女性ピアニストが男子高校生に転生して“無双じゃない”!?音大出身漫画家が描くピアノの世界がガチすぎ【作者に聞いた】
――まず、本作を描かれたきっかけを教えてください。
「学生時代、留学先で出会った女性ピアニストの方が『コンクールで自分より手の小さい人に出会ったことがない』と呟いていたのが印象に残っていたんです。それが本作のヒントになりました」
――音楽大学出身の輪立さんですが、学生時代の専攻もピアノだったのでしょうか?
「高校から大学院まで、浪人等も含めると11年間ピアノ専攻でした!365日練習の日々で、『1日でもサボる』と置いていかれる……という感覚が常にありました。今思い返すと『ソーシャルゲームのランキングイベントに似ているな』と思います」
――その一方、学生の頃から漫画にも興味を持たれていたとうかがいました。
「子供の頃からの趣味としてお絵かきとお話作りがあり、漫画はどちらもできるので『いつかチャレンジしてみたいな……』と思っていました」
――学生の頃は音楽と漫画、両方とも将来の夢として考えられていたのでしょうか?
「大学入学時にピアノに本腰を入れようと思い一度お絵かきをやめたのですが、院浪中にバイトできず時間を持て余していた期間があり、漫画を描き始めました。漫画家になりたいなと思ったのは描き始めてからです」

「テンプレだけじゃない」作者の経験を打ち込んだ“転生”ピアニストの世界
――漫画家となり、いずれ「音楽を題材にした漫画を描きたい」という思いは強かったのでしょうか?
「漫画家志望の時期から、自分の中の経験が鮮烈なうちに何か残したいと言う気持ちは強くありました!初めての受賞作も、ピアノデュオを題材にした読切でした」
――そうして生まれた本作では、夢を再び追いかける結希と、シビアな音楽の世界が描かれています。作品を描く上で意識しているのはどんなところですか?
「大きくキャラクターエピソードと演奏シーンとに分けられると思うのですが、キャラクターエピソードは自分の好きな感情を描くように、演奏シーンではうんちく的な要素に加え絵の気持ちよさを特に意識しています。その上で、自分が面白いと思う話を描いています!」

――また「入れ替わり」というアイデアで、年齢や性別の差だけでなく「身体性」がピックアップされているのも印象的です。
「結希の手がうつるシーンはなるべく小さく可愛い手にしよう!と思って描いています。具体的には萌え系のイラストに見られるような感じが理想なのですが、意外と鍵盤の大きさとの整合性を取るのが難しく、苦労した記憶があります……」
――12月23日には早くも第2巻が配信となります。興味を持った読者に向けて、本作の見どころを教えてください。
「本作の見所は『テンプレだけどテンプレだけじゃない』ところです!転生ものということで、ピアノを弾いたことのない人もある人も楽しく読んでもらえる作品になっていると思います。
自分で言うのもなんですが、お話が進むほど加速度的に面白くなっていくので、読んでいただけましたら嬉しいです!」
取材協力:輪立さく (@39wdc)