うつ、休職、ベトナム旅行を経験し、得たものとは?「逃げようと思ったらいつでも逃げられる」という漠然とした勇気と自信【作者に聞いた】











何を言っているかわからなかったものの、現地の方の後をついていき、なんとか道路を渡ることに成功しました。助けの手を差し伸べてくれた救世主にどうしてもお礼を伝えたいと、その場でイラストを描き、「Thank you!!」の言葉を添えて渡しました。
イラストは授業中ノートに落書きした絵を人に見せたりする程度で、本格的に描いてはいませんでした。でも、イラストを描くと喜んでくれたり、欲しいと言ってくれる人はいました。この時も言葉では伝わらない気持ちもあって、イラスト付きの言葉でお礼をさせていただきました。
自分の描いた絵で人が喜んでいる姿を見て、絵は世界共通の言語なんだなと思いました。日本へ帰る飛行機のなかで、休職中に海外に行くなんて一般的には非常識だと思うけど、今の自分には必要な時間だったと感じました。
ベトナムで得られたことはたくさんありますが、一番は内省する時間を得られたことかもしれません。遠い異国の地で、時間を忘れてゆっくり川を見ながら「逃げるってなんなんだろう?」と、自分なりに真剣に考えられたその時間が、何よりの宝物です。あとはちょっと抽象的な話ではありますが、「人間、逃げようと思ったら、いつでも逃げられるんだ」という、漠然とした勇気と自信のようなものを得ることができました。人間、本来もっと自由でいていいし、その気になればいつだって自由を得られるんだなという感覚を、経験を通して得られたのが本当によかったなと思います。
日本ではできなかったさまざまな経験を通じて、新たな価値観を発見したなおにゃんさん。帰国後は彼女の人生を変える重大決心をすることに。今後の「うつ逃げ」も楽しみにしてほしい。
取材・文=石川知京