「弊社ぶっつぶしてえ~」全てを壊したい女性を“肉まん”が癒やす漫画にほっこり「素敵」「食べたくなる」【作者に聞いた】

会社でのグチグチとした嫌味も、ゴミゴミした街中の喧騒も、すべてがうるさく苛立ちを募らせる女性。温かな肉まんが唯一の癒やしの彼女は、通りすがりのパン屋に「蒸したての肉まん」を作ると声をかけられ……。

関野葵( @sekino1869 )さんがTwitter上で「肉まんと、世界を壊したい女の話」として投稿した漫画が、「素晴らしかった」「無性に肉まん食べたくなります」と多くの読者の心をくすぐっている。

「けちらせー!」街の全てにウンザリな女性の心を手づくり肉まんが温める物語に反響『くるくるくるま ミムラパン』 (C)関野葵/小学館

手づくりの肉まんが、ささくれだった人の心をほっとさせる

故郷から離れた街に住むとある女性は、人ごみだらけのその街にうんざりした日々を送っていた。表に出せないうっ憤は、「こんな街全部こわせたらいいのに」と、巨大なロボット玩具が町を破壊する妄想でやり過ごす毎日。彼女が気を緩められるのは、コンビニで買えるほかほかの肉まんを頬張る瞬間だった。

『くるくるくるま ミムラパン』 (C)関野葵/小学館


行きつけのコンビニで肉まんが売り切れてしまっていたある日のこと。溜息をつきながら店を出ると、かたわらにパンの移動販売店が開いているのに気付く。ダメ元で「肉まんってないですよね…」と訊ねると、今すぐ用意はできないものの、明日なら蒸したての肉まんを作ると店主が答えた。

『くるくるくるま ミムラパン』 (C)関野葵/小学館


翌日、今度はコンビニの什器が故障して二日続けて空振りになってしまった女性は、半信半疑のままパンの移動販売店「ミムラパン」を訪れる。店主のミムラは雑談がてら肉まんの歴史を紐解きながら、目の前で手作り肉まんを作り始める――、というストーリーだ。

『くるくるくるま ミムラパン』 (C)関野葵/小学館


実際に肉まんを作って追求した食事シーンへのこだわり

出来立ての肉まんを頬張る女性の幸せそうな表情が物語るように、日常の積み重なった苛立ちを優しくほぐしてくれるようなストーリーに思わず心が温かくなる本作。Twitter上での投稿には1万件以上のいいねとともに、「ステキじゃん」「めっちゃ良い」「吸い込まれる絵ととても気持ちの良い味でした」と好評が集まったほか、「豚まん食べたい!」「ピザまんが食べたくなった」「肉まん買って帰る」と、思い思いの中華まんが食べたくなったという感想が多かったのも印象的だ。

同作は、関野葵さんの『 くるくるくるま ミムラパン 』(小学館)第3巻収録の一篇を公開したもの。今回紹介したエピソードからも分かるように、おもちゃ箱をひっくり返したかのような賑やかなタッチで、現実と空想とが同居する画面がユニークな作品だ。一方、店主・ミムラさんの移動式パン屋「ミムラパン」を訪れるお客さんは、どこか実感のあるそれぞれの悩みを抱えており、そんな心のモヤモヤをぴったりのパンで解きほぐすハートフルストーリーとなっている。

『くるくるくるま ミムラパン』第3巻は2022年10月12日発売『くるくるくるま ミムラパン』 (C)関野葵/小学館


2022年10月に3巻が刊行され完結した本作。ウォーカープラスでは今回紹介したエピソードや、『くるくるくるま ミムラパン』制作の舞台裏まで、作者の関野さんに話をうかがった。

――第3巻収録の「肉まん」のエピソードは、どんなところからお話を練られたのでしょうか?

「普段考える時は、パンを買いに来る人の悩みをまず考えてから『どんなパンにしようかな?』という順番で漫画を作っていたんです。ですが、今回は『大好きな肉まんの話を描こう』と、まず肉まんありきでスタートしました。また、肉まんの話を考えている時は自宅の近所がずっと工事していて、肉まんを愛する女性にはそんな自分の感情の一端を『街がうるさく感じる』という形で反映しました」

――せいろで湯気を立てる肉まん、頬張る女性の表情など、幸せそうに食べる描写が印象的です。

「一度肉まんを作って、この工程が面白いな、とか、実際に食べて、どう歯が食い込むのかな、湯気はどのタイミングで出るのかな、とか。肉まんの、美しいなあというところを探して描きました。特に食べるシーンは、いつも担当さんに相談してこだわって描いています」

『くるくるくるま ミムラパン』 (C)関野葵/小学館


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