パワハラ上司に“守護神さま”が邪神化寸前!?メンチカツ&ビールでお供えを!不思議な関係描く短編に癒やされる【作者に聞く】
オフィスで理不尽な叱責を受けていた女性。彼女には生まれた頃から“守護神さま”がついていた。上司からのパワハラを聞き流す女性に対し、守護神さまは怒りをあらわにして……。

早神あたか(
@yaminome
)さんの創作漫画「守護神さまとお鎮めご飯」は、pixivで1000件を超えるブックマークを集める作品。守護神さまと女性の不思議な関係と、ほっと一息つく夕食の描写に癒やされる短編だ。作者の早神さんは、アルファポリスにて
『前世は剣帝。今生クズ王子』
(原作:アルト)をコミカライズ連載中の漫画家。個人制作として発表した同作の舞台裏をうかがった。
「守護神さまを大事に」ストレスを乗り切る現代の寓話にほっこり
長く続く旧家に生まれたとある女性。その家には“守護神さま”がいて、女性は「守護神さまを大事にすれば幸せになれる」という言い付けのもと育った。

女性が地元を離れ就職してからも、彼女についてきた守護神さま。だが、その環境は大きく変わり、ある日は女性に暴言を浴びせるパワハラ上司におかんむりの様子。自分は平気でも、「ほっといたら邪神になりそう」と守護神さまを気遣った女性は、“お供え物”で機嫌をとることに決める。

それは、行きつけの居酒屋のメンチカツと生ビール。ひと口ほおばるやいなや、怒りもすっかり収まった守護神さまを見て、一安心の女性は、自身も揚げ物とビールの組み合わせを堪能する。

すると、それを見ていた店主は「憑き物が落ちたような顔だね」と一言。その言葉に、自分も守護神さま同様に怒りを溜めこんでいたことに気付いた女性。「守護神さまを大事にして」という言葉の真意に気付いた彼女は、幸せそうに晩酌を楽しむ守護神さまを眺めながら癒やしのひと時を過ごすのだった。

「せめて漫画で」なかなかやれない体験に昇華
何か特別な力を振るうわけではないけれど、守護神さまが確かに守ってくれる、少し不思議な関係を描いた短編。同作は、早神さんがRTA(リアルタイムアタック)企画として、13時間で描き上げた作品でもある。アイデアのきっかけや、時間を縛った漫画制作について話を訊いた。
――守護神さまと女性の晩酌の光景にほっこりする作品です。描いたきっかけを教えてください。
「もともと、お酒や居酒屋のグルメ漫画が好きで……。会社員のころから一人で飲みに行くタイプでした。ある日、最寄り駅近くの居酒屋さんで、ものすごく美味しい豚の角煮を食べて、『おいしい!会社の疲れが角煮と一緒に溶けてくみたい!!』という経験をしたんです。
自分は揚げ物とビールも好きなので、何かの漫画に描かれていた、メンチカツとビールという組み合わせでも同じような経験ができるのでは?と、その時の体験からずっと考えていました。ですが、メンチカツを扱っている居酒屋さんはなかなかなくて……。現実で叶えられないなら、せめて漫画でその光景を…と思ったのがきっかけでした」
――作品として描くにあたって、どんなところから物語を膨らませていったのでしょうか。
「パワハラを無表情で受け流すかっこいい主人公が描きたいなと思っていて、でもそういう人ほど『自分は平気』と思っていても知らず知らずにストレスは溜まっていくだろうなと……。だから、溜まったストレスをわかりやすく表現できるファンタジーな存在がいればわかりやすいかなと思ったので、“守護神さま”という、主人公の表に出せない感情を素直に表現するキャラクターを思いつき描いていきました」