「涙腺崩壊」と結末に反響集まるホラー “自販機の小銭”を巡る子供たちの悲劇に「怖いより切ない」【作者に聞いた】

明るい夢のためだったトモキと、その日その日を生きるためだった男の子の小銭拾いが辿り着いた、物悲しい結末。男の子が亡くなった理由は察せられるだけに、家の前にお供えされた食べ物の数々がやりきれない。

本エピソードは、『僕が死ぬだけの百物語』第3巻収録の「第二十六夜 小銭拾い」という作品。Twitterでの投稿には1万2000件以上のいいねとともに、「ホラーなんだけど、怖いより切ない」「涙腺崩壊」と、切なさを感じたという感想が多く集まった。

また、「恨みや憎しみはないのが余計に…」「お金渡しちゃう少年も怖がらないでサッカーボール貸す少年も優しい」と、“死後も自販機にとらわれた幽霊”というホラー作品でありながら、親友の夢のために自らの生きる糧を託した男の子の心情や、お互いの友情に思いを馳せる読者の声も見られた。

『僕が死ぬだけの百物語』は、毎話異なる怪談を、語り手の少年・ユウマが百物語として披露するというオムニバス形式の作品。身の毛のよだつ怪異による正統派のホラーや、今回紹介したエピソードのように静かで報われない悲劇、時に怪奇現象よりも恐ろしい人間の怖さまで、多種多様な「恐ろしさ」が描かれるのが本作の大きな魅力の一つだ。

的野アンジさんは、今回紹介したエピソードのように「直接的な恐怖」が少ない回は「読み手の方がどう思うかに任せてしまうので、話へ入り込みやすいように、なるべく身近なところや題材を選んでいます。直接的な絵がない場合でも、話の中になにか驚きがあるよう心がけています」と意識している点を話す。

「僕が死ぬだけの百物語」第5巻は2023年1月12日(木)発売画像提供:的野アンジ(@matonotoma)


1月12日(木)にはコミックス最新第5巻が発売予定で、ますます注目を集める本作。各話ごとにテイストの異なる一篇一篇の読み応えはもちろん、コミックスでは百物語として語られる順番や流れも一層感じられるのもポイントだ。

連載で描く順番やバランスについて的野さんに話を聞くと、「全体的に偏りが出過ぎないように気をつけています。オムニバスで誰かが語る形なので、語り手の趣味嗜好によって話の傾向が変わると思い、意識しています」と、込められた意図を教えてくれた。

取材協力:的野アンジ(@matonotoma)

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