不老不死になって数千年…2人の出会いが未来を変える!!感動で打ち震えるエンディングの“光”は必見!!【作者に聞く】
――「不死の娯楽」を描くきっかけについて教えてください。
まず、不老不死をテーマにしたのは、担当編集さんのアイデアです。「どう?興味ない?」って聞かれたので「全然興味ないです…」と答えました。だって不老不死のキャラって最初から悲しみしかないじゃないですか。私はハッピーエンドが好きなんですよ。だから描ける気がしない。そう担当編集さんに伝えると、「じゃあ杉岡さんが不老不死になったら何しますか?」と聞かれ、妄想して思い浮かんだのは主人と子供の顔でした。「主人と子供に会うために、タイムマシンを作って過去に戻りますかね…」と私は涙ぐみながら答えました。家族を置いて孤独に生きる自分を想像すると、悲しくなってきて泣けてきました。すると担当編集さんはめちゃくちゃ笑いながら「面白いね!!そんな答えをしたのは杉岡さんが初めてです!じゃあそれ漫画にしてよ」と。「え?鬼?」と思いましたね。かくして不老不死をテーマに描くことになりましたが、案の定めちゃくちゃに苦しんで、ネームを完成させるのに半年以上かかりました。

――誰もいない世界で数千年を生き続けている主人公と、その世界に突如現れた少年を描いた作品ですが、キャラ設定について教えてください。
まず最初に、不老不死のキャラって死ねないことに悩んでたり悲しんでたりするイメージがあったので、逆に明るくて不死であることを悲観していない主人公にしようと思いました。何故か明るくて無限の生を満喫してて、そこに一種の狂気を感じさせるキャラにしたいなと。最初の構想のときは、ゲームのコントローラーを右手と左手に一つずつ握って、ひとりで対戦プレイを延々と楽しんでるとか、自作したトランプで神経衰弱ノーミスクリアするまで延々と繰り返してるとか…本人は楽しんでるけど周りから見たら「怖っ!」となるキャラを目指しました。

主人公・陽介についてのイメージはすぐに固まったのですが、相方のミライに関しては設定が固まるまでものすごく時間がかかりました。実は地球上の遠い土地で生き残っていたとか、不治の病に侵されていてコールドスリープしてたとか、いろいろな案を考えましたがしっくりこず…。また、2人をどう出会わせるか、どうしてミライはタイムマシンを必要としてるのか、などのアイデアも全然出てこなくて苦労しました。そこで数カ月煮詰まってしまったので、先にキャラクターデザインだけやってみようかと2人のイメージ図を描き出してみました。ミライは陽介と対照的にしたいので黒髪で片目隠れとかいいなと思った時に、隠してる目の下がカメラになってたら…というのを偶然思いつきました。そこからミライが人類滅亡の救世主になるために改造された人間だったら、というアイデアに至り、何とかネームの完成までこぎつけることができました。

この作品のSNSのコメント欄では、「不老不死とかそういう系統の好きだから意外と刺さったわ」「イロイロ矛盾はあるけど、そんなこと飛び越えて面白かった」などストーリーの設定や表現に関する称賛が多く見られた。今まで笑顔ばかりを作っていた主人公がミライに出会ったことで起こる細やかな表情の変化や、ダイナミックな光の演出など見どころが多い作品なので、ぜひゆっくり読んでみてほしい。
取材協力:杉岡ケイ(@kei_sugioka)