卵アレルギー持ちの子供にかけられた言葉が沁みる!ある家族と大家さんの交流漫画「大家さんとハムソー」に癒やされる【作者に聞いた】
近所付き合いが薄くなっているといわれる昨今。あるアパートに暮らす一家と大家さんとの交流が描かれた漫画が癒やされるとInstagramで評判だ。描いたのはもしゃもぅさん(@mosyamou)。もしゃもぅさんはのちの夫との同棲を始めたころからあるアパートで暮らしていた。アパートの大家さんが家庭菜園で採れた野菜をお裾分けしてくれたことをきっかけに、大家さんとの交流が生まれる。そして、漫画内では「ハムソー」と呼ばれる息子が生まれると、大家さんはハムソー君を可愛がるように。




ある日、ハムソー君が卵アレルギーなことを知った大家さん。「そりゃあたまげたなぁ」と驚いたあと、「卵が使えないで、こんな栄養たっぷりに育てたんかあ!」ともしゃもぅさんに労いの言葉をかけてくれた。このエピソードには「大家さん、推します」「こんなの泣いちゃう〜〜!!!」と大家さんへの称賛の声が集まった。もしゃもぅさんに漫画を描き始めたきっかけや、大家さんとの交流を漫画にした理由を聞いた。
「過去を振り返って文字にするといい」心療内科の先生からのアドバイス
学生時代のころから漫画はよく描いていたというもしゃもぅさん。しかし、その頃はいわゆる少女漫画で、エッセイというジャンルでは描いていなかったのだそう。
「Instagramで漫画を投稿するようになったのは、『大家さんとハムソー』の中でも少し触れていますが、当時騒音問題などで心のバランスを崩して通うことになった心療内科の先生の一言でした。『過去を振り返って文字にするといいですよ』と言われ、さまざまなことを振り返る中で、重症妊娠悪阻(おそ)の漫画を描きたいと思っていたことを思い出しました。もともと、つわりで苦しむ方の暇つぶしになれればいいなぁと思っていたので、人がたくさん集まるInstagramを投稿の場所にしたんです」
もしゃもぅさんはハムソー君を妊娠中、飲めず食べられず、胆汁や血まで吐いてしまうほど嘔吐が止まらず、10日間で5キロも体重が落ち、入院を余儀なくされた経験がある。つわりが重症化した「重度妊娠悪阻」という状態でその壮絶な日記漫画には、同じような経験を持つ人や、今まさにつわりで苦しんでいる人の共感を集めている。そこから大家さんとの思い出話を描くようになったのは何か理由があるのだろうか?


「重症妊娠悪阻日記と並行して連載していた夫のプロポーズ話を描き終わり、何か新連載をとは思っていました。そこでいくつか候補を挙げて、フォロワーさんに投票までしていただいていたのですが…。その後すぐに大家さんとの別れがあり、その時のことがとっても心に響いてすぐにネーム化、気持ちが熱いうちに描きたいと思い新連載としてスタートさせました。その時連載していた他の話が妊娠中や結婚前の話ばかりだったので、ハムソーの話を描きたかったというのも大きかったです」
子供が小さいのに、毎日の更新を欠かさないもしゃもぅさん。創作意欲の高さに驚かされるが、いつ描いているのだろうか。
「毎日ハムソーを寝かしつけした後の2〜3時間に描き、家族が起きる前の朝にブログ更新やネームの作成をしています。あとは夫の協力のもと、休みの日に思いっきり時間をもらって描くこともあります。更新の秘訣は描く時間を決め、家族との時間を犠牲にしないことです!家族を蔑ろにしては協力も得られないし、何より自分が罪悪感を覚える上に、投稿をやめる言い訳にしてしまうと思います。優先順位をしっかり守っていくことで、楽しくやりがいを持って続けられています」
創作にあたっては言葉選びに気をつけつつも、自分の気持ちも大事にしているんだそう。
「これまでいろいろな方からたくさんのご意見をいただいて、人を傷つけないような言葉選びなどにとても気をつけるようになりました。それでも『意見が分かれるだろう』という場面があった時にはできるだけの配慮はしつつ、自分のその時の気持ちや、事実は曲げずに描くようにしています。不快に思う方が多そうならば、キャプションで一言入れておくことを心がけています」