのが現状だ。そのため、来店者のフォローや書籍の問い合わせなどに追われてしまうと、売り場が回らなくなることも。丁寧な対応ができない書店の状況を解決するために、人手不足の改善が早急な課題だといまがわさんは話す。

「学生アルバイトさんには、レジはもちろん、裏方のお仕事をお願いすることが多いです。ですが本を書棚に入れたり発注したりなどの本屋らしい仕事をしてもらって、『書店は楽しいよ!』と伝えたいと思う反面、自分のことでいっぱいいっぱいになり、そこまで力及ばずに歯痒い思いをすることもあります」

書店にあるあの機械


ずっと本と関わる人生に…いまがわさんが抱く大きな夢

前述したとおり、いまがわさんは書店員の傍ら、クリエイターとして幅広い活動を行っている。2022年には書籍が発売されたことで、著者として出版イベントをこなしたりと、新たな肩書きを持ちながら書店員の仕事を続けている。

そんないまがわさんには、1つの大きな夢が。いつかイラストレーターとして本の装丁を描いてみたいそうだ。自らが手掛けたカバーの書籍を新刊入荷時に「この本の表紙、私が描いたんやで」と自分自身に自慢しながらニヤニヤ眺めるのが夢だという。だが、ほかの仕事をすることになったとしても、書店員は続けて行きたいというのがいまがわさんの願いだ。

「私は本が好きなので、今後もできる限り続けていろんな良い本を現場から発信したいです。将来的に書店員でなくなることがあったとしても、どんな形であれ本に関する仕事をしていきたいです」

組み合わせ


2022年秋には地元の岡山から京都に引っ越し、京都市内の書店で書籍の販売に打ち込んでいるという。人には向き不向きというものがあるが、本に囲まれながら本を発信し、さらに自分でも生み出していくいまがわさんにとって、書店員は天職なのではないだろうか。これからの活動からも目が離せない。

取材=織田繭
文=越前与

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