総いいね1000万超えの話題作「気になってる人が男じゃなかった」。好きなもので通じ合うJKが尊い!【担当編集に聞いた】

一方的に助けてもらってばかりではない。主人公2人の関係性が尊い!

あやとみつきの共通点は洋楽ロックが好きなこと。しかし、2人ともそのことを誰かと共有することができないままでいた。学校で友人らしい友人がいないみつきはもちろんのこと、あやも仲のいい友人に自分の好きな音楽の話をしても「てかフツー聴かないっしょ」と言われてしまう。そして、みつきは自分がCDショップの“おにーさん”であることを明かすことができないまま、“おにーさん”とあやは洋楽ロック好きとして交流を深めていく。

あやとみつきの関わりのなかで、重要な役割を果たすことになっていくのが「俺にとって世界で一番イージーなことは女子に助けてもらうこと」と豪語するクラスメイトの成田くんだ(とは言っても、みつきとあやは成田くんになびかない)。一見、成田くんはあやとみつきの仲を引っ掻き回すヒール的な役割を担うのかと思いきや、その反対で、あやとみつきの仲を押してくれるキューピット的なキャラになっていく。成田くんの優しさが際立つのが「つかまえて」のエピソード。西條さんに一番好きなエピソードを聞いたところ、「難しい質問ですね……」としつつも選んでくれた回でもある。

「正直全話お気に入りなのですが、特に思い入れがあるのは『つかまえて』です。読んでいただきたいので詳述はしませんが、あやに“おにーさん”の正体がバレて、避けられてしまうという一連の流れの中でのお話です」

担当編集・西條さん最推しのエピソード「つかまえて」より。自分の殻に閉じこもろうとしたみつきが、成田くんの言葉で変わっていく(C)新井すみこ/KADOKAWA

自分の感情を押し殺すことで、つらい、寂しいといったネガティブな感情を持たないですむと考えてるみつきは、あやとの関係をなかったことにできたら…と思ってしまうシーンだ。

「『何も感じたくない』とみつきが泣いてしまうページ。みつきに共感する人も少なくないのではないでしょうか。すごくつらいことがあったとき、感情を殺してしまえば痛みを感じないままやり過ごせるかもしれない、と思う。自分の殻に閉じこもろうとする。そこに他者が割って入ってきて、『それでいーの?』と呼びかけてくれるのは、すごくいい話だなと思います。人によってはお節介に思うかもですけど、境界線を越えて声をかけてくれる人に救われることもありますよね」

陰キャだと自称するみつきは、コミュニケーション能力に長けたキャラクターではない。あやに正体を明かさないまま付き合いを続けてしまったり、陽キャに対して苦手意識があるせいで、学校でのあやとの接し方もぎこちなかったりする。成田くんや、CDショップの店長でもあるおじのアドバイスを受けて、あやと向き合っていく。しかし、みつきは一方的に助けてもらってばかりではない。ニッチなものが好きであることを表に出せないでいるあやの寂しさを救っているのがみつきなのだ。その関係性が、多くの読者に2人を“尊い”と言わしめる理由なのだろう。「気になってる人が男じゃなかった」は現在もTwitterで週末に更新中。あやとみつきの尊い関係がどこに発展していくのかに注目だ。

取材・文=西連寺くらら

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