アスペルガーとは知らぬまま…「変な奴」から「おもしろい人」へと鬼畜コーチの評価が急上昇【漫画の作者に聞く】












思い返せば、アスペルガーの特性が行動のあちこちに
アスペルガー症候群の人は、いわゆる「行間を読む」ことが苦手。例えば「TPO」「一般的」「もう少し」など抽象的な表現をされると、そのあいまいさが理解できないのです。また、他人からどう見られているかについての意識が薄いという傾向もあります。夫は基本「自分さえ使い勝手に困らなければ問題ない」というスタンスなので、平気でボロボロな改造バイクに乗っていたのではないかと推察しています。
続いて、まだ親しい関係ではない私の前で無言でハンバーガーをむさぼる場面があります。私はコーチ(夫)にお願いされてレッスンに来た立場です。そのお礼であれば「今日は来てくれてありがとう」など、少しは世間話のような会話があってもいいはずですよね。夫はアスペルガー特有のコミュニケーション難が出ていたのでは?と思います。そして、他人からどう見られようと関係ないスタンスですから、ガサツという意識もなく、本人の中ではいつも通りハンバーガーに食らいついていたんだと思います。
黄色いサングラスだけをずっとかけ続けていた件は、私としては他の生徒さんとの会話にて軽い気持ちで「黄色が似合う」と言っただけでした。でも夫はその言葉を「本当に言葉通り」真に受けたので、黄色しか付けないという極端な結果となったんでしょう。
それも「今思えば」の話です。当時、コーチ(夫)がアスペルガー症候群と知らない私は、着飾らずありのままに生きている夫の姿におもしろさを感じ始めていました。
その意識の変化は、サングラスのエピソードで決定的になりました。他のレッスンでは違う色を付けているのかな?とのぞいてみたら、やっぱり黄色!それまでは「変わったコーチ=嫌悪感」でしたが、「変わったコーチ=おもしろい」に完全に変わった瞬間でしたね。

※なお、ちくわさんのご主人の場合は、人の気持ちを想像できない特性に加え、多動性や衝動性に代表されるADHD(注意欠如・多動症)の特徴もあるタイプ。漫画内や記事に出てくる特徴の描写はあくまでちくわさんとご主人のケースに対する説明で、すべてのアスペルガー症候群の方に当てはまるわけではないことを念のため補足しておく