会社や日本から逃げた末に見つけたものとは?「今があるのはあの時休職したおかげかも」/うつ逃げ【作者に聞く】











例え一人だけであっても、「休むことって悪いことではないよ」と伝われば嬉しい
休職中に自分のやりたいことや好きなことを考え、会社を辞めて絵本作家になる道を選んだなおにゃんさん。自らの体験を赤裸々に描いた漫画「うつ逃げ」が完結した今、率直にどんな気持ちを抱いているのか聞いてみた。
「すごく楽しかったです。実は、特に漫画のオチなどを決めずに、毎回その時の気持ちのままに描いていたので、いつもどこに着地するのかわからず描いていました。だから、描くことで、自分の中で毎回新しい発見があったりしました。ずっと自分の中で昇華したいけどできなかった過去だったので、その気持ちや経験を描くことで、初めて客観的になれて、前に進めるような気がしました。この漫画は仕事でもあるのですが、自分の人生にとってもすごく必要な時間だったと思います。こういった機会を与えてくださり、ありがとうございました」
またこの漫画を見たフォロワーからは、「毎回楽しみにしている」との声が届いていたそう。
「今回の漫画は自分のために描いている気持ちが強かったのですが、自分のことを掘り下げて描くと結果的に人にも共感してもらえるんだと感じて、すごくいい経験になりました。恥ずかしい自分の過去の話にお付き合いいただき、大感謝です」
なおにゃんさんは落ち込んだりうつになったりしながらも、「今があるのはあの時休職したおかげかも…」と当時を振り返る。この漫画で一番伝えたかったことと、読者へのメッセージをもらった。
「自分がうつで休職した時、休むことを肯定してくれたり、ましてや休職を肯定してくれる話がほとんどありませんでした。好きで休職しているわけじゃないのに、休んでいることがとても悪いことのように感じて、毎日すごく後ろめたい気持ちになりました。でも、実際に自分が休職して思ったのは、『休職してよかった』ということ。もし、あの時の自分のように、休職することに悩んでいたり、休職したことに後ろめたさを感じている人がいたら、『休職ってそんなに悪いもんじゃないよ、休むことっていいことだよ』と伝えたくて、自分の経験を描こうと思いました。いろんな意見があると思いますが、例え一人だけであっても伝われば嬉しいです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!」
取材・文=石川知京