「似合わねー」と言われた魔法少女、大人の私がコスプレで“変身”!『わたしが推しになる魔法』に「泣いた」「素敵なお話」と反響【作者に聞く】


――コンプレックスという重くなりがちな題材ですが、カメコ時代のさわこも「楽しい日々」として描かれ作品の雰囲気が絶妙でした。作品のバランスで意識されたところは?

「コンプレックスというのは、ともすれば本当に重いテーマだと思います。現実はこんなに簡単にはいかないし、多分あんなに簡単に自分に協力的な友達が現れるとも限りません。

ただ私は基本的に『読後感のよい漫画』を描きたいということと、漫画の中ぐらい現実であり得ない景色を見たいと思っているので、作品の中に『こんなことが起こったらいいな』『こんなシーンが見たいな』を詰め込んでいます。無意識ですが、そういった気持ちがこの作品のトーンになっているのかと思います」

――また、作中作のキャラクターと、コスプレをした登場人物それぞれのかわいらしさや違いが伝わる作画も魅力的でした。

「私自身が漫画を読む際、第一に絵柄を見て『読みたい!』と思うことが多いので、漫画のビジュアルはとても大切だと思っていて、自身の漫画も魅力的なビジュアルで描くように常に心がけています。

また、今回の話は変身ものなので、変身前と変身後で読者の方に驚きを与えられるような作画にすることを意識しました。あとは主人公の感情が動くシーンは、感情に合わせて魅力的に見えるように描きました。変身後の爽子が特にキラキラしているように読者さんに見えていたらうれしいです!」

――ちなみに、ご自身でお気に入りのシーンはありますか?

「気に入ってるカットは、6ページ目のあいなと爽子が初めて会うシーンです。爽子があいなに衝撃を受けるとともに、爽子が変わるきっかけの出会いでもあるので大事に描きました」

「わたしが推しになる魔法」(06)(C)真田往里/新潮社


――本作は担当編集の方と作り上げていったとうかがいました。どんなアドバイスを受けたかや、実際に作中にどのように反映されていったかを教えてください。

「初めての商業作品だったので、いろいろアドバイスをいただいたのですが、なかでもネームの段階で『なんとなく描きたい、描けそうな物語』になっていると言われたのは衝撃的でした。以前は無意識に、自分が描けそうだなと思う範囲内で話を考えていて、その言葉には『確かにその通り!!』と思い、そこから自分の漫画作りへの意識がかなり変わったと思います。

今思うと描き手としてなかなか致命的なことをしていたので、担当さんのこの言葉はとても有り難かったです。それ以降はその枠を取って話を考えられるようになりました。まだまだですが、以前よりは自分の作品を好きだと思えるようになりました」

――自分が最初に憧れたものと違っても“変身”できた、という結末が胸を打ちます。こうしたラストになった背景を教えてください。

「まずはストーリーとキャラを考える中で、爽子というキャラクターは、少なくとも今回はピンキーになることを選ばないなと思いました。もしかしたらいつかはなるかもしれないのですが。ただ、 本人が満足していれば、初め思い描いていた形とは違う形で夢が叶うこともとても素敵だと思い、このラストになりました。ラストの爽子はとても満足しています。それと、初期の段階で私が最後にパープルローズになった爽子が見たいなと思っていたのもありましたので(笑)」

「わたしが推しになる魔法」(23)(C)真田往里/新潮社


――今後の漫画制作での目標や、描いてみたい題材などがあれば教えてください。

「筆が遅いので制作のスピードを上げることが第一目標です。ファンタジー漫画が描きたいので今後、より一層頑張っていきたいです!」

取材協力:真田往里/新潮社

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