ハードな職場からの退職決意後、わずか半年で地方移住をしたアラサー女性にインタビュー!「移住のハードルは意外と高くない」【作者に聞いた】
コロナ禍によって働き方や生活の仕方が多様化した昨今、たびたび話題に上がる「地方移住」。東京圏在住者を対象とした内閣府の調査(※)によると、全年齢で35.1%、20代の若年層では44.8%が地方移住に関心があると回答。地方移住や田舎暮らしに一度は憧れて興味を持った人も多いのでは(※出典:「第6回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(内閣府)」)。
今回は、ハードな職場を退職し、わずか半年で愛知県北設楽郡東栄町に移住をしたやまださん(
@yamadasan_0106
)に、移住決断までの経緯や移住後の生活について伺った。

ハードな職場から退職を決意。転職や実家戻りの選択肢があったが、私の場合は“移住”だった
――まずは、東栄町に移住したきっかけから教えてください。
東京で長らく働いていたのですが、ハードな毎日に体調とメンタルのバランスを崩してしまって。休職や転職という選択肢も考えましたが、休職して戻っても同じ職場である以上根本的な問題は解決されないだろうし、転職活動を頑張る体力も余裕も残っていなくて。ならば思い切って大人の夏休みを取ろうということで、まずは退職を決意しました。私、生まれは地方で。特に都会が好きなわけでもなかったですし、以前から興味のあった自然豊かな土地に移住するなら今だと思って。すぐに職が見つからなくても、しばらくは貯金を切り崩しながら生きていけるだろうということで、そこから情報を調べ始めました。

――具体的にどんなリサーチの仕方をされましたか?
私の場合、あれこれ情報を集めたわけではないんです。なんとなく“移住”の文字が気になり始めた頃に、愛知県のある島に移り住んだ方の話題をネットニュースで見て、移住の情報を扱っているセンターにちょっと行ってみようかなと。その後、さらに興味が湧いて別のセミナーにも足を運んだら、私が今住んでる東栄町の方がたまたまいらっしゃっててインスタをフォローさせていただいたんです。で、DMのやり取りを経て一度遊びに行ったら、すごくいいところだなと。こうして知り合いができたのもご縁ですし、たまたまそのときに町の格安アパートが空いたという情報も入って、これは行くしかない!と。半ば勢いで決めました。
――9月の移住検討開始から実際に移り住むまで半年。その期間で実現できてしまうというのも驚きです。
これは単純に、会社を年度末の3月で辞めるならあと半年だなって(笑)。でも、もしかしたら実家に戻っていたかもしれないし、転職していたかもしれない。私はたまたま移住だった、というだけのことです。
――縁もゆかりもない土地に行くことに不安はなかったですか?
ある意味、すべてをイチからやろうと思って田舎を選んだので。この1年は貯金だけで生きていこうくらいのドーンとした気持ちだったので、先のことはあまり考えなかったです。どうにかなるさって。前職でも転勤の経験があり、知らない土地に行くこと自体に抵抗がなかったのもあるかもしれませんね。むしろ、移住したらどこ行こう?ってワクワクしてました。住んでまだ2カ月(取材時点)ですが、今は本当に楽しく過ごせています。後悔は一切ないです。
――現在はInstagramとブログ「やまださんの山里移住日記」にて日々の生活を綴られています。この発信を始めた理由は?
最初の頃は新鮮に感じられたいろんな発見を、だんだん忘れていってしまうんだろうなって。それを残しておきたいという気持ちと、自分が何かしらの発信をすることで人と繋がりたいと気持ちがありました。ちなみに投稿に添えているイラストは、コロナ禍で家を出られなかった時期に“じゃあお家でできる趣味を……”ということで数年前から始めたものです。

――実際にSNSからの広がりは感じていますか?
そうですね。いろんな方が覗いてくださっているんだなと感じますし、私がイベントやアルバイト体験を投稿したものを「見たよ」と言ってくれる地元の方もいます。
――身近な野草を楽しむ“野草茶ワークショップ”の体験記では、ワークショップの主催の方が「昨日の様子がすべてイラストに!」と喜びの返信をされていました。
SNSを通してそういう新たなご縁が生まれたり、輪が循環していくというのはすごく素敵だなと思います。


――他にも、草木染めやたけのこ堀り体験、茶葉工場のアルバイト……など、都会生活とは大きく異なる日々を過ごされているのが印象的です。これらはどうやって情報を知り、参加されているのですか?
ふらっと道端で誘われることもありますし、地元で知り合いになった方に「今度ヒマ?」とか。「人手が足りなくて……」「じゃあ行きます」みたいな、突然の展開になることが多いです。茶葉工場のアルバイトは、声を掛けられてやってみたら、こんなに楽しいバイトがあるんだ!と。今はそうやっていくつかの短期アルバイトを無理なくこなしながら、地元の皆さんの輪に少しずつ入れたらいいなと思っているところです。


――そのような積極的な関わりやSNSの展開で、移住2カ月にして既にやまださんは結構知られた存在なのでは?
皆さんが知り合いみたいな狭い町なので。“何か書いてる子”とか“東京からちょっと不思議な子が来た”みたいなプロフィールだけがまずは回っているかもしれません(笑)。でも、ここの方々は本当にウェルカムで温かくて。何十年も前に移住されてきた方が地元の方と良好な関係をずっと築いてくださっているのもあるんだと思います。